第13話 魔王カミヤ襲来!
海上を走る怪しい集団を発見した、カナリア王国沿岸警備船フジナミ、船長は本部に連絡を入れる。
「ふぇんげんふぇいふぃふぁい、ひゅんひょうふぁんふぇじぃなふぉ、ふぁいふぉうをふぁししふ、あひゃしふぃふぁふぇほふぁっへん、ひひゅうふぉうへんふぉ!」
「申し訳ない、何を言っているかさっぱりわからないのだが」
「失礼しました、こちら巡洋艦フジナミ、副官ムトーだ! 船長は、海上を走る怪しい集団がいる、至急応援をと言っておられる、イェー!」
「わかりました。至急応援と、沿岸部の警備増強をします。ありがとうございました」
「ふぇふぁ」
肌が緑になり、目は紫色になった、不気味な姿のカミヤは今度はカナリア王国に向けて海上を走っていた、魔物達を引き連れて。
魔物達は、数名の幹部を除き海上など走れるわけもなく、勇者カミヤが握ったロープにただ、引きずられるのみであった。それでも、笑いながら、全力で走る勇者カミヤ。
「フハハハ! 殺せ、殺せ、人間殺せ」
そう言うと、勇者カミヤは、カナリア王国の海岸に上陸した。言っていることが、勇者の言葉ではなかった。すでに心は魔族。そう、魔王カミヤとなっていた。ただし、人間を殺す前に、無数の魔物が海の藻屑になっていたが。
魔王カミヤと、生き残った魔物達が、侵攻を開始する。
「ギャハハハ! 吹き飛べ、燃えろ!」
魔王カミヤは、縦横無尽に暴れる。聖剣ではなく、魔剣を持ち、剣のひとなぎで人々は、吹き飛び、強力な魔法で、建物は一撃で破壊されていった。
沿岸警備隊は、敗北を続け、中央に応援を求めた。応援が来る間も、魔王カミヤと魔物達は、暴れ続け、海岸沿いの複数の街が攻略され、いくつもの砦が崩れ落ちた。
そして、海岸で一番大きな街、フォズーガに迫った時、たまたまいた強い冒険者によって、魔物達の侵攻は、一時的にストップする。
「これは、笑えないですよ、カミヤさん」
「誰だ、おめえー」
「忘れたんですか? キャットハウスで、飲んだでしょ、オサダですよ」
「オサダー! 知らねえな!」
「だったら、思い出させてあげますよ! 嘔吐爆炎砲! ウッ、オエッ、ゴーーーーー!」
凄まじい熱量の炎が、魔王カミヤを中心とした魔物達を包む。
だが、
「あっちー! おめえー、暑いんだよ!」
魔物の幹部と共に、魔王カミヤが炎の中から出てくる。その顔は緑ながら、サウナに入った後のように上気していた。平然としている、魔王カミヤ。
だが、多くの魔物が巻き込まれ燃え尽きていった。魔物の幹部がさすがに、魔王カミヤに声をかける。
「あの~、カミヤ様、味方の数がだいぶ減っていますが、いかがしましょう?」
「あ~! 味方? 燃えちゃったの? 気合いがたんねーんだよ、気合いが!」
「はっ、申し訳ありません」
炎から平然と出てくる、魔王カミヤを見て、驚愕の表情をしている。バッカスオサダ。
「俺の必殺技も効かないんですか。さすが、カミヤさん。ですが、俺も冒険者として、この街を守る義務があるんでね~。倒させてもらいますよ、カミヤさん!」
「ごちゃごちゃ、うるせーんだよ、お前はよ! さっさとかかってこいよ!」
バッカスオサダ率いる、冒険者達が、魔物達に向かって襲いかかる。そして、バッカスオサダも、魔王カミヤに、城壁の上から、キックの体勢で、魔王カミヤに突っ込んでいく。
「オサダーキック!」
「ガタッ、ドタン!」
キャットハウスに、凄まじい音が響く。そして、勢い良く扉が開く。
「ウッ、マスターごめん、グゥ、壁、血ついちゃった」
入って来たのは、血まみれのオサダさんだった。わたしは、慌てて立ち上がるとオサダさんに駆け寄る。マスターも、カウンターから飛び出してきた。
「オサダさん! 大丈夫ですか? 誰にやられたんですか?」
マスターは、オサダさんの肩を掴み、激しく揺さぶりながらたずねる。キャットハウスの、壁に血飛沫が飛ぶ。
「マスター、痛いよ、勘弁してよ」
「マスター、どいてください。傷を治します」
「先生、すみません」
わたしは、神に祈りを捧げる。
「天にまします、我らが父よ。願わくは、この者の傷を治したまえ」
オサダさんは、光に包まれみるみる傷が治っていく。
「先生すげーな、痛くないよ。他の神官の治療ってこんなにすぐ治らないぜ」
「そんなことより、オサダさん、どうしたんですか? 何があったんですか?」
「そんなことよりって、ひでーな。まあ、いいや。カミヤさんが、カナリア王国に攻めこんで来てさ」
「えっ!」
その時、飲んでいた全員がオサダさんを見つめる。そして、戦士タクの声が響く。
「そうか! 最近キャットハウス静かだと思ったら、カミヤいなかったんだ!」
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