第14話 出撃キャット軍団!

「それでさ、マスター達に助けて欲しくてさ」


「わたしがですか?」


「そう」




 キャットハウスで、オサダさんが話し始める。



「そうですか、で、注文は何にします?」


「えっ、マスター。頼まないとダメ?」


「ええ、ここは飲み屋なので」


「わかったよ。じゃあ、ビール頂戴」


「はいよ!」




 こうして、オサダさんは話し始めた。



「俺達、たまたま、海の方で依頼受けてたのよ。そしたら、緊急依頼で、魔物の襲来を防いでくれって言われてさ、向かったのよ。そしたらさ、魔物達の先頭にカミヤさんがいたんだよ。まあ、顔色緑色してて、目は紫になっていたから、操られてんだと思うけどさ」


「緑、緑?」


 わたしは、ワックランドで見かけた緑色の生物を思い出した。


「そう言えば、ワックランドで緑色のちっちゃな生物見かけましたよ」


「誰がちっちゃいって!」


「ユナちゃん、今、ユナちゃんのこと言ってないから」


「あっ、ごめんなさい。なんかちっちゃいって聞くと、条件反射で怒りが」



 わたしの発言にユナちゃんが噛みついて、マスターにたしなめられた。そして、マスターが、真剣な眼差しで、わたしにたずねる。


「そいつの外見どんなでした?」


「う~ん、どんなって、ちっちゃい老人で」



 奥のテーブルで誰かが立ち上がる音がした。そして、慌てて勇者アオがおさえる。



「顔はしわくちゃで、ナマズか、ネズミみたいな顔してて」


「そいつだ!」


「えっ、マスターどうしたの?」


「食い逃げ犯ですよ。今度見つけたら捕まえてください」


「わかりました。話続けますね。で、その生物に神の祈りを捧げたら、緑色が落ちたんですよ」


「と言うことは、先生の祈りが効くってことですかね? それなら、先生も一緒に来てくださいよ」


「わかりました。ですが、祈りをちゃんと効かせるには、動かないようにしないと」


「それなら、俺達が止めますよ!」


 勇者アオが立ち上がりつつ、叫んだ。その目は情熱で燃えていた。


「そうね! 今なら殺れるわね! 日頃の恨みもこめて!」


 魔術師ユナが立ち上がりつつ、叫んだ。その目は、憎悪で燃えていた。



「行くわよ! 勇者アオ! 顔でか戦士1号、2号!」


「えっ、顔でか戦士1号、2号って誰だよ?」


「ちょ、ちょ、ちょ、1号、2号って!」


「うるさい! 行くよ!」



 魔術師ユナを先頭に、勇者アオ、そして顔でか戦士1号、2号こと。戦士タク、戦士レッドが出ていった。



 続いて、賢者グレンがゆっくりと立ち上がる。



「そうですね。ユナさんの言うとおりです。こんなに良い機会はありませんね。カミヤさんに、恩義を返す良い機会ですね。騎士エスパーダ、ミドリーヌ、そして、狩人マスターゴトー行きましょう。魔王カミヤを討伐しに」


「はっ、かしこまりました!」


「ええ、いいわよ」


「ほい」



 こうして、賢者グレン達も出ていった。そして、マスターも、



「わかりました。わたしも行きましょう。わたしは実際カミヤさんに、恩義がありますし。準備しますので、少し待っていてください」



 と、言って奥に入っていった。そして、身長より大きい双刃の戦斧を持って出てきた。それを片手で持ち上げつつ、肩に担ぐ。



「お待たせしました。では、行きましょう」


「わたしも準備したいので、ザーマ神殿寄ってもらって良いですか?」


「先生も来てくれるなら、なんとかなるかな?」


「わたしは、戦力にはなりませんよ」


「それは、俺とマスターで、頑張りますよ!」


「頼みます」


「じゃあ、お店電気消して、鍵閉めてと。では、出発しましょう!」


「おー!」



 こうして、キャットハウスの常連客は、マスターと共に旅立った。




「あれっ? なぜ真っ暗? あれっ、マスター」



 真っ暗になった、キャットハウスの中から、狩人ハッタの声が響く。だが、それに気づいた者は誰もいない。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る