Remember(7)
それから二年後、俺は高校生となった。
二年前のあの日の彼女がくれた
ここで言う能力者とは、周囲に対して高速で接近及び飛来物に対してその動きを事前に予知できるように進化した人類のことであり、これらの能力を持つものはエクステリアと呼ばれている。またそれとは別にサイコキネシスやテレパシーなど固有の能力を併せ持つ、さらに進化した人類も存在し、それらの者は特に超能力者と呼ばれている。
ただし、これらの事実は世界から隠されている。理由は言うまでもないだろう。
俺が通うLEGEND月宮高等学園は能力者の保護を目的として創設された、日本で数少ない傭兵学校である。
この学園は五年制の高等教育機関に分類され、軍事部、警護部、守護部の三学部が存在する。
軍事部には強襲科、狙撃科、研究科、工学科、情報科、通信科、救護科、国際科の八学科に分かれる。
警護部は警護科、警察科、警備科、検察科の四学科ある。
守護部は各学科の入学希望者の中から優秀な生徒の集めた学部である。
つまりエリート中のエリートのことで、一人で一個大隊クラスの任務をこなすことが出来る者もいる。また入学の特典として学費免除どころか月給が支給されるレベルである。
それに加えて任務期間中の単位を保証してくるなど良いこと尽くしだ。
さらにその上には専攻科という制度が存在し、守護専攻、戦略戦術専攻、兵器研究専攻の三専攻に分かれる。そして二年専攻することで大学卒業の資格を取ることができる。
俺は軍事部国際科を受験した。
ここが一番受かり易かったからというのが理由だ。
国際科は、文字通り世界中のあらゆる国で活動できるように、言語的にも海外の習慣などを習う。
海外での諜報活動などの時に、怪しまれず現地住民のように行動できるようにするためだ。
そのため英語を基本として、他の国の言語を喋れる者が優遇される。
また、他国間での共同作戦時に、言語による障害が起きないように通訳を行うのも仕事の一つで、主に英語と日本語の双方向の通訳が求められる。
俺は一般入試ではなく、推薦入試を受けて見事合格した。
勝因は、俺が日本語とフランス語を喋ることができ、英語も得意ではないが日常会話程度は出来たことと、もう一つは日本に飛び立つ前に『静かに戦慄を奏でる者たちへ(カーム・シンフォニー)』から貰った双剣のおかげだ。
入試には現在使用している武器を持ち込んでも良いと書かれていたので、見栄を張るためにベルトに付けて行ったのだが、これが案外好評で、とても良いものらしい。
一見古めかしく見えるが、刃がかなり鋭利でエッジが純銀製らしく、とにかく高価なものであったようだ。それに歴史的価値も高いらしい。結局、詳細は分からなかったが、どうやらこの双剣には何か秘められた能力があることだけは分かった。
よって推薦入試を難なく突破した。
幸いなことに、学力試験がなかったおかげで助かった。
俺は頭が良い方ではないので、一般入試だったら落ちていた可能性が高い。
こうして俺はこの学園に入学できたのだ。
そして現在、高校一年生の終わりで、後一、二か月で二年生になる時期である。
LEGEND月宮高等学園は横浜の東京湾に沿う海岸線にある広大な敷地を持つ学園である。
その中でも特に射撃練習施設と演習施設は凄かった。
この学園には戦闘技術を習得するための学校なのだが、日本の法律上、銃刀法違反に当たるはずなのだが、帯銃が許可されている。
どうやら銃刀所持のライセンスが入学時に発行されるようで、警察と同様に拳銃や刀類を持ち歩くことができるようだ。
ライセンスとは民間軍事法に定められている規則に則り、設立された民間軍事会社に銃火器や刃物などの兵器の所持を認めるものである。
それでも武器によっては制限があり、一般的にはショットガン系の散弾銃や散弾の使用できない。
他にもアサルトライフ等の7.62㎜NATO弾以上の銃弾を使用するためには別に資格が必要だ。
自動拳銃やリボルバーには制限はないが、所持できる弾薬の量は自動拳銃で予備マガジン二つ、リボルバーで十八発となっている。
これは一般的な9mmパラベラム弾の銃の制限で、口径や種類によって細かく異なる。
刀類の関しては緩く、銃刀法での長さを超える刃物を四本まで所持できる。ただし例外もある。
これも許可を取ることで、事実上何本でも持ち歩ける。
俺の西洋刀は貰った初期のライセンスで間に合っているので、他の使用許可は取っていない。
校則上、ハンドガンを最低でも一つは持っておかなければいけなかったため、有り合わせとして仕方なく校内にあるガンショップでSIG SAUER P220を選んだ。
仕様は9mmパラベラム弾で装弾数は九発と微妙なところだが、球数を考慮したのか、予備に最大二つのマガジンが持てる。
基本的には使用しないが、射撃講習は受けなければならないらしい。
剣術も最初は素人同然だったのだが、俺の母方の祖母の家は、代々剣術を教えている道場だったので、そこで覚えることができた。
けれど、道場をやっているとは言っても些細なものである。
本元は北海道に移動してしまったので、こちらにあるのはその後を分家の人が継いだものらしいからだ。
こちらには今、その本家の人間が来て同じ学園に通っているらしいので、もしかしたら会う機会があるかもしれない。
ちなみに、剣術の流派は元々四大流派である朱雀流、天璋流、鳳凰流、千手流の中の天璋流から来ている派生流派だが、我流としており、初代当主である夏川の苗字を取った夏川流とはしていない。
理由としては未完成の剣術であるからだそうだ。
俺の感触として十分完成形であるように思えるが、プロ意識というものだろうか。
完成形ではないとしている。
その他にも二刀流派である鳳凰流を習ってもいた。
双剣は扱いが非常に難しく試行錯誤をし現在に至る。
それらによって俺の双剣の腕は磨かれていった。
あの少女の言った通り、次第に俺はシルバーソードの二刀流
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