第26話 外に出るのは命がけです
「それじゃあ、行くわよ」
閉鎖された空間から出る為に、作戦を立てた4人。
エレナは、両手を前に出し集中する。
4人の前に小さな黒い穴が出現し、徐々に大きくなっていく。人が1人入れるくらいの大きさになった所で止まった。
「ここからは、私の番だな」
入り口を作り、大量の汗を流すエレナに変わり、カルマが入り口が閉ざされないように力を加える。
「これは、想像よりも・・・辛いな」
「急ぎましょう」
「私が先に行こう。主殿達は後から来てくれ」
シルファが最初に入り、エレナ、優気、カルマの順で入って行く。
空間の中は広く、薄暗い場所だった。
「かなり広いね。何処に向かえば」
「大丈夫」
どの方向に進めば良いか悩んでいると、エレナは目を瞑った。すると、1つの道が出来た。
「この道を、真っ直ぐに進んで、出口があるはずよ」
「シルファ、先頭をお願い」
「分かりました」
シルファを先頭に走り出し、急いで出口に向かう優気達。
エレナの体力もかなり消耗しているが、カルマもかなり辛そうにしていた。
「カルマ、大丈夫?」
「正直、かなりきついですが、堪えきってみせますよ」
「ありがとう、カルマ。エレナとシルファは大丈夫?」
「問題ありません。モンスターの相手も私1人で十分です」
「もう一仕事あるから、弱音なんか吐いてられないわよ」
この場所に飛ばされたときに優気達が遭遇したモンスターが襲ってきたが、幸いにも数は少なくシルファが移動しながら倒していた。
「あっ、あれ!」
優気は、道の先にエレナが作り出した入り口と似たものがあることを確認した。
「どうやら、出口までたどり着けたようですね」
「だが、小さすぎる。あの大きさじゃ誰も入れないぞ」
「私に任せて」
エレナは、右腕を左手で支えながら前に出し、出口に向かって力を注ぎ込んだ。
出口は先程よりも大きくなったが、4人を出させまいと小さくなっていく。
「やばっ、これ以上は」
「くそっ、私も、もう力が・・・」
「全員、下を噛まないように口を閉じていろ!」
「シルファ、どうするの!?」
「すみません! 説明をしている余裕はなさそうです!」
先頭にいたシルファは後ろの3人の頭上を飛び越し、一番後ろに立った。
そのまま全員を抱えて音速のスピードで出口に飛び込んだ。
一瞬、光に包まれたが4人は館の外に出ることが出来た。
「いたたた、ここは?」
「・・・中庭かな?」
「屋敷内の何処かに出るかと思っていましたが、直接外に出られたみたいですね」
「流石にこの姿で全員を連れ出すのは疲れた。皆、無事か?」
「体力は、スッカラカンだけど、何とか無事よ」
「一応動けるが、あまり戦闘はしたくないな。優気様は大丈夫ですか?」
「うん、皆のおかげで無事だよ。本当にありがとう。お疲れ様」
「主殿が無事で何よりです」
4人とも、体力の消耗は激しかったが誰も怪我をすることは無く、無事に出られたと言っても良い結果となった。
「この後は、どうしますか?」
「今日は、1度街に戻ろう。もう少し調査した方が良かったんだろうけど、皆疲れているしね」
「屋敷の中に入れただけでも十分な情報でしょう。他の冒険者は、近づくことすら出来なかった訳ですから」
「あんた達、さっきから何の話ししてるのよ」
「ギルドからの依頼の話しだよ」
「そう言えば、そんなこと言ってたわね。ていうか、九尾とかフェンリルが街に入って大丈夫なの?」
「普段は、隠しているからね。僕達の事情を知っている人もいるけど」
「ふ~ん、それじゃあ、私が一緒に行っても大丈夫ってことね」
「えっ?」
「えっ? じゃないわよ、行くところが無いんだから当然でしょ」
「でも、2人が一緒なのは僕がテイムしたことがきっかけだから」
「へぇ~、あんたテイマーだったのね」
「優気様、それは言わない方が良かったと思います」
カルマの注意はすでに遅く、エレナはほくそ笑んで優気にある提案をした。
「それじゃあ、あたしの事もテイムしなさい」
「えっ、えええ~~~~~~!!!!!!」
屋敷から出られたのも束の間、優気に新たな問題?が発生した。
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