4日目
――4日目
朝食時、母さんから「朝、急に主張が決まって会社から連絡あってね。今日から一週間くらいいないから、三人で仲良くすのよ」と言われた。
それを聞いた瞬間、俺と小春の背筋が凍る。
美玖が言った通りだからだ。
母さんが主張中で家にいない間、俺は学校の屋上で刺殺されてしまう未来――。
これで美玖が本当のことを話していると確信する。
肝心の美玖はというと……。
「上手くいけば、シンシンに夜這のチャンスかな~、キャッ♡」
一人、ぶつぶつと妄想を膨らませている。
こいつも違う意味で十分危険人物だと思った。
そういえば俺……美玖に告白もされているんだよな。
現役JKアイドルからの告白か……どう答えればいいんだろう?
無事に学校も終わり帰宅する。
俺と美玖で夕食の準備をする。
エプロンを着用し、二人で台所に並ぶ。
美玖が野菜の皮を剥き切り刻む。
俺は鍋に湯を沸かし、米を炊きながら、その横顔をチラ見している。
すっかり大人びているが、まだどこか幼さを残している綺麗な横顔。
――やっぱり、かわいい。
こんな子に好きって言ってもらったんだよな?
俺だって幼い頃から、ずっと美玖のことが好きだったんだ。
でも俺はいつも彼女に守られてばかりだ。
今だって……。
しかも今じゃ美玖は国民的JKアイドル。
普通ならとても手の届く女の子じゃない……。
それでも、やっぱり美玖が好きだ。
だから、いずれは俺が美玖を――。
「おにぃ、今日カレーでしょ? わたしも手伝うから~」
なぜか小春が俺達に間に無理矢理に割り込んできた。
「ああ、頼むよ」
「小春ちゃん、偉いねぇ。そうやってお兄ちゃんを支えているんだねぇ。あたしなんて寮で暮らすまで何もしなかったから感心しちゃうなぁ」
「ええ……まぁ。わたしの兄ですから……」
神対応ぶりに褒める美玖に、小春は素っ気なく応える。
この二人、小さい頃は本当の姉妹みたいに仲が良かったのになぁ。
時が経つと、こうなってしまうのかっと少し寂しく感じてしまう。
「アイドルなんかに負けないんだから……」
小春は、ぶつぶつと小声で呟いていた。
夕食後、風呂から上がり俺は自分の部屋で寛いでいる。
誰かがドアをノックしてきたので開けると、パジャマ姿の美玖が立っていた。
その無防備な姿に、俺はドキッと胸が高鳴り顔を背けてしまう。
「……どうした、美玖?」
「夜這い」
「帰れ」
「嘘。ねぇ、シンシン……明日の休日って暇?」
「何も予定はないよ」
陰キャのぼっちだからな。
いつものゲーム三昧かな。
「だったらさぁ、街でお買い物に行きたいの。付き合ってくれる?」
「俺と?」
「うん、駄目?」
「いいよ、暇だし。けど、美玖がそのまま街に出たらマズくね?」
「大丈夫、ちゃんと考えているから」
美玖は柔らかく微笑み、手を振って自分の部屋へと戻る。
こうして俺の明日の予定が決まった。
【芯真が死ぬまで、あと6日】
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