第19話 小説を書き始めて~カクヨム用書下ろし

私は2018年1月、とある映画を観た。

岡山県立図書館から借りた、1枚のDVD。

借りようと思いつつも、借りる勇気が出なかった。

ようやく借りたはいいけれど、貸出期間ぎりぎりまで、観る気が起きなかった。


意を決して、一通り、観た。

その映画の世界に、はまってしまった。

白血病で亡くなったラジオ好きの少年の話だった。

彼の部屋にはなぜか、ブルートレインのプラレールと鉄道部品が少しあった。


プラレールのほうはともかく、鉄道部品については、それほどマニアックなものではないとはいえ、この映画の舞台となった1977年前後に、こんなものが出回って、さほど鉄道ファンと言えるほどでもない少年の部屋に堂々と飾られていることなどありえないぞ!


私はそこに、違和感を持った。

それもそのはず、私はその主人公の少年よりも4歳ほど年少(なんせ、彼の父親役の俳優さんは私より3歳年上)だが、その頃鉄道少年だった私には、これは絶対にありえない光景であると読み取った。

他はともかく、私はそこに、強烈な何かを感じ取ったのである。

(今は諸般の事情で公開されていないけど)アマゾンレビューにも、そのことを指摘した。

そしてその末尾に、その少年がもし病気が治り、病院で知り合った少女とともにラジオの仕事についたら、また、大学に行ったら、どんな物語が展開しただろうか、そんなことを考えた。


よし、それなら、小説にしてやろう!

この際、自分自身の半生も含めて、この少年少女の成長した人たちと、かつての私の「影」をぶつけたら、おもしろい物語が出来やしないか?


入院した病院のお昼の院内放送のDJをした少年。

迎え撃つのは、私の影。

小学生でO大学の鉄道研究会に「スカウト」されて通っていた中学生。

その出会いの「間」に入るのは、少年の幼馴染にして恋人、そして未来の伴侶にして仕事のパートナーとなる女性。

軸は、これでできた!


そこから、私は小説を書き始めた。

プロットもへちまもない。

そんなものはいずれついてくる。

もちろん、原作となった映画や小説の人物や事実関係を踏まえていないわけじゃないが、ここまで変えてしまえばもはや二次創作ですらない。

まずは、書いてなんぼ。私は、小説を書き始めた。

丁度仕事があまりない時期。

最初の5か月の間で、それなりに書けるようになった。


文章を書くにも、それに応じた「体力」がいる。

それは、ほどなく回復し、さらにパワーアップした。

かつて私は、本名名義で自伝的な書を1冊出版していた。

すでにして私は、2週間もあれば200ページぐらいの本は書けないわけじゃなかったのですよ。


それから2年。

かれこれ、書いた。あれこれ応募したが、特に賞はとっていない。

そんなものとるより、世に出せる機会をとにかく伺え。

世に出る形は、どうでもよい。


その結果、書き始めて2年後の年末、出版社から声がかかった。

そして、さらに構成を工夫していった結果出版されたのが、先日出版された

小説養護施設シリーズ 1

「一流の条件 ~ ある養護施設長の改革人生」

である。


本当は、もう1冊分の原稿はまとめられている。

だが、そのまま企画として出しても、二番煎じにしかならない可能性が高い。

そう思って私は、このカクヨムを使って、これまで書いてきたもの、表現してきたものを、まずは出してみようと思った次第。


拙著は、シリーズものであると標榜している。

最低でも5部作は行きたいものだと思っている。

もちろん、養護施設ものばかりを書いているわけではないが、そちらはそちらで書いていく。


とにかく、書いてなんぼ!

そして、それをどんどん表現していってなんぼ!

幸いなことに、これまで表現してきた様々な文書群もある。

差しさわりあるものも多いが、そうでないものも多々ある。

それらもこちらの「編集」という名の「料理」如何では、エンターテイメントになりうることを、私は確信した。


その結果出ている作品、いくつかありますでしょ?


少し仕事しすぎましたので、これから、サウナに行ってその足で晩飯がてらに酒を飲んでまいります。


それでは皆さん、ごきげんよう。


 2020年7月15日

                         与方 藤士朗

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