第6話(1/9)

 悶々としたゴールデンウィークが明け、休みの気だるさが抜けない俺達を迎えたのは、二泊三日の勉強合宿だった。

 今はクラスごとにバスに乗り、研修センターに向かっている。


「これからみっちり三日間勉強漬け……だるい……」


 高校生活に慣れ始め、さらにゴールデンウィークを挟んでダラけたところに喝を入れる。理屈は分かるし、現に宿題はやっていたとはいえ十日も休んでいたせいで、合宿までにあった二日間の授業に身が入っていないのも確かだった。けど面倒なものは面倒だ。なんで夕食後も授業を受けなきゃいけないんだ。


「まぁでも、まだ五月だしな。クラスメートと親睦を深めるって意味もあるらしいし、楽しんでこーぜ」

 隣に座る透がそう言った。


 確かに合宿という非日常、しかも入学後初の課外活動ということでクラスメート達のテンションは上がり、バスの中は大いに盛り上がっている。

前に座る男子生徒二人は、こっそり持ってきたというゲームの話やいつも観ている深夜アニメが合宿所でも観れるかどうかと話しているし、後ろに座る悠里達女子三人は、部屋が違うけど誰の部屋に集まって遊ぶかと相談している。悠里が言葉を選んでいる感はまだまだ拭えないけど、ゴールデンウィークに遊びに行ってから、ぐっと仲良くなっている気がした。


 あの日の翌日、悠里はかなり興奮気味にパンケーキ屋での出来事を話していたし、よほど楽しかったのだろう。ちなみにヘアピンのことには特に触れなかった。俺はもちろん、悠里も意識的に避けているようだった。


 そんなわけで、二日目の夜には息抜きとしてバーベキューと肝試しもあるらしく、大変盛り上がる車内だったけど、俺はある一つの気掛かりのせいでテンションが上がらずにいた。




 それは――

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