第5話 我々は電幽霊と霊力陣を使って戦う
「さてとぉ……。みなもと
そう言いながら平平は目の前に両手を突きだし、掲げた日本刀を
だれもがその重厚な光に見入られていた。仮想世界で作り出す武器は、その人物の霊力を多分に反映する。名工が丹精をかたむけたような名刀を、そこに具現化できるというのは、平平が半端のない霊力の持ち主であることの証左でもあるからだ。
平平の頭の上に数字が浮かびあがる。その数『8000』——。
中空からその様子を眺めていたノンがアミに尋ねた。
「あの数字は?」
「あれはマナと呼ばれる精神力ゲージだ。この世界での体力みたいなものだな。あれが「0」になると、ちょっとヤバい状況になる。だが逆に「0」にならない限り、どんな状態になっても問題ない。あの音無姉妹の妹みたいにな」
そう言いながらアミがノンの視線をうながした。さきほどまでのコール・マイナーとのバトルで満身創痍になっている音無まひるに目が行く。通常の状態なら立っていることはおろか、息絶えていてもおかしくない姿にあらためて気づかされる。
ノンがまひるの頭上の目をやった。ちかちかとまたたいて見えづらいが、その数字は「2200」となっていた。
「あの数字!」
「そうだ。次にくらったらアウトというところだ」
アミは中空に正座姿でお茶をすすっている姉みかげのほうを顎で指し示した。
「あぁ、見えて、相当なマナをあの姉貴は補填してる。涼しい顔をしているが、どうしてもどうして、今にも倒れそうだろうよ」
ノンがみかげの頭上に目をやると「1200」という数字が今にも消え入りそうなほど、うっすらと見えた。
平平が刀身を引き抜き身構えた。まひるとみかげが声をかける。
「たいらはん。じゅうじゅう気をつけてや」
「おまんはどうなっても構わんが、先輩に指いっぽんでも触れたらただでおかんきに」
「しつけーな、まひる!」
平平がまひるからのクレームを一蹴すると、源子が背後から声をかけてきた。
「へいべい君、いつものように私が後衛を務めます」
「おう。頼むわ!」
「ですが、簡単にクリティカルヒットなどを喰らって、根こそぎ体力を削られたりしないように願います」
「善処するよ」
そう言うなり、平平は刀を左手にもちなおし、右手の人さし指でくるりと中空に円を描いた。空中からメニューが呼び出され、空間に丸い『カラーチャート』のようなものが浮かびあがった。その『カラーチャート』は9つに区切られており、その各区画にはジャンケンのマークが記載されていた。
中空からその様子を眺めていたノンがアミに尋ねた。
「あれはなんですか?」
「あぁ、あれは
「色のところに描いてあるグー、チョキ、パーはなんです?」
「あぁ。あれか。
「ジャンケンに?」
「わたしたちの間では
「クジャン……ですか」
「ジャンケンというのは『グー』『チョキ』『パー』の3分の1の確率で勝敗が決まるが、霊力陣を使った『クジャン』は、それがさらに3分割されて9つの手のジャンケンになるのだ」
「つまり、9分の1の確率で決まるジャンケンってことですか?」
アミがノンのほうに目をむけてにやりと笑って答えた。
「ご名答。——って言いたいとこだが、そう単純な勝負じゃない」
アミが源子の行動をノンに説明した。
「あれは
「コマンド?」
源子は4枚のカードを見渡すと、やにわに手に持った弓に矢をつがえて、キリキリと弦をひいて、中央左側の一枚に狙いをさだめた。
ノンの疑問にアミが答えた。
「
たとえば、『PROTECT(相手からの攻撃を防ぐ)』や『DOUBLE(相手に倍の攻撃を与える』や『REVERSE(負の結果を相手に返す)』などがな。この攻撃指示は対峙する
「ずいぶん有利に戦いを進められるんですね」
「うまく使えればな」
「え、でも源子さんの手札をみるかぎり、あきらかに有利なコマンドが記されていますよ」
「そうだな。さすがいい手札を揃えているし、見事に引き当てている」
「だったら、
「ジャンケンに勝ったならな……」
「え、ジャンケンに勝ったらって……」
「もし、ぴらぴらがあの
ノンがおもわず口元に手をあてた。
「そう。
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