第8話 戦士レッド

「マスター、マスター、マスター、それで、それで、それでさ!」


「レッドさん、マスターって1回呼ばれれば聞こえます。で、何ですか?」


「えっと、あれ、あれあれだよ!」


「はあ?」




 わたしが、仕事を終えキャットハウスに行くと、この前賢者グレンと共にいた顔でか戦士がいた。名前何だっけ?



「先生お疲れ様! いつもので良いですか?」


「マスターお疲れ様です。お願いします」


「はい!」



 僕はカウンターに座る。マスターは、僕の前にワイングラスを置く。



 わたしは、ワイングラスを取り上げ、一応あいさつ。


「乾杯! えーと、誰だっけ?」


「はい、乾杯! 俺レッドっす。よろしくです」


「あっレッド君よろしく。確か賢者グレンさんの仲間でしたっけ?」


「それが、聞いて下さいよ。彼、首になったそうで」


「マスター、マスター、マスター! 首じゃない、首じゃないし!」


「だから1回呼べばわかるって言ってるだろ。ああ、イライラしてきた」


「えっ、なんで、なんで、なんで?」


「お前のせいだ! ボケ!」


「まあまあ、マスターも落ち着いて。で、なんで首になったの?」


「先生、先生、先生! 俺、俺、俺、首になってないし」


 わたしは、神に祈りを捧げる。


「天にまします我らの父よ……」


 戦士レッドが、天上からの光に包まれる。


「何、何、何、これ。疲れがとれる、気分が良い。何これ?」


「先生、何したんですか?」


「ん? ああ、マスター。彼、悪霊か悪魔にとりつかれているのかと思って浄化しようかと」


「ちょ、ちょ、ちょっと、先生、俺とりつかれてないから!」


「みたいだね」


「ハハハ、お前、そのまま光の中、天に昇って行けば面白かったのに」


「そっか、そのまま天にって、できるかいっ! そんなこと」


「ハハハ、ちゃんとできるんじゃない、のりツッコミ」


「マスター! ひどいよ。俺だって考えてるんだよ」


「で、なんで首になったの?」


「おいっ! 首になっとらんわ! ただ」


「ただ?」


「しばらく、別行動しようって」


「いつまで?」


「しばらく」


「へー、首だね」


「ですよね」


「マスター! 先生も、ひどいよ!」


 その時、キャットハウスの扉が勢い良く開けられる。



「お疲れ様、マスター! 戦士タクが来たよ」


「おっ、お疲れタク。何飲む?」


「生ちょうだい、キンキンに冷えたビールちょうだい!」


「ハイよ!」



 戦士タクの前にビールが置かれ、


「マスター、先生、えーと、乾杯!」


「おいおいおい、人の顔見て、言わないんかい! この前一緒に飲んだじゃないかい!」


「そうなんだけど~。名前忘れた!」


「忘れたんかい!」


「えーと、思い出す」


 戦士タクは、戦士レッドの顔をじっと見る。そして、


「顔、でけーなー」


「おい! それはお互い様!」


「いや、お前の方がでけーですー」


「お前言うな! 俺はレッド」


「そうでした、レッドだ。覚えておこう。赤点レッド、赤点レッド、赤点レッド」


「おい!」


「いい加減うるさい!」


「マスター、ごめん、ごめん」


「ごめん、ごめん、ごめん。マスター、マスター、マスター」


「ああ、うるさい!」




 こうして、新しい常連客が増えた。その名は戦士レッド。

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