「オールド・ボーイ」 監督:パク・チャヌク


 上映時間は120分。

 2003年に韓国で公開されて、翌年のカンヌ国際映画祭では、審査員特別グランプリを授賞するなど、各国の映画祭で評価されたアクションスリラーです。


 2004年のカンヌ国際映画祭では、マイケル・ムーア監督の「華氏911」がパルムドールに輝きましたが、「オールド・ボーイ」とはわずか2票差で、しかも審査員長をつとめたクエンティン・タランティーノに、「本当は、『オールド・ボーイ』に最高賞をあげたかった」と言わしめました。

 ちなみにこの年のカンヌで、男優賞を授賞したのは、是枝裕和これえだひろかず監督の「誰も知らない」で長男を演じた、当時14歳で史上最年少だった柳楽優弥やぎらゆうやです。彼は日本人として初めて、カンヌで同賞を授賞しました。


 本作品の原作は、双葉社が発行する「漫画アクション」という漫画雑誌に、1996年から1998年に掲載けいさいされた、「ルーズ戦記 オールドボーイ」。

 原作者の土屋ガロンは、数多くの筆名ひつめいを持ち、2014年にオダギリジョー主演でドラマ化された、「リバースエッジ 大川端探偵社」の原作も務めています。


 なお、2013年に公開された、スパイク・リー監督のハリウッド版リメイク「オールド・ボーイ」は、お勧めしません。


 さて、R-15指定された「オールド・ボーイ」ですが、確かに目をそむけたくなる場面はいくつかあります。露骨な性描写に、これでもかと言うほど残酷なシーン。

 血や暴力が苦手な方は、それらのシーンを飛ばしても、内容の理解に支障ししょうはないかと。



 映画の主役は、昔は女泣かせだったと自称する、オ・デスという今はえない会社員の男。

 しかし1988年、娘ヨニの4才の誕生日に、彼の人生は大きく狂います。

 

 酒に酔って暴れ、警察署へ連行されたデス。

 昔からの男友達、ノ・ジュファンが迎えにきてくれたことで、彼は釈放しゃくほうされます。

 通りの公衆電話で、デスは妻に謝罪の連絡を入れて、娘とも言葉を交わす。

 デスは、ヨニの誕生日プレゼントに、背中につけられる天使の羽を買っていました。


 しかしジュファンが電話をかわり、ほんのわずか友人から目を離した隙に、そばにいたはずのデスの姿が見当たらない。

 デスは、何者かに誘拐されて、窓のない部屋に監禁されたのです。


 それからデスに提供される食事は、足元にある小窓から差し出される餃子ぎょうざ。餃子、餃子。

 掃除や片付け、散髪さんぱつなどは、牢内に睡眠ガスがはなたれて、デスが眠っている間に行われる。テレビもベッドもある。

 しかし、そのテレビをつけたところ、デスは自分の妻が殺害されて、自らが容疑者になっていることを知ってしまいます。

 

 彼は、きたる復讐のときに備えて、シャドーボクシングなどをして、体をきたえ始めます。

 腕には、監禁された年数をきざみ。

 食事の際に、たまたま3本入っていた鉄箸てつばしの1本で、小窓とは反対側の壁に、ばれずに穴を掘ることを思いつく。

 穴はベッドで隠し、来る日も来る日も。


 ついに、デスがその穴に手を入れると、雨で手が濡れます。

 しかし、自分が何階にいるのか分からない。

 なぜ自分が監禁されているのかも、復讐相手も。


 15年後の解放は、突然でした。

 しかも彼が目覚めた場所は、マンションの屋上。

 なぜ解放されたのか混乱するデス。

 しかし犯人の目的は、むしろ解放することにありました。

 


 どんでん返しに次ぐどんでん返し、といったストーリーですが、これ以上の説明はひかえさせて頂きます。

 ただ、「悪意はなくても、人の運命を変えてしまうことがある」ということだけ、頭の隅に置いていて下さい。

 







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