第42話 5魔神襲来?

「報告致します。大魔神様がおっしゃられていました人物が動きました。飛空艇にて、リューギャー王国に向かっております」


「そうか。厄介だな」


「大魔神様、御安心ください」


「おお、お前達は」


「はい、我らにお任せを。まずは」


「わたしが行きますわ」



 人形のように可愛らしい、小さな影が進み出る。



「おお、残虐神様だ!」


「あの人形のように可愛らしい外見で、近づき魅了して、心を操り、同士討ちで皆殺しにすると言う」


「ああ。つい先日も、それでジガキ王国軍が全滅したって聞きました。なんて、怖い方だ」


「うむ、残虐神。頼んだぞ」


「はい、わかりましたわ」







 飛空艇の中は結構大きかった。1週間程の空の旅。そして、飛空艇版キャットハウスが開かれ、毎日のように飲んでいる。そして、3日程の連日連夜の飲みの後、飛空艇内は少し静かになった。






「さて、転移は上手くいったようね。ここはどこかしら?」


 小さな影が飛空艇内を歩く。そして、前方に人影を見つける。さあ、仕事だ。


「ふふふ、お兄さん」


「だーー! うるせぇ! 頭に響くだろ!」


「クチャ!」



 小さな影は、勇者カミヤの全力のパンチによって、消滅した。







「なに、残虐神が消息不明?」


「はい」


「うーん」


「では、俺に任せてくれ」


「おお、牛魔神様だ」


「見た目2本足で歩く巨大な牛だが。この間、力自慢の冒険者を指一本でへし折ったと」


「それも凄いが、俺はヨロズ王国軍1人で、全滅させたやつを見た時震えが止まらなかったぞ」


「そうか。牛魔神頼んだぞ」







「さて、転移成功だが。ここはえらく寒いな。身体が動きにくい」



 その時だった。扉が開き。髭モジャモヒカンの大男が入ってくる。



「冷凍庫に、食材を探しにきたら、良い物がありました。生きた牛さんですね。今日は、焼き肉にしましょう」


「なっ! ちょっと待っ」



「スパッ!」



 牛魔神の首がはね飛び。鮮血が舞う。そして、全身を真っ赤に染めたマスターによって、牛魔神は、解体されていった。



「ふん、ふん、ふん。焼き肉、焼き肉!」










「牛魔神まで、どうしたというのだ?」


 すると、ふわふわと白い影が漂う。


「わたくし目にお任せを」


「おお、死霊神様だ。霊体だから見えないし、魂を抜いて殺してしまうそうですよ」


「怖いな〜」


「死霊神。どうするのだ?」


「我は存在感知されませぬ。どうなったかだけでも、見てきます」


「そうか。わかった。死霊神頼んだぞ」








「さて、転移したぞ。どこだ?」


「レイスか?」


「なに! 我が見えるのか?」


「専門だしね」


「なに?」


「冥界神の名において命ず。開け冥界の門!」


「ギャー!」








「……」


「どうなってんだ? やめた方が良いんじゃないか?」


「俺は、水中では最強です。水の中から様子だけ見てきます」


「魔魚神様だ。この間、連合海軍を全滅させていたな」


「水中では最強だけど。ちょっと心配だな。どうなってんだ?」



「わかった、飛空艇には近づくなよ」









「さて、泳いできたが、あれが飛空艇か。見てるだけでは、状況はわからないが」


「ん?」


 目の前に、美味しそうな食べ物が降りてくる。



「せっかくだから、ちょっと食べてから帰るか」



「パク」





「HIT!」



 ゴトー君が、凄い勢いで糸を巻き上げる。飛空艇から、糸を垂らして魚釣り。釣れるわけないと思っていたのだが、釣れたな。そして、巨大な魚? が上がった。そして、手早く、ゴトー君は、エラにナイフを突き入れ、しめる。見事な生きじめだ。



「ゴトー君、なんの魚ですかね?」


「さあ? 始めて見る魚ですね。なんでしょ?」


「まあ、美味しかったら、何でも良いんじゃね!」



 勇者カミヤの言葉に頷いて、わたし達は、その魚を、キッチンに運んだ。









「あの飛空艇には、近づかぬように命令する」


「あの」


「なんだ? 邪竜神様が、怒って飛び出してしまいました。飛空艇を撃墜するそうです」


「うーん、まあ邪竜神なら問題ないと思うが」


「はい、魔竜最強ですから。大丈夫とは思うのですが」









「う〜。気持ち悪っ。しかし、先生とカミヤさん化け物かね。連日飲みっぱなしだぜ。ただって聞いたら現金な奴だぜ。うっ、オエ。オエッ、ゴーーーーー!」




 バッカスオサダの口から、凄まじい熱量の炎が放たれ。前方から飛んできた。竜に直撃する。全身を焼かれたものの、流石に最強種族そのまま飛び続ける。そこへ、第2射? 吐瀉?



 それでも、ふらふらと飛ぶ。そして、飛空艇に近づいた時だった。




「先生さ〜。いつもみたいに、俺連れて飛べる?」


「大丈夫ですよ」


「カミヤさん、あそこまで、大きいと美味しくないかもしれませんよ」


「ゴトー君さ〜。食べてみないとわかんないしょ」




 そう言うと、勇者カミヤは、連れられて浮かび上がり、邪竜神に近づく。嘔吐爆炎砲の斉射を受けた、邪竜神の動きが鈍い。



「スパッ!」




 邪竜神の首が刎ねられ。美味しく食べられた。こうして、人間の国々を恐怖のどん底に落とした5魔神は、全滅した。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る