居候
第一話 衝撃
衝撃だった。そして後悔もした。
俺は男にときめいてしまったのだ……。分かる人には分かるだろう。いわゆる最近の女子の5割位はキャーキャー言っているアレだ。はっきり言わない理由は俺は白だからだ。
お茶を持ってきた彼は真紅の瞳でこちらを見て、頭の上にハテナが付きそうな顔をしていた。首をコテンと傾げるところは女子力男子の証とでも言うべきだろう。気まずい空気の中、俺は茶を啜る。
「そういえば、お名前を聞いてませんでしたね。」
彼__竹内 花音は茶菓子を出し、ニッコリと笑って俺の名前を尋ねる。
「俺は
花音は頷き、何を思ったか立ち上がる。そのまま部屋から居なくなった。
茶菓子を食い終え、茶を啜っていると花音が赤い風呂敷に包んだ何かを俺に渡す。
「自由に使ってください。」
中には着物が入っていた。だが、現代社会は着物の着用は日光や京都ではないと、だいぶ変に見られやすい。まず、この濃霧から出られるかどうかさえも怪しいのに……
「出られませんよ。」
俺の心を読み取ったのか、花音は冷やかな声を発した。その声は俺にある事実を教え込んだ。
「出られない……?」
「ええ、出られません。」
花音はさっきとは打って変わって、光の無い血のような目になった。
「貴方はもう、出られないんです。」
濃霧はいつの間にか闇に包まれ、辺りには光一つなかった。
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