第39話 勇者と勇者

「「ククク、もうあなたは終わりですよ」マスターはわたしの肛門に刃を突き立てた」


「先生、すみません。変なアテレコやめてもらって良いですか? 料理が作りにくいです」


「あっ、ごめんなさい。暇だったからつい」





 奥のテーブルでは、狩人ハッタのゴトー塾卒業祝い兼、勇者アオグループ再加入祝いをやっていた。参加者は、勇者アオ、剣聖シロ、魔術師ユナ、狩人マスターゴトー、狩人ハッタ、そして、戦士タク。



 勇者アオ達も戦力が整ってきて、評判が良いそうだ。そして、後はやはり回復役が欲しいってことで、聖女様が、後々参加するそうだ。



 ちょっと嫌な予感がするが、聖女ってあれのことかな。一応わたしの弟子だったが。ちょっと頭のおかしい女の子、いや、女の子って歳でもないかも。見た目100点聖女、中身0点聖女。



 まあ、そんなことは、どうでも良いのだ。聖女が加入しだい、遠くディオーンの大地に攻め込んできた、魔族軍に対処するために出発するそうだ。だいぶ先になりそうだけど。





 皆楽しそうに飲んでいる。ハッタ君も嬉しそうだ。カッコがあれだけど。ちょうど、ゴトー君がその話題に触れたようだ。



「おいハッタ、なんだその格好は世紀末覇者でも目指すのか?」



 頭は、パンクロッカーのようなモヒカン。耳には、細い円錐状の、色鮮やかなピアスが刺さり。黒い革の短パンに、袖の無い黒い革の上着、肩の部分には、尖ったトゲのついた肩パッド。



「いや、せっかく復帰するんだったらなめられちゃいけないと思って、格好からはいってみました」


「ヒャッハーって、やられる雑魚キャラっぽいな」


「駄目ですかね?」


「当たり前でしょ!」


 魔術師ユナのきつい声が響く!



「ハハハ、あれだな戦士タクと二人で、雑魚キャラ扱いだな」


「親父。やめてくれ、笑えない」






 そして、カウンターでは、勇者カミヤと、元魔族のアミューズメントパーク魔王城従業員、ミッタが飲んでいた。さっき話に加わろうとしたら、


「先生、俺達大人の話にしてるんで」



 って、断られた。いいよ。どうせ。ふん。



 というわけで、暇なのでマスターの料理見ながら、アテレコしていたのだが。



「「やめて、マスターお願い熱いの!」わたしは、マスターによって熱く焼かれた鉄板の上にのせられた。わたしの肉の焼ける匂いが辺りに漂う」


「だから、やめてくださいって!」






 しばらく1人寂しく飲んでいると。扉が勢いよく開く。



「あのさ! 一人なんだけどさ!」


「お一人様ですか。カウンターで、良いですか?」


「うん、いいよ、いいよ! あんたマスター?」


「はい」


「いいね〜。良い店だよ!」


「ありがとうございます」


「俺、今旅途中で、勇者ゴッドって言うんだよ。よろしくね」


「そうですか。よろしくお願いします。飲み物はいかがされますか?」


「ビール頂戴キンキンに冷えたやつね!」


「はい」




 マスターが、生ビールをジョッキに注ぎ、勇者ゴッドの前に置く。



「じゃ、頂きます。皆さん乾杯!」


「乾杯!」






「でもさー。こんな街なのに、珍しい店だね。いいね。気にいったら、また来るからさ!」


「おめーさー、うるせーんだよ」


「えっ、それはすみませんね〜!」


「ああ! なんだてめー」


「はいはい、カミヤさん、やめましょうね」


「マスターさー。だって、うるせーからさ。俺静かに飲みてーんだよ」


「カミヤさんの、声も大きいから、同じですよ」


「そう? だったら、ごめんね」


「えっ、マスター。カミヤさんが誤った」


「先生、クララが歩いた的に言うの、やめてください」


「ハハハ、まあ、俺、今日だけなんで、ごめんね!」





 勇者ゴッドと、マスターの話を聞きつつ、思う。勇者カミヤに、似てるな話し方といい、態度といい。そして、それを見つつイライラしているカミヤさん。同族嫌悪ってやつかな。





「俺さ、勇者なんだけど、結構強くてさ! あれなのよ、今回大魔神出たからって呼ばれちゃってさ!」


「ヘ〜、すごいですね。ザーマシティにも、勇者カミヤありって言われてますけど、知ってます?」


「知らねえな! そんなやつ!」


「なんだと!」


「カミヤさん、まあまあ」







 そして、勇者ゴッドが帰ると。



「あいつ、何なんだろうな。うるせーんだよね。勇者だからって威張りやがってよ!」


「いや、カミヤさんも変わらないですよ」


「先生シー!」

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