第4話 人助け
「お婆さん、ひとり暮らし?」
「そうだよ」
じゃあ仕方ない。
「わかった。待ってて」
門を開けて玄関に向かう。きれいに段差を整えた作りになっていて、ガチャリと鍵を開け大きな引き戸をスライドさせると、広い玄関に車椅子がたたんで置いてあった。
和モダンといった感じかしら。
思いの外素敵な造りの家だった。
車椅子は以外と重い。よいしょ。よいしょ。と玄関の外に出してぐるり一回り確認すると、いくつかレバーのようなものがあり、動かしてみると、ちょうど左右の肘掛けの後ろにタイヤをロックしているレバーを見つけた。よしよし、これで押していける。
再び玄関の鍵をかけて、ババアのもとへ。
「おばあちゃ〜ん、きたよ〜」と近づくと
「はい、ご苦労さん。ソレ、コッチ。」と横に持ってくるように指示があった。
「はいよ」「あんたね、たたんだままでどうやって座るのよ」「え?、どうやって広げるの?」「座るところを手で押して、両手で、下に」「はあ、あ。できた。」「そしたらあんたこっちきて」「はい」「私が座るまで動かないで」ババアはぴったり横についた私にがっちり掴まりふわっと重心を車椅子に移した。「ほお、器用なもんすね」「そうよ。手の力はあんのよ。ゆうこと聞かないのはこっちの足だけ」と言うと自分でタイヤをくるくると回して動き出した。
「あ、鍵」と後ろをついて行くと「乗りかかった舟」と。
しゃあない。魔女ババアの舟について行く事にするか。
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