第2話 残酷 罪悪感 絶望

僕は、崩れ落ちた

現実なのかも、

現実逃避しだしたかもわからなかった


やっと芽生えた感情に向き合えると

思ったのに

間違いなのか?優しさに

流されてるだけなのか?

もうわけがわからないよ


ふと声が聞こえてきた

懐かしくて心地の良い


「…優しは時に残酷なんだよ

 だからション程よくだ

 でないとションは……する」


「最後なって言ったの?尚兄ちゃん」


「……だ」


ハッとした時に目の前にいたのは


「気がついたか?しょんた」


高谷だった


「…ハッと我にかえるとたいがい高谷

 目の前にいるとかやだーけど」


ホッとするって呟いたら

どっちやねんってツッコまれた

僕はくすりと笑った


「笑えたんだ僕…」


「そりゃ笑えるだろよ

 笑えない事も言ってやるよ

 よっ。一ヶ月ぶりしょんた」


「は?」


慌てて携帯の表示をみる

確かに一ヶ月経っていた

アレは気絶して夢現だったのか


「マジかよって…誰?」


「尚さんだよ?

 しょんたの幼馴染の

 双子のお兄さん」


高谷はそう説明して

尚さんは口を開いた


「やっぱ忘れてるよな…

 そのきっかけ

 俺が作ったのに…」


僕は、思考がついていけなくなった

お構いなしに説明をする尚さん

まとめると


僕は、小学五年生の頃の夏休みの

一ヶ月の記憶が確かにない

事故にあったせいだと聞かされいた

でも実際は違ってた

尚さんが催眠術をかけたから


「シゲ兄にも優しくして

 尚さんにも人懐っこく笑うから

 嫉妬して催眠術かけて

 記憶から取り除こうとしたら

 尚さんを忘れてしまい今に至ると?」


尚さんは頷き


「優しは時に…

 残酷なんだよ

 だからション

 程よくだ…」


そう言って僕の頭を撫でた


「でないと僕は…

 尚兄もシゲ兄も

 傷つけて罪悪感に

 苛まれ絶望する」


「ション…良かった催眠術とけた」


安堵しつつ平謝りの尚兄


「しょんた、

 俺はもう帰るよ

 また明日」


高谷は帰った

なんか気まずかった

思い出したから


「尚兄…お願いがある

 今日はもう帰ってくれ

 明日の夜に気持ち

 整理してから

 話たい事あるから」


尚兄は頷き帰宅した


そして僕は、自分の気持ちを

素直に吐き出そうと思い

シゲ兄を呼び出すことにした


例え傷つけてしまうと

わかっていても

残酷でとてもとても

黒塊だとしても


部屋のドアが開いた


「祥太郎、全て

 思い出したんだな?

 俺に対する好きの意味も

 黒い塊を吐き出そうと

 してることも」


僕は頷く。シゲ兄は


「全部吐き出せ、

 受け止めてやるから」


深呼吸して話し出す


「僕は、シゲ兄より

 尚兄が好きだった

 安心も、抱きしめて欲しいも

 会いたいも全部尚兄に

 対してだった…

 忘れていたから

 本当は双子で

 心配してくれていたのに

 どちらもシゲ兄だと思っていた

 だから…だから…

 シゲ兄に恋してるんだと

 思ってしまってた。

 シゲ兄は僕を

 抱きしめたりなんて

 してくれた事なかったのに

 背中をさすってくれた

 事はあるけど

 シゲ兄は僕を

 弟に接する様な

 愛情は示してくれてただけで

 中学時代から

 彼女一筋だったな」


「そうだよ。

 俺は彼女一筋だ

 祥太郎を愛してるのは

 尚だよ。馬鹿な

 兄貴のせいで…

 巻き込まれ最悪だよ

 祥太郎は可愛い弟的存在

 それ以上でも

 それ以下でもない」


僕は土下座をしながら


「催眠術とはいえ

 シゲ兄には酷いことした

 煮るなり焼くなり

 好きにしてくれ」


シゲ兄は


「半分はアホな

 兄貴のせいだから

 祥太郎を責める

 気にはならない

 ブランコな弟を

 持ったとしか

 思ってないから

 詫びたいというなら

 尚のことをもう

 暴走させないように」


それで今回の件は

終止符とする

って笑いながら帰ってった


「シゲ兄は本当

 いいお兄ちゃんだよな」


噛み締めながら

シャワーを

浴びて眠りにつく

翌日夕方に

高谷が来た


「悪かった。俺は

 知ってたんだ

 しょんたが催眠術に

 かけられてたことも

 尚さんが好き

 だったことも

 なのに、告白を

 止めてやれなかった」


止めいたら一ヶ月

寝込まずに済んだかも

そう言って謝罪された


「別に高谷の

 せいじゃないから

 それに俺はまだまだ

 残酷なことを

 しでかそうとしてる…」


「しょんたは今も

 尚さんが好きだろ

 俺は、運命の人じゃない

 頼むから、見失うなよ」


食い気味に言われた


「よくわかったな

 僕は、高谷を好きに

 なりかけてた。

 けどやっぱ

 尚兄一筋みたいだわ」


「尚さん一筋な

 しょんたは可愛いぞ」


そう言われて

思わず吹いた

高谷も言っておいて

爆笑してた


「これでしょんたは

 周りに理解されるかは

 別として絶望感に

 苛まれる事はなくなる

 ちゃんと尚さん

 捕まえておけよ」


「嗚呼わかってるよ(笑)」


気持ちをまとめる為に

高谷に手伝ってもらった


さていよいよ尚兄に

伝えなきゃ僕の気持ちを

一生尚兄と過ごしたい

幼稚園児の時から尚兄を

好きだった

成長しても変わらなく

好きだった

小学生の頃に、

親友に打ち明けたら

気持ち悪いとドン引きされ

同性を好きになるのは

変だと言われた

自分に暗示をかけた

異性を好きにならなきゃ

いけないと

尚兄に対する感情を

消したくて必死になってた

そんな時に催眠術をかけられて

ごちゃごちゃ思念が渦巻き

忘れてしまったのかもしれない

大切な感情すら

忘れていたなんて

胸がチクチクと痛み

マイナス思考で

いっぱいになり

めまいがし目の前が

真っ暗になった


ふわっと甘い匂いがした


「大丈夫か?ショタ

 自分の感情に気がついて

 罪悪感に苛まれたんだなぁ」


「…尚兄…」


薄れゆく意識の中で微かに

尚兄が居たのはわかった


意識が戻ると

辺りが血の海になっていた


「ふふふはははこれで

 尚兄は永遠に俺のものだ」


尚兄を殺めた


「僕も今から尚兄の元に行くね」


俺は僕をも殺めた。

数日後僕等は

遺書と共に発見される


〜罪悪感に苛まれ

 絶望感から

 殺めた

 来世では結ばれて

 います様に〜


絶望


               完

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嫌いな黒塊 まきもの @fkm

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