第15話 二人の休日
翌日、フネは休みだと言っていたけど、
フネに会いたくてしかたなくなり、
結局お昼前にフネの家に向かった。
チャイムを押す。
フネは出ない。
もう一度チャイムを押す。
返答がない。
フネは出かけたのだろうか。
もう一度チャイムを押す。
「まさか、、倒れたりしてないよね…」一度心配になると、悪い予感だけで目の奥がぎゅっと痛くなった。
門に手をかけ開けようとした時、、『はい、どなた?』とフネの声。
インターフォンの前まで戻って「フネさん!! ワタシ!!」と言うと「なんだい、今日も来たのかい、入っておいでよ。知らない家じゃないんだから」と返事があった。
私は急いで玄関ドアを開け「はいりまーす」と靴を脱いでリビングに向かった。
「フネ!フネさん!」「なんだい、ここだよ」
「あ〜、良かった。なかなか出ないから、倒れたりしちゃってるんじゃないかと思って」
「…、あきれたね。 アンタ、この何日間か私の何を見ていたの?」「フネさんの? …顔?」「顔か。じゃぁしょうがない。顔はまだ若いから」「へ?」「自分で言いたかないが、年寄りってのは鈍いんだよ。あんたみたいにパッパパッパと反応できない。しかも私は足が悪いんだ。わかったかい?」「うん。そうだった…」「今度から、チャイムを押したらぁ、フネさんは今、杖を持って立ちあ上り〜、壁に向かって歩きだし〜、ってね、想像するんだよ。それでも返事が無ければ、トイレに入っているかもしれないな〜、とかさ、相手の都合を思いやってから、また呼鈴を押しなさいよ。そんな立て続けに押すもんじゃないよ」「うん。わかった。」
「で?、なんだい今日は休みでいいと言っただろう」「うん。でも、、もし、もし嫌じゃなかったら、一緒にお昼ごはんでも食べませんか?」「ああ、そういう事か。腹が減って私を訪ねて来るなんてね。ワハハ、アンタは野良猫かい?」「ニャー」「アハハ、じゃぁかつお節ごはんだ」「アハハ、今の猫はかつお節ごはんなんて食べないですよ」「んじゃなんだい? アンタ猫は何を食いたいの?」「フネさんは? 何か食べたいものないの?」「私かい? …そうだねぇ… あ!あった!」
フネはハンバーガーが食べたいと言った。
「じゃぁ、行こう!」私はフネを車椅子に乗せて出かける事にしたのだ。
誰かと出かけるなんて、どのぐらいぶりだろう。心臓がドキドキするのは、私らしくないことをしているからなのだろうか。それとも、これってあれ? ワクワクっていうやつ??
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