第8話 ハップンポップンポップコーン

「完全に!私たちの勝利だと思うんですけどっ!」


ユキは息を弾ませながら抗議した。


最後の一打。

点をとった方が勝ちの状況で壁枠崩壊ウォールアウトを起こすとは、思ってもみなかった。


「まぁ、ボールがくたびれてきてたからね、イレギュラーは起こる可能性があったよ」


「慰められるのはキライです!先輩はもっと悔しそうにしててください!初タッグ、初大会、初出場、初勝利の初物づくしになるはずだったのに。勝利が得られなければただの記念受験なんですよ!」


この子は本当に見てて飽きないな、とイオトは口にせず思った。


彼女の強引さに無理矢理連れて来られた気がしていたのだが、どうやら心のどこかで彼女に惹かれていたのかもしれない。


「見習わないといけないな…」


「なんで笑っているんですか!先輩、大きなため息とともにちっくしょーって叫んでください!私の気が治りません、ムッキー!」


どこかとは、本当にどこだろう。

イオトはミルク多めの缶コーヒーを飲み干した。

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