第2話 学校にて
学園祭の季節である。今年は大人の事情で中止であった。そして、リアが俺と同じ宮野ヶ丘高校に通い始めた。
「本当なら一番活気のある季節なんだけどな」
しかし、何故、俺のクラスで席が隣なのだ……?ま、深い事は考えるのは止そう。
午前の授業はつつがなくおわり。俺の入っている弓道部に連れていく。
リアに入部体験さてみる。道具を持たせると、目つきが変わる。
これが『雪の聖女』……。
その眼差しは緊張感が張り詰めていた。放った矢は的にあたり歓声があがる。当然、女子に囲まれて入部を申し込まれる。
「考えさせてくれ」
皆に呟くと、俺達は自販機の前でまったりする。
「リアなら弓道部で活躍できるぞ」
リアはペットボトルのお茶を持って遠い目をしている。本当の戦場を知っているリアには、ただ的に当てるだけの弓道部の活動は無理らしい。
「完璧な人などいないよ」
俺は言葉を選んで話しかける。
「昨日の夕食は失敗したな」
リアに笑顔が戻る。
そう、試しにリアに夕食を作ってもらったら。炭火焼肉が炭の焼肉になってしまった。要するに炭でご飯を食べたのだ。
俺は自作のお弁当を食べようと言う。教室に戻りお弁当を広げる。毎日の事とはいえできはイマイチである。
結局、家事の親父と分担の生活はリアが降りてきてからも変わらないのである。お弁当を食べている姿に可愛らしさを感じて、風が吹いてスカートが上がらないかと思っていると。
……。
窓は空いているのに風は吹かないのである。
ドッカ!
リアが机を蹴る。ま、当然の事である。さて、ご飯も食べたし、ソシャゲーでもするか……。午後の授業がとてもつまらなく感じる昼下がりであった。
今日はプールで授業である。男女別れているが、俺は女子の水着姿が気になる。リアが近づいてくる。うん、水着姿が眩しい。
「あ、あ、の……女子の目線が気になるのですが……」
どうやら、女子の中でアイドルになったらしい。クールビューティーなオーラは男女関係なかった。
リアの控え目な胸にセクシーな体つきは俺も困るのであった。いいなーアイドルか……。
「義元、お前もいやらしいな」
「そ、そうか……?」
いつもならここで蹴りが入る所である。リアは体調不良と言い授業を早退する。
俺もリアの事が気になり早退する。急いで教室に向かうと、リアは窓から空を眺めていた。
「わたしは『雪の聖女』です。気高く生きるのを運命づけられています」
そうか……。プールの授業で楽しみたかったのか。
俺は頭をかきながら。
「俺はリアの事は普通に思うぞ」
「では、あのいやらしい視線は何ですか?」
あいたたた……。
女心は難しいな。
「いや、だから、普通の女性として……」
ドッカ!
リアが壁を蹴る。
「これはわたしの無力さえの怒りです」
『雪の聖女』か……。大変なのかな……。
リアは壁を蹴った後で俺に笑顔を見せてくれた。
「スッキリしました。こうして義元はわたしを心配してくれている」
「あ、ぁ」
小恥ずかしい事を言うなー俺がリアとの距離を縮めようとすると。教室にクラスメイトが戻ってくる。俺は平常心を保とうとリアから離れる。ふ~不器用な性格だと我ながら思うのであった。
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