第2話 赤い瞳の少年
流れる水に身を任せるままに、滝つぼの中に落ちていく。
青年の青い瞳はその少年を捉え、少年もまた燃え盛るような赤い瞳が不思議な落下物を捉えていた。
「ぶはっ」
怪我することも溺れることもないが、衝撃は伝わる。
多少の打ち身に肩と腰を痛めつつ、水の中から上半身を出す。
「……」
赤黒い髪に赤い瞳。
レンは本能的に気付いた。
彼は
まだ数十年しか生きていないような幼子に見える。
水のほとりで可憐な少女のように花を摘んでいる姿は儚さすら覚える。
「おにーさん、そんなところにいるとカゼひくよ?」
少年の第一声。
鈴を鳴らしたような美しい声だった。
いつまでも耳に残る、透き通った水のように純粋無垢な。
しかし、あまりにも的はずれな助言に思わず苦笑してしまう。
「?」
「ああ、すまない。俺は青竜族のレンガ。みんなからはレンって呼ばれてるよ」
「ふーん。ぼくはマダレっていうの」
「マダレか。君は赤竜族かな?」
「そーだよー」
「やはりな。青竜族ってのは水を操れるんだ。だから水の中に居ても平気なのさ」
そう言ってレンは水をひと掬い。
宙に放つと水魚に姿を変えて飛び跳ねる。
水に落ちては水面を小さく揺らす。
「すごーい!」
「でも、赤竜族は火を操れるんだろ?」
「うん……でもぼくはぜんぜん」
マダレはしょんぼりとうつむいてしまう。
「君はまだ子供だからな。これからさ」
レンがそう言うと、ぱぁっと明るくなって顔を上げる。
表情豊かな子供だ。
レンはそう思いながら、水辺に上がる。
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