「バーン・アフター・リーディング」 監督:コーエン兄弟


 上映時間は96分。


 2008年のヴェネツィア国際映画祭で、オープニング作品として上映されました。


 1991年のカンヌ国際映画祭で、1作品で史上初のパルム・ドール、監督賞、男優賞を授賞した「バートン・フィンク」や、アカデミー賞で主演女優賞と脚本賞、カンヌ国際映画祭では監督賞を授賞した「ファーゴ」を手掛けた兄弟監督、ジョエル・コーエンとイーサン・コーエンによる、サスペンスコメディー作品です。

 

 本作品で、コーエン兄弟は、監督だけでなく、脚本、製作、それに編集も行っています。


 ちなみに、世界的には、兄弟監督がとおりまして。


 カンヌ国際映画祭で、2度のパルムドールを授賞した、カンヌの常連ジャン=ピエール・ダルデンヌとリュック・ダルデンヌ兄弟。


 キャメロン・ディアス主演のコメディー作「メリーに首ったけ」やアカデミー賞で作品賞、脚本賞、それに助演男優賞を授賞した「グリーンブック」を手掛けた、ピーター・ファレリーとボビー・ファレリーのファレリー兄弟。


 「エイリアン」や「ブレードランナー」、「グラディエーター」に「ブラックホーク・ダウン」、「テルマ&ルイーズ」、「ハンニバル」などを手掛けたリドリー・スコットと、「トップガン」や「エネミー・オブ・アメリカ」、「クリムゾン・タイド」に「ザ・ファン」などを手掛けたトニー・スコットのスコット兄弟。


 キアヌ・リーヴス主演の「マトリックス」シリーズを手掛け、性別適合手術を受けて、名前もローレンスからラナとなった姉と、同じくトランスジェンダーで、アンドリュー・ポールからリリーに名前を変えた妹の、ウォシャウスキー姉妹。



 作品の原題「Burn After Reading」は、の意味ですが、秘密の命令書に、必ず頭書きされる注意書きのことだそうです。

 

 出演者が豪華な映画で、ジョージ・クルーニーにブラッド・ピット、ジョン・マルコヴィッチ、フランシス・マクドーマンドに「ナルニア国物語」で白の魔女を演じているティルダ・スウィントンも出演しています。

 何といっても、シリアスさの欠片かけらもないブラッド・ピットが必見です。



 物語は、ジョン・マルコヴィッチ演じる、CIAの分析官オズボーン・コックスが、アルコール中毒を原因として、上司から報復人事を受けたことに激高し、辞職することから始まります。

 これを機に、オズボーンは回顧録かいころくの執筆を開始。いわゆる、職務上知りえたことの暴露本です。

 

 それを知ったオズボーンの妻ケイティーは、離婚する良い機会だと肯定的にとらえます。というのも、彼女はジョージ・クルーニー演じる、ハリー・ファラーという連邦保安官とダブル不倫をしているから。

 弁護士の指示に従い、ケイティーは夫の財務記録や他の書類をコピーして、弁護士の元に届けます。その中に、夫が執筆している、暴露本の下書きがまぎれているとも知らずに。


 ケイティーを担当する弁護士の助手が、オズボーンの財務記録や暴露本の下書きなどを、CDにコピーするのですが。何と彼女は、ハードボディーズ筋骨たくましい若い男というジムのロッカーに、そのCDを忘れてしまう。


 そのCDが床に落ちるのをたまたま目にし、手にすることになったのが、ブラットピット演じるジムのパーソナル・トレーナー、チャド・フェルドハイマー。

 彼は、体を鍛えることしか頭にありません。

 チャドの同僚リンダは、CDに、政府の機密情報が入っていると信じ込んでしまいます。


 チャドは、大金のかかる美容整形を受けたいリンダと共に、オズボーンに金と引き換えにCDを渡す計画を練ります。いわゆる、強請ゆすりですね。

 しかし、顔を合わせたオズボーンが激怒したため、二人はCDをロシア大使館に売ろうとする。

 2人が会った大使館員は、実はCIAのために働くアメリカ側のスパイでした。


 オズボーンの妻と不倫している、ハリーという男。

 彼は出会い系サイトにはまっていて、相手はケイティーだけではありません。

 そんな彼が、次に見つけた女性は、フランシス・マクドーマンド演じる、チャドの同僚リンダ・リツキ。


 フランシス・マクドーマンドは、「ファーゴ」で女性警官のマージ・ガンダーソンを、「スリー・ビルボード」でミルドレッド・ヘイズを演じ、2度のアカデミー賞主演女優賞を授賞しています。



 さて、物語はどう転んでいくのか。

 あらすじを読むと、シリアスに感じられるでしょうが、そっちに転んじゃ駄目だという方向にばかり、登場人物が追いやられていく、極上のコメディーです。


 観ている間は、ハラハラドキドキしっぱなし。


 さて、CDを手に入れたCIAは、どう動くのか。

 チャドは、リンダとも関係を持つのか。


 片時かたときも目を離せない、あっという間の96分です。












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