第6話 幼女に「お兄ちゃん」と呼ばれる生活
朝方、暗くなったと思ったら。御神木に雷が落ちる。
『雪の聖女』の最後の一人のサナらしい。
急いで御神木に見に行くと幼女が倒れている。近づき抱き上げると……。
「お兄ちゃんですね、リアとマヤの面倒を見ているのは」
幼女にお兄ちゃん呼ばわりされる心当たりはないが、取りあえず肯定する。
「いやらしい目つきで見ないで下さい、お兄ちゃんはつるペタ属性ですか?」
全力で否定するが、また面倒くさい『雪の聖女』だと思うのであった。ここは少しトラップをはって本性を確認しよう。
「中身はババアのロリ幼女だよな」
「失礼な!中身も幼女のサナたんです」
返事からして中身も幼女だ。俺が納得していると……。
「つるペタ大好きお兄ちゃんですか?」
だから……そこは否定しないと不味い。親父も御神木の側にやってきて……。
「猫の次は幼女か……我が息子ながらモテるな」
親父が納得していると。
「お兄ちゃん、わたしでいいの?」
イヤ、そこを否定しないと……。すると、サナは泣き始める。
「え、イヤ、その、リアどうしたらいい?」
リアに俺が戸惑って頼りにすると……。
「つるペタ属性の義元にはお似合いかと」
だから違うと言っている。何だ!その皆の目つきは……。
「お兄ちゃん……」
上目づかいの幼女に『お兄ちゃん』呼ばわりはされる筋合いはない。
しかし、手遅れである。俺はつるペタ属性にされており、サナの恋人になっていた。
……。
ガッバ!!!
俺が布団から目覚めると朝である。
夢か……。
「お兄ちゃん、起きた?」
現実落ちかよ!!!こうして、俺の苦難は増えていったのである。
今日も足取りが重く。高校に登校するのであった。いつの間にか、クラスの席替えがさえており。左にリア、右にサナとなっていた。
しかし、何故、高校の制服には似合わない幼女のサナが座っているのだ……?
「サナ、高校の授業にはついていけるのか?」
「お兄ちゃん、バッチリです」
ロリババア疑惑があると思いきや。普通に授業についていけない姿を見ると。やはり、幼女であった。
「お兄ちゃん、教えて下さい」
渋々、サナの面倒をみるのであった。
「リア、不機嫌でいないでサナの面倒を一緒に見てくれよ」
急接近したサナに対してやきもちをやいている様子である。リアはサナに近寄り。耳に『ふっ』と息をかける。
「そこは、リア、ダメです」
甘い声を出すサナはデレデレしている。俺の日常は帰ってこないのかと絶望する。
「お、お兄ちゃんなら、耳に『ふっ』をして良いですよ」
もちろん、俺は全力で否定する。リアの機嫌が直り、サナに勉強を教え始める。
俺に全力で否定をして欲しかったらしい。サナに耳に『ふっ』をしていたらどうなったのであろう……。考えただけでも地獄絵図だ。
俺は気分転換に自販機の前に行く。お茶をイッキ飲みして、絶望的な日常を忘れようとする。そう、幼女に『お兄ちゃん』と呼ばれる生活である。一見楽しそうだが、現実世界でそれが起こると絶望である。
そうか……氷の天界の姫様を探せばいいのか……。
しかし、手がかりはゼロである。俺はもう一本お茶を買って飲み干すのであった。
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