第44話 グロマ釣りと海人マスターヨダ

「全然釣れませんね〜。マスター」


「そうですね〜。何故でしょう?」


 マスターと、狩人マスターゴトーは、リューギャー王国で食べた中で、唯一美味しかった魚、グロマを釣るために、港に来ていた。



 竿を振ると、100m先までルアーは飛んで行き着水する。そして、ポンピングしながらリールを巻く。かれこれ、2時間以上やっているが、いっこうに釣れる気配がない。そして、誰も釣れてないのかというと、


「ヨッシャー」


「へへへ、また釣れたぞ」



 など、周りで釣っている人達は、結構釣っている。


「おかしいですね。せっかくリューギャー王国のお金で、最高のロッドと、最高のルアーと、最高のリールを買ったのに、おかしいですねマスター」


「本当ですね〜」



 場所が悪いのかと思って、変えてみたり、エサ釣りの方が良いのかと、リューギャー王国のお金で、エサ釣り用の道具を買っても効果なし。


 再び、周りを見回す。ぼうずなのは、2人だけだった。いや、違った。2人の隣で釣っている人もぼうずだった。



 マスターが、話しかける。


「なかなか釣れないですね」


「ん?」


 隣の人が、リールを回し始める。そして、引き上げると、針がついて無かった。


「えっ」


 マスターと、ゴトー君は、驚いて聞く。


「何で、針付けてないんですか?」


「わしのレベルになると、イマジネーションで釣るんじゃよ。まあ、見ていろ」



 そう言うと、今度は、ちゃんと針をつけ、ルアーを取り付けて投げる。そして、着水ゆっくりリールを巻くと、ロッドが凄い勢いでしなる。そして、周りの人達が、凄い長時間かけて釣り上げるのだが、その人は、するすると引き寄せ、あっという間に釣り上げる。



「すげー。俺にも教えてください、師匠!」


 狩人マスターゴトーが叫ぶ。そして、マスターも、頭を下げつつ、


「どうしても釣りたいんです。じゃないと馬鹿にされるんで」


「ホッホッホ、仕方ないのー。釣りの極意を教えて、信ぜよう。わしは、海人マスターヨダだ」


「あざっす」


「ありがとうございます」



 こうして、始まった。釣り修行。


「違う! もっと魚の気持ちになって考えろ!」


 とか、


「ずれてるだろ! グロマは、あそこにいるんだ! 魚の気配を感じるんだ!」


 とか、修行を続ける。そして、


「ほらほら、マスターまた釣れましたよ」


 さすが狩人マスターゴトーコツをつかんだのか、グロマを釣り上げる。しかし、


「ググギギ。オノレ」


「マスター怖い、リラックス!」


 一部魔獣化しているマスターに、ゴトー君が叫ぶ。そして、マスターヨダも



「違う。考えるんじゃない! 感じるんだ!」


「はい!」


「もっと、もっと。考えるな! 感じろ! Don,t think! feel!」


 すると、マスターが光り始めた。その瞬間狩人マスターゴトーが消える。


「あっヤベ」



 そして、マスターが叫ぶ!


「Don,t think. feel!!!」



 すると、マスターはさらに光り輝き、服がちぎれ飛ぶ。どういう構造になっているのか、ズボンはそのまま。そして、体は、2倍程の大きさになり、全身は黒い固い毛に覆われ。そして、顔は、口から固く尖った牙がはえた。


 そして、マスターの全身からエネルギー波が放たれる。海の上に多量のグロマが浮く。


「やりました。マスターヨダ。ってあれ?」


 周囲には、クレーターが出来ていた。



 遠目にそれを確認した。狩人マスターゴトーは、


「アブネ! 先生呼んでこよ」

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