第4話

 魔女が、奇妙にねじくれた、血の滴る肉を口に運ぶ。

 薄く血の色が引かれた唇に、どこかあどけない笑顔を浮かべて、魔女は食事を続ける。


「なにか、変わりはあったかしら。」


「いいえ、いいえ。いつも通りの朝にございます。」


 そう笑いあって、魔女と老婆は一日を始めた。


「今度は、長く持つといいわね。前のおじいさまは、すぐに枯れてしまったから。」


 低く、家鳴りのような音がどこかから聞こえる。少女はその音をどこか懐かしみながら、唇の血をそっとぬぐった。


「あなたたち、きっとよいお友達になれるわ、。」


 老婆が笑った。


「あなたたちもよ、おいしい、おいしい、私の子供たち。」


 魔女もまた、笑った。

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胎に潜る 加湿器 @the_TFM-siva

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