第10話 蠢く邪悪

「おい! ダッカーノ奴からの連絡はあったか?」


「主様、こちらで、ごぜーます」




 ここは、カナリア王国より海を渡ったヨコファーメ島の洞窟奥深く、怪しげな緑の火が灯る。



 大きな椅子に座る黒い影、身長は5mほどはあるのだろうか? いや違った物凄く高い椅子で下に足が届いていない。足を、子供のようにぶらぶらさせている。





 それでもとてつもなく大きな影は、目の前で、畏まる、醜く小さな緑色の生物に声をかける。



 そして、なにやら紙の束を受けとると読み始めた。



「なになに、えーと、ミドリーヌはEカップ、ユナはAカップ、コロンはDカップ……。なんだこれは?」


「えっ、さあ? あの方の観察眼は一流でごぜーます。何かの暗号ではねぇかと?」


「ふん! まあ、良い次だ!」



 大きな影は、1枚目の紙を丸めて放り投げると、2枚目に目を通し始めた。



「勇者カミヤの弱点。エルフが臭い、わたしは好きだけど。サキュバスは、気持ちが良い、わたしは死にかけた。髪が薄い、わたしの方が濃い勝った! ちっパイは好きじゃない、わたしは、好きだ、好きだ、大好きだ! ……。なんだこれは?」


「えっ? さあ? あの方の観察眼は一流……!」



 ダッカーノの横を丸めた紙がもうスピードで通過して、洞窟の壁に当たる。そして、爆炎を吹き上げ、爆発した。


「ヒイーーーー!」



「やつに伝えろ。弟を殺した憎き勇者カミヤの情報をちゃんと集めろと」


「は、はい。申し訳ありません。早速伝えますでごぜーます」



 ダッカーノは、大きな影の前で、頭を擦り付けつつ、謝ると。その体勢から、顔を上げて、急いで大きな影の前から去っていった。



「やつも、ダッカーノも使えぬ! 何をしているのだ。使える人間が欲しい。どうしたら良いか? そう言えば、弟の部下魔王四天王に生き残りがいたはず、何をしているのだ今は? どこにいる。魔獣王ウーマ・ジョー!」

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る