第4話 テストと恋と嵐の前の静けさと。

夏休み、それは学生にとっては、休みという天国と宿題という地獄を合わせ持つ魔性の期間。

しかし、その天国と地獄の前には、審問があるわけで・・・。

「お願いします わたくしめに勉強を教えてくださいまし。」

徹馬が手を合わせて、こちらに祈って来る。

「はぁー、お前さ美菜に教えてもらったら?」

後で知ってたが美菜と蛍も同じ学校のクラスが違うだけだと判明した。

「あいつ 俺と同じくらいの学力だぞ。」

「マジか。」

頭 良いと思ってたんだけどな。

ちなみに僕は、クラスで10番目くらいの学力で、学年だと、20番目なので、ある程度は出来る。

そして、徹馬 徹馬の話だと美菜もか、は平均点より下を刻んでる。赤点はないがあまりよろしくはない。

「はぁー、わかったよ。」

「オォー、ありがとう。ついでに美菜も教えてもらって良い?」

絶対こいつわかってやったな。

「あぁーもう。二人とも来い!」

「よっしゃ!」

早速 メールを出している。

「それでは、第一回 テスト対策勉強会を始めようと思います。」

「イエーイ!」

仕切り役の美菜と盛り上げ役の徹馬が愉快に始めようとする。

「そして本日、私達の講師はこの二人、神城水雅君と水瀬蛍でぇーす。」

「パチパチパチ。」

手と擬音を口とで表現してくる。

「蛍は勉強出来るんだ。」

「え えぇーと ひ 人並みという感じです。」

「蛍はクラスで一番頭が良いんだよ!前の中間もクラスで一番だったし。」

美菜が教えてくれた。

全然人並みじゃあねぇ。クラスで一番とかすごいな。確かに他のクラスの成績がどうなのかは知らないけど、それでもすごさはわかる。

「い いえ。それはたまたまというやつですよ。」

「たまたまでも、すごいけどね。」

僕の言葉に蛍は顔を真っ赤にする。照れているのだろう。

「ではでは先生方、よろしくお願いします。」

ここで美菜が引き、僕たちにライトが当たる。

「とりあえず、テストしようか。」

僕は、二人に小テストを渡す。

昼に話を聞き、そこから作ったのだ。

「すげぇー。」

「私達のために ありがとう。」

二人は感謝してくれた。

「じゃあ、やっていこうか。制限時間は20分 よーい、スタート。」

僕の掛け声と共に二人はテストを始めた。

僕はその間に、蛍と二人で作戦会議を開くことにした。

「これからどうしようか?」

蛍は、うーんと唸り、

「小テストを見て低い方が私 高いほうを水雅くんにお願いしたいです。」

なるほど 学力的に見て問題はない。

「良い考えだと思うよ。」

「いえ 水雅くんが小テストを作ってくれたから、思い付いただけです。」

褒められることに蛍は慣れていないのか すぐに謙遜する。

「まぁ良いか。うん、丁度20分ぐらいになったね。はい、二人とも終了!」

僕と蛍は、二人の回答の答え合わせをしていく。

採点が終わり、結果 一点の差で徹馬を僕が美菜を蛍が それぞれ教えることになった。

「では水雅先生。なにをしたら良いですか?」

「うーん、そうだなぁー。」

正直言って、テストを作ってから勉強法を考えていたのだが、全く良い案が出てこない。

「なんか良い方法ない?」

「えー それ俺に聞くのかよ。じゃあ例えば、自分が行ってる勉強方法とかは?」

「・・・。」

僕は黙る。

「おいおい、急に黙ってどうしたんだよ。」

これを正直に言って良いものなのかわからない。

「なぁー、怒らないって誓える?」

「な なんだよ。怖いこと言うなぁー。まぁ怒ることはないよ。」

「本当に本当だね!」

僕は徹馬に詰め寄る。

「わ わかったよ。怒んねぇーよ。」

「じゃあ、言うぞ。」

怒られないと聞いたので、安心できる。

「基本的に、テスト開始直前に教科書を読むだけなんだよね。」

課題が出ればもちろん課題もするのだが、正直なところ、授業を聞いているだけで、ある程度の点数なら取れるだろうって思う人なのだ。

「あのー徹馬?」

さっきから徹馬が黙ってる。

いや、なんかぶつぶつと言っている?

「俺は怒られない そういった。だから、怒りは胸の内に秘めておけ わかったな徹馬。」

どうやら、僕が最初に言ったことを守ろうとしてくれているようだ。

「あっ、そうだ。とりあえず、テストでわからなかったところを重点的にやろうか うん。」

何とか思い付いた方法を徹馬に伝え、僕は、蛍に相談することにした。

「なにか、いい勉強方法はないでしょうか?」

「今は何を?」

僕は、即興的に思い付いた方法を蛍に伝える。

「それでいいのではないでしょうか?」

えっ!いいの

僕は驚いてしまう。

「水雅君が作ってくださったテスト とてもいいものだと思いました。そのテストの中でわからなかったところをするのは、とてもよろしいことかと思いますよ。」

蛍に言われて、少し自信がついた。

「あのさ、とりあえず40分後さ、もう一度テストをしてもいいかなって思うんだけど。ほかになにかいい案はないかな?」

「別に構わないのではないでしょうか?お二人共点数がこういう言い方もあれかもしれませんが似たり寄ったりです。互いに競うことで、効率的に勉強できるのではと思います。」

うーん かなり話しやすくなったけど、なんだかイエスマンならぬイエスウーマンになってないか?

初めて出会ってから1ヶ月と少し人見知りをしなくなったがまだまだ、慣れてないようだ。

しかし、きちんとした肯定の理由が言われているから、完全なイエスウーマンじゃないんだよな。

「じゃあ、それで決定だね、それじゃあ、一緒にテスト作るの手伝ってもらってもいいかな?」

「いいですよ。」

そこからは、二人の質問に答えながら、テストを作り、20分テスト 40分勉強ということを行った。

「今日はここまでだね。」

時間的に考えると 3時間ぐらいたっていた。もう外は暗くなりつつある。

「あとは、テストを迎えるだけだな。」

「そうですね。」

しかし、テスト勉強をしたことがないが意外と助かるものなのだな。

翌日、

テストが始まった。僕たちが通う学校では 一日目に五科目 二日目に四科目の計九科目でテストが行われる。小説とかでは、テストは早く終わるというが、全然そんなことはない。

さらに翌日、

テストが終わる。もちろん、前日にテスト勉強会をした。前回の反省点を考えて、あらかじめ、テスト勉強の時間の教え方を考えておいた。

一応、徹馬や美菜からは好評だった。一回目は徹馬が高かったが、二回目は美菜が高く、一回目とは、逆だった。

「はい、テスト終了。」

先生の声でテストが終わる。

「つ づかれたぁー。」

徹馬が解放された声でいう。

僕もさすがに連続テストは、疲れた。

きっと、美菜も同じことをいってるんじゃないかな。

そして放課後、僕たちは、勉強会をしたファミレスに来ていた。どうやらお疲れ会らしい。

「これであとは夏休みを待つばかりだね。」

「そうですね。」

夏休みか なにしようかな?

「その事なんだけどさ。」

突然美菜が切り出す。

「どうしたんだ?」

「これ! 一緒に行かない?」

鞄からチケット?を取り出した。

「これは?」

「福引きで当てたの。プールなんだけど、いいかな?」

プールか。水着あるかなぁー。

「いいぜ、楽しみにしてる。」

「僕も楽しみにしておくよ。」

「私も構いませんよ。」

ということで、プールの予定が決まった。









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