「裏切りのサーカス」 あらすじ

 ※この作品は、たびたび過去の回想がはさまれるため、一度では理解できない部分の多い映画だと思います。

 少しでも分かりやすくするために、ゲイリー・オールドマン演じる、スマイリーのかけている眼鏡に注目して下さい。



 映画の始まりは、1973年。ベトナム戦争が終結する2年前であり、第4次中東戦争が起こった年です。

 サーカス(MI6)の長官である通称コントロールが、MI6の工作員ジム・プリドーを、穏健おんけんな共産国家ハンガリーの首都ブダペストへ送ります。

 目的は、MI6の幹部にいるの名を知る、ハンガリーの将軍に会わせるため。

 しかし、その接触には、罠が仕掛けられていました。

 プリドーは銃撃を受け、作戦は失敗。


 責任を取り、コントロールと彼の右腕であるジョージ・スマイリーは、MI6を辞職します。ほどなくして、コントロールは病室で死去。


 新しくサーカスの長官に就任したのは、コントロールと不仲だったパーシー・アレリン。彼にコントロールが付けていた暗号名コードネームが、「ティンカー」です。

 副官は、ビル・ヘイドン。コントロールが彼に付けた暗号名は、「テイラー」。スマイリーの妻と浮気していて、ブダペストで撃たれたジム・プリドーの親友です。

 ロイ・ブランドとトビー・エスタヘイスが、上官代理に。コントールはブランドに「ソルジャー」、エスタヘイスに「プアマン貧乏人」という暗号名を付けていました。


 パーシー・アレリンを演じるのは、映画「ミスト」で、スーパーの副店長役を演じる、小柄な役者トビー・ジョーンズ。

 ビル・ヘイドン役は、「ブリジット・ジョーンズの日記」や「英国王のスピーチ」で有名なコリン・ファース。

 「ミュンヘン」のカール役や、「ハリー・ポッターと死の秘宝 PART2」でアバーフォース・ダンブルドア役を演じたキーラン・ハインズが、ロイ・ブランド役を。


 アレリン長官とブランドは、外務次官であり、情報機関の監視役でもあるオリヴァー・レイコンに会い、ウィッチクラフト魔法作戦のための予算を承認するよう頼みます。

 その作戦とは、高い機密性のある情報をイギリス側に流す、ソ連の情報源の身元を隠すため、ロンドンに彼らの隠れ家セーフハウスが必要だというもの。

 でないと、彼らの身の安全を保障できないからです。

 レイコンは、アメリカの諜報ちょうほう機関CIAが言うには、MI6はいまだに水漏れする船だと表現します。つまりCIAは、MI6の情報漏洩ろうえいを知っている。作戦が何度も失敗に終わっているため、信頼されていないんですね。


 そんな頃、レイコンは、スマイリーに仕事を仕込まれた、リッキー・ターというMI6の工作員から連絡を受けます。

 ターが言うには、もう何年にも渡って、サーカスの中枢にモグラがいると。


 ターが、トルコの首都イスタンブールで任務にいていた頃、彼は情報源に引き込める可能性があると考えて、ソ連側のスパイであるイリーナと関係を持ちます。

 彼女は、イギリスへの亡命を望んでいました。

 しかも、イリーナはMI6にひその正体を知っていた。


 恋人となったイリーナを亡命させようと、サーカス本部に連絡を試みるター。しかし、それは傍受ぼうじゅされていて、正しく届きませんでした。

 この時点でターは、など知りません。ただ、MI6の内部にいるとは思っている。

 イリーナに警告するター。

 しかし翌日、彼女はソ連情報部に捕らえられてしまいます。


 自身がもぐらだと疑われてしまい、家族の身の安全を心配したターは、身を隠します。

 それは、彼がレイコンに密告するまで続きました。


 リッキー・ター役を演じるのは、「インセプション」でイームス役を、「レヴェナント: 蘇えりし者」でジョン・フィッツジェラルドを演じ、アカデミー助演男優賞ノミネートされたトム・ハーディー。


 ターの話が、コントロールが抱いていた疑念に似ている、と不安を抱いたレイコンは、引退しているスマイリーに、探しをするよう頼みます。

 少なくともレイコンは、スマイリーを信用しているわけです。

 その際、彼はスマイリーに、ターの上司ピーター・ギラム、そしてロンドン警視庁公安部にいたメンデル警部の協力を得られるようにしていました。


 ピーター・ギラムを演じるのは、BBC製作のテレビドラマ「SHERLOCKシャーロック」で有名な、ベネディクト・カンバーバッチ。

 メンデルは、 ロジャー・ロイド=パックが演じています。彼は「ハリー・ポッターと炎のゴブレット」で、魔法省の官僚バーテミウス・クラウチ・シニア役で知られているでしょうか。パーシー・ウィーズリーの上司役です。


 そこでスマイリーは、コントロールが最後に住んでいたマンションを訪れます。彼とギラムは、元長官の自宅だった場所で、モグラ探しに関する資料を見つけるのです。

  コントロールは、スマイリーにも、「ベガーマン物乞い」という暗号名コードネームを付けていました。

 かつての上司に、自分も疑われていたこと知るスマイリー。


 アレリン、ヘイドン、ブランドにエスタへイス。

 そしてスマイリー。

 

 裏切者は誰なのか。

 なぜ国を裏切ったのか。



 カメラワークが素晴らしく、映像の綺麗な作品でもあります。

 撮影を担当した、オランダ人の撮影監督ホイテ・ヴァン・ホイテマは、本作品で全米撮影監督協会賞にノミネートされています。



 スパイ小説で、最近面白い作品といえば、柳広司さんの「ジョーカーゲーム」シリーズでしょうか。


 スパイ機関の上層部が、互いの腹を探り合う。

 静かな迫力に満ちた作品です。





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