「ヴィレッジ 」 監督:M・ナイト・シャマラン


 上映時間は108分。

 2004年に上映された、時代スリラー作品です。


 本作で、作中曲を手掛けたジェームズ・ニュートン・ハワードが、アカデミー賞作曲賞にノミネートされました。


 インド系アメリカ人のシャマラン監督は、主にホラー作品を手掛けていて、ブルース・ウィリスとハーレイ・ジョエル・オスメント主演の「シックス・センス」の監督として有名です。

 正直なところ、どんでん返しとしては、「ヴィレッジ」よりも「シックス・センス」の方が、格段に上です。

 

 彼は、ニューヨーク大学の芸術学部である、Tisch(ティッシュ・スクール・オブアート)を卒業しています。ここの卒業生は、著名な映画監督だけでも、マーティン・スコセッシ、アン・リー、オリバー・ストーン、ジョエル・コーエン、スパイク・リーなど、錚々そうそうたる顔ぶれが並びます。


 「ヴィレッジ」の主役、アイヴィー・エリザベス・ウォーカーを演じたのは、「ジュラシック・ワールド」シリーズで、パークの管理責任者クレア・ディアリングを演じた、ブライス・ダラス・ハワード。

 彼女の父親であるロン・ハワードは、「バックドラフト」や「コクーン」、「ダ・ヴィンチ・コード」シリーズなどを手掛けた名監督で、ラッセル・クロウ主演の「ビューティフル・マインド」が、アカデミー賞4部門を授賞しました。


 さて、本作「ヴィレッジ」ですが、シャマラン監督は、脚本と製作も手掛けています。


 公開当時、黄色いフードをかぶった若い女性ブライス・ハワードが、薄暗い中、木々をバックに立つテレビCMが、かなりの話題になりました。


 原題は「The Villageヴィレッジ」。

 

 物語の舞台は、1897年。ペンシルベニア州にある、森の中に孤立したコビントンという小さなヴィレッジ

 ちなみにペンシルベニア州は、北はニューヨーク州、東はニュージャージー州と接している、アメリカ北東部の州です。


 平和な村で、人々は質素な生活をいとなんでいる。

 しかし、村の周囲は、多くのオイルランプで囲われていて、そのすぐ内側には見張り塔まで建っている。

 家々いえいえには、必ず地下室がある。

 住民は、決して森には入らない。


 それは、森にと呼ばれる、人に近い姿形をした怪物がいるからです。

 人が森の中に定住したときから、と人との間には、ある契約が成立している。

 そして、それは村人にとって、絶対のおきてとなりました。


 村人は、決して森に足を踏み入れない。

 そうすれば、も村に来ることはない。


 彼らに名前はありません。


 村人なら、誰もが知っている。

「決して森に入ってはならない、彼らが待っている

 不吉な色は封印せよ、彼らを引き寄せる

 警鐘けいしょうに注意せよ、彼らがやってくる」


 不吉な色とは、赤のことです。



 ブライス・ハワード演じるアイヴィーは、村長エドワード・ウォーカーの娘で、盲目ですが明るい性格。彼女が盲目であることが、本作品にとってかなり重要です。

 彼女には、2人の男友達がいるのですが。

 3人の関係性が、後に悲劇を生みます。


 男友達の1人、ルシアス・ハントを演じるのは、2019年に、ヴェネチア国際映画祭で金獅子賞を授賞した話題作「ジョーカー」で、主役のジョーカー(アーサー・フレック)役を演じたホアキン・フェニックス。

 彼は、「スタンド・バイ・ミー」などで有名な、23才という若さで亡くなった俳優、リヴァー・フェニックスの弟です。妹のサマー・フェニックスは、「アルゴ」を監督したベン・アフレックの弟、ケイシー・アフレックと2006年に結婚しました。


 余談ですが、リヴァー・フェニックスが、コカインの過剰摂取で亡くなった場所は、ジョニー・デップが所有権の一部を持っていた、ウエスト・ハリウッドにあるザ・ヴァイパー・ルームというナイトクラブです。


 アイヴィーのもう1人の友人、発達障害を抱えるノア・パーシー役をつとめたのは、エイドリアン・ブロディ。

 彼は、ロマン・ポランスキー監督による「戦場のピアニスト」で主役を演じ、29歳という史上最年少で、アカデミー賞主演男優賞を授賞しました。


 ある日、ルシウスが村の年長者たちに、村で不足しかけている薬を手に入れるため、森を通り抜けて、街へ行くための許可を得ようとします。

 しかし、その要求は受け入れられません。


 自分を叱る母や、年長者たちに、不審を覚えるルシウス。

 なぜそこまで悪く言われなければならないのか。

 森を抜けるのは、そこまで悪いことなのだろうか。

 どうしても納得できない彼は、単身、危険を承知で森に足を踏み入れて、実をつけた植物を村に持ち帰ります。


 その夜、村の見張り番が目にしたのは、赤いローブを着た怪物の姿。

 がやって来たのです。

 人とほぼ変わらない背丈に、長い爪。

 村人たちは、地下に逃げ込みます。

 目の見えないアイヴィーは、まだ帰ってきていないルシウスを待つために、玄関に立っている。あわやと言うところで、ある人物に助けられます。


 翌朝、家のドアの外側には、赤い塗料で、右上から左下にかけて、斜めに太い線で印が描かれている。

 それは、警告の印でした。



 物語の顛末てんまつに、拍子抜けされる方もいらっしゃると思います。

 ですが、その後の村人たちのことを考えてみて下さい。

 これからも多分、ずっと続けるんですよ。

 


 













 





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