第7話 新しい冒険者達
ある日キャットハウスに行くと、店がとても混んでいて、マスターが忙しく働いていた。
「マスター、お疲れ様」
「先生、お疲れ様です。カウンター1席空いてるので、座ってください。神の血で良いですか?」
「うん、お願い。」
わたしは、カウンターの席に座ると、周囲を見渡した。はじめて見る人が多い。隣は、勇者カミヤだったけど、なぜか、不貞腐れている。
「カミヤさん、お疲れ様です」
「ああ、先生お疲れ様」
「どうしたんですか? 暗いですけど」
「いや、ほら」
カミヤさんが見つめる方には、魔術師ユナが座っていた。8人がけのカウンターの反対側にだが。隣には、勇者アオ達ではなく、女の子の友達っぽい人が座っていた。
「来たとき、先生座った席と、その隣の席も空いてたんだけど、どうぞって言ったら、さあ。誰が変態勇者カミヤの隣には、座るかって言われちゃってさ」
「そりゃ、カミヤさん、このあいだ、ユナちゃんの胸がちっちゃい、ちっちゃいって連呼してましたし」
「先生! わたしの胸がちっちゃいって連呼しないで下さい!」
「あっ、ごめんね」
「しょうがないじゃんね、真実なんだし。ね、先生」
「うるせー! 糞勇者!」
「ユナちゃん、他のお客様もいるから」
「あっ、ごめんなさい、マスター」
「カミヤさんも、やめて下さいよ」
「なんだよ、それ。俺だけ悪者?」
「はい!」
わたしと、マスターの声がかぶる。さらに、不貞腐れる勇者カミヤ。
マスターが、少し落ち着いた所で、話をする。
「マスター、今日はじめて見る人多いね」
「そうなんですよ。この前、オサダさんも言っていたじゃないですか。トルキア帝国大変なことになっていて、それが、ようやく落ち着いたら、カナリア王国に異変が移動してきたみたいです」
「えー、そうなんだ。皆忙しくなるね」
「先生、マスター、大丈夫、大丈夫。ここには俺がいるんだから」
「そうですね。カミヤさん、頑張って下さいね」
「おう」
わたしは、カウンターや、奥の席を見回す。奥の席では冒険者ギルドの職員ミマラさんが、若く新しい冒険者達に、何か熱く語っている。だが、視線が、目の前にいる巨乳の神官さんの胸に固定されているようで、ちょっと気持ち悪い。
他にも、狩人マスターゴトーや、狩人ハッタ等も、新しいパーティーなのだろうか、それぞれのテーブルに座って、盛り上がっている。
そして、カウンターには、ミドリーヌと、新しいパーティーか? 若いひょろっとした男性の魔術師? と、顔のでかい戦士、そして、イケメンの騎士。
「あっ、そう言えば、先生。新しい冒険者集まってきているって言ったでしょ。先生の隣に座っているの、先生も聞いたことあるかな? 賢者グレンさん。まだ、若いけど有名人だよね」
「よろしくお願いいたします。先生。わたくし賢者グレンです。そして、パーティーメンバーの騎士エスパーダに、戦士レッド。そして新規加入して頂いた。森の美しき妖精ミドリーヌさんです」
「臭いエルフの間違いだろ? 近くなくて良かったな、先生。においで、メシまずくならずに」
「カミヤさん、シー!」
「あまり失礼なことは、言わないでもらいたいものです。ミドリーヌさんは、美しい、そして、かぐわしい」
賢者グレンは、立ち上がるとミドリーヌの隣に移動する。素早くイケメン騎士と、顔でか戦士が立ち上がり、席をつめる。
「おー、ミドリーヌ。今宵はわたしの部屋で、これからのことでも語りあいましょう」
「賢者グレン、気持ち悪いですわ」
「おー、そんなミドリーヌさんも、素敵だ」
ミドリーヌさん、心底嫌そうな顔をしている。
それでも、空気読まずにぐいぐいと、ミドリーヌに愛を語る賢者グレン。その時だった。
「賢者グレンだっけ? 気持ち悪いやつだな。あいつ絶対童貞だぜ!」
勇者カミヤの声が響く。
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