第18話 史上最速でランクを上げることが出来ました

 ギルドに戻った優気は、いきなり冒険者ランクが上がったことをリアから報告され驚いていた。

「えっ? 僕の冒険者ランクが上がった?」

「はい、優気さん達が採ってきてくれた薬草の数が依頼を何百回とこなしている程の量だったので、ランクを上げさせて頂こうかかと」

「でも、良いんですか? まだ、僕冒険者になったばかりなのに」

「君がしたことはそれだけ凄いことなんだよ」

「エルさん」

「君が採って来てくれた薬草は、冒険者や街の人達も使う回復薬の材料でね。あれだけの薬草があれば多くの人達が救われる。実感は、湧かないだろうけどね」

「そう・・・ですね、正直よく分からないです。でも、誰かの役に立てたのなら嬉しいです」

「ともかく、優気さんの冒険者ランクは1つ上がってFからEランクになります。書き換えておくのでカードを貸して貰えますか」

「あ、はい、どうぞ」

「それでは、少し待っていて下さい」

 カードを受け取ったリアは、足早に受付の奥の部屋に入っていった。戻って来る間、エルと話すことにした優気。

「しかし、驚いたよ。まさか、冒険者になってたった1日でランクを上げるなんて」

「そういう人って少ないんですか?」

「少ないも何も君が初めてだよ」

「えっ!?」

「普通冒険者ていうのは、依頼を複数こなすしていく中で成長してランクを上げるものだ。FからEに上げるだけでも最低3ヶ月は掛かる」

「さ、3ヶ月ですか」

「ところが、君はそれを1日で成し遂げたからね。ギルド中君の話で持ちきりさ」

「流石優気様、こんな短時間で多くの者に知られるなど」

「う~ん、個人的にはあまり目立ちたくは無いけれど」

「主殿が迷惑だと思うのならば、私がこの手で・・」

「しなくていいからね。ていうか、しちゃダメだよ?」

 シルファが、何を言うかが大体検討がついていたので、すぐに止めた。

「いきなりの事で正直私も驚いていたが、改めて言わせて貰うよ。ランク昇級おめでとう」

「えへへ、何だか、エルさんに言って貰えると嬉しさが違いますね。やっぱり、ギルドマスターからのお言葉だからでしょうか」

「そうだね、1人の冒険者にここまで構ったのは君が初めてだよ。これからも無理をしない程度で頑張ってくれ」

「はい、ありがとうございます」

 リアがカードの変更が出来たのか戻って来て優気にカードを渡した。

「お待たせしました、変更出来たカードになります」

「本当だ、文字がFからEになっている」

 両手で大事に持ちながら、ジッとカードを見つめた。色々驚きはしたが、実際にランクが上がったのを見て、少し顔がにやけてしまった。

「良かったですね」

「うん、カルマとシルファのおかげだね」

「いえ、主殿の実力です」

「そうです、優気様が自分の力で得たものです」

「違うよ、2人がいたからこそだよ」

「いえいえ、優気様が・・・」

「そうです、主殿が・・・」

「違うよ、2人の・・・」

 優気は2人のおかげだと言い、カルマとシルファは優気1人の力だと言い、お互いに譲り合っていた。エルとリアは、その光景を微笑ましく見ていた。

「まあまあ、3人一緒だったから今回の結果に繋がったと考えれば良いんじゃないかな?」

「そうですね、僕とカルマとシルファの3人だから出来たんだよね」

「はい」

「主殿の言うとおりです」

「ふふふ、本当に仲が良いね、君達は。これからも、その調子で頑張ってね」

「はい、頑張ります」

 こうして、冒険者になって初めての依頼は無事達成し、史上最速でランクを上げることに成功した人物になった。

 ランクを上げた事で、より一層冒険者として頑張っていこうと気合いを入れた優気なのだった。

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