第20話 復活勇者カミヤの暴言

「だからおめーは駄目なんだよ!」


 わたしが、キャットハウスの前に立ち、さあ入ろうかとした時、カミヤさんの声が響く。うん。ようやく元気になったようだ。



 あれから1ヶ月、本当におとなしかった、勇者カミヤも、力が戻ってきたようだ。髪もはえてきたのかな?




 わたしは、扉を開けて中に入る。8席ほどのカウンターの右端に、カミヤさんが、そして、左端に魔術師ユナと、その友達が座っていた。奥のテーブル席には人はいない。えっ、今の女の子に対して言っていたの?



「先生、お疲れ様! ここ来なよ、ここ!」



 わたしは、カミヤさんに言われるまま、その隣に座る。



「先生、お疲れ様です。飲み物いつもので、良いですか?」


「マスターお疲れ様。いつもので、お願いします」


「はいよ」



 わたしの前にグラスが置かれる。そして、



「カミヤさん、マスター、お疲れ様、乾杯!」







「そう言えばさあ〜。先生聞いてよ! ユナちゃんの友達の女の子、最近離婚したんだってさ、最近流行りのデーブイてやつでさ」


「DVですか? 大変ですね。心の安寧をお祈りします」


「先生、ありがとうございます」


「いや、先生、そんなのはどうでもいいの。そんな男に捕まるってさ〜。男見る目ねぇな〜ってこと!」


「いや、カミヤさん、いくら何でもひどくありません? そんな傷心の女性にひどい事を」


「ん? なんで傷心なの? 離婚したら清々するでしょ?」


「そりゃ、カミヤと離婚できたら清々するけど、普通は、違うんだよ!」


「ユナちゃん、一応カミヤさん。あれでも一応目上なんだからさ」


「マスター、あんなのカミヤで、十分!」


「うるせー! 貧弱!」


「貧弱言うな!」


「まあまあ、ですが、カミヤさん、自分基準でものを考えない方が良いかと。そんなこと言うと、離婚したことあるカミヤさんも、女性見る目がないってことになりますから」


「先生、ナイス! 良かったわたし達、カミヤに好かれてなくて、と言うことは、良い女ってことですよね! マスター?」


「う〜ん」


「そこ! 悩むな!」


「ハハハ、だっせ! 男見る目の無い女は大変だね〜」


「カミヤさん、男を見る目って、どうやって鍛えるんですか?」


「えっと、俺の場合! 女見る目磨いたのはさあ。あれだ、ナンパだ!」


「ナンパですか?」


「そう、今でもチェリーシティー行って良くやってるよ! 歩いてたら、お兄さんわたしと付き合ってくれないって、良く言われるし!」


「それって、お店の呼び込みでは?」


「キャハハハ、先生ナイス! うける!」


「いや、先生ちがくて。そうだ! 若い時も良く海の見える公園で、ナンパ待ちの女の子達といろいろ付き合って勉強したんだぜ!」


「と言うことは、いろいろ付き合って経験をつまないと、男を見る目、女を見る目って言うのは、養えないってことですね。彼女達は、まだまだ若いんです。これからですよ」


「うぐっ」


「キャハハハ 勇者カミヤ、ざまあ!」

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