雪の聖女

霜花 桔梗

第1話 『雪の聖女』の降臨

 朝、目覚めると雲行きが怪しい。雷雨に俺は少し寂しさを感じていた。幼い頃に母親を亡くして、俺は親父と二人で冬目神社に住んでいる。


 名前は『杉浦 義信』であり、普通の高校に通い平凡な日々が流れていた。親父の『栄三郎』はこの小さな神社の神主で細々と生計を立てている。


 遠雷が鳴ったかと思えば、裏にある御神木に雷が落ちた。親父と二人で様子を見に行くと。御神木に雷が落ちたらしい。しかし、流石だ、御神木は無傷であった。


 更に近づくと、白いドレス姿の少女が御神木の近くに倒れていた。親父と共に神社の中に抱えて連れて行くと……。


「わたしは三人いる『雪の聖女』の一人であるリアです」


 目覚めた少女が名乗り、親父と顔を合わせる。この冬目神社には『雪の聖女』伝説が残っている。氷の天界に『雪の聖女』達が住んでいて、この神社は氷の天界とのかけはしになっていると。


俺は『雪の聖女』が何故、降りてきたか問うと。


「氷の天界に旅人がやってきて、氷の天界の姫様と恋に落ちて二人は地上の世界に逃げてしまいました。わたしは二人を探す使命を持って、この地上に降り立ちました」


 訳アリかと納得していると。リアの小さな胸がはだけていました。つい、覗き込んでいると……。


「ドッカ」


 座っていたリアが俺に蹴りを入れてきました。


「エッチなのはダメです」


 リアは赤い顔をしています。暴力的だが『雪の聖女』の恥じらいだと思えば問題ない。


「リアは行く所がないのであろう?」

「えぇ……」

「この神社は無駄に広いので、ここに住むといい」


 親父の栄三郎が優しく声をかける。話はまとまり、この神社にリアが住む事になった。


「せっかくだ、義信の通う宮野ヶ丘高校に通うといい」


 こうして、氷の天界の姫様探しが始まったのである。

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