「きみに読む物語」 監督:ニック・カサヴェテス


 上映時間は123分。

 アメリカで、2004年に公開されました。


 原題は、「The Notebookノートブック」。


 アメリカ人作家ニコラス・スパークスが、1996年に、31才で発表した初の長編小説を映画化したものです。原作本は、全米ですぐに450万部を売り上げ、全世界で600万部を超えるベストセラーとなりました。

 日本でも、翻訳本が発売されると、売り上げランキングの上位に位置し続けて、ロングセラーになったことを覚えています。


 恋愛小説の名手であるスパークスは、現時点、つまり2020年までに、21冊の小説と2冊のノンフィクション本を出版。それらは50以上の言語に翻訳されて、全世界での売り上げは、何と1億1500万部。

 映画化された作品が多いので、リチャード・ギア主演の「最後の初恋」やケビン・ベーコン主演の「メッセージ・イン・ア・ボトル」などは、原作者を知らずに観ている方もいらっしゃるかもしれません。


 監督のニック・カサヴェテスは、インディーズ映画のパイオニアであるジョン・カサヴェテスと、アカデミー名誉賞を授賞した女優ジーナ・ローランズの息子。

 父のジョンは、ヴェネチア国際映画祭で金獅子賞を授賞した「グロリア」や、ゴールデングローブ賞で主演女優賞を授賞したドラマ映画「こわれゆく女」などを含めた6作品で、妻のジーナを主役に起用きようしています。

 ちなみにニックには2人の妹がいますが、長女のアレクサンドラは俳優兼映画監督。次女のゾエは、脚本家と映画監督をしています。


 さて、映画「きみに読む物語」の始まりは、とある療養りょうよう施設に入所している老人デュークが、入所者仲間の女性に、物語を読み聞かせているところから始まります。

 この女性も高齢で、認知症をわずらっている。

 この高齢女性を演じているのは、監督の母ジーナ・ローランズです。


 デュークが読み聞かせている物語の最初の舞台は、1940年のサウスカロライナ州シーブルック島で行われたカーニバル。

 サウスカロライナ州は、合衆国の南東部に位置する、大西洋岸の州です。

 ちなみにシーブルック島は、フロリダ州のマイアミから北に957キロ。飛行機だと、1時間40分の距離。ニューヨークからだと、南に1255キロです。

 

 カーニバルで、ライアン・ゴズリング演じる、ノア・カルフーンという製材所で働く貧しい青年が、17才の女性相続人、アリー・ハミルトンに一目惚れします。

 彼女は両親とともに、夏の間、町で過ごしている。

 女性相続人というのは、要するに大金持ちの子女ですね。


 ノア役のライアン・ゴズリングは、デンマークの鬼才ニコラス・ウィンディング・レフンが、カンヌ国際映画祭で監督賞を取った「ドライブ」や、アカデミー賞で「タイタニック」や「イヴの総て」と並ぶ、史上14ノミネートを受けたデイミアン・チャゼル監督の「ラ・ラ・ランド」などの作品で知られています。

 デビューしたのは、まだ子供のとき。

 12才で、ディズニー・チャンネルの「ミッキーマウス・クラブ」という子供向けバラエティー番組のオーディションを受けて、ジャスティン・ティンバーレイクやブリトニー・スピアーズ、クリスティーナ・アギレラなどと共演しています。


 アリー役のレイチェル・マクアダムスは、最近だとアカデミー賞作品賞と脚本賞を授賞した、トム・マッカーシー監督の「スポットライト 世紀のスクープ」で知られているでしょうか。

 リンジー・ローハンと共演した「ミーン・ガールズ」でブレイクし、全世界で大ヒットした、ロバート・ダウニー・Jr主演の「シャーロック・ホームズ」シリーズにも出演しています。

 ちなみに、「シャーロック・ホームズ」シリーズを監督したガイ・リッチーは、アメリカ人歌手マドンナの元夫です。

 

 情熱的で一途いちずなノアは、何とかアリーを説得し、デートにこぎつける。

 しかし、ある夜、2人がいい雰囲気になっていると、ノアの友人フィンがやって来て。アリーの両親が、警察に娘をさがさせていると言うのです。

 アリーの両親、特に母親のアンは、労働者階級であるノアと娘の関係をこころよく思っていませんでした。

 豪壮ごうそうな大邸宅で、アンは娘にノアと会うことを禁じ、彼をクズ呼ばわりまでしてしまう。

 その発言を耳にしたノア。


 その後、ノアとアンは喧嘩をして、アンは家族とともに、翌日チャールストンへ帰ってしまう。シーブルック島から、100キロ近く離れた都市に。

 すれ違う2人は、互いにまともな別れも言えぬまま、離れ離れになってしまいます。


 その後、ノアはアンに1年間、毎日手紙を送り続けたものの、1通の返事もきませんでした。


 これから2人はどうなるのか。

 再会する時はくるのか。

 ただの恋愛映画ではないことだけは、お伝えしておきます。















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