第3話 恋と妹は繋がりにくい。
妹、それは小説や漫画において、いやよいやよと言いながら、仲が良くずる賢いものである。まぁ、実際は、そういうわけではなく、実際は、家族なのだから、仲がよいのは、あれだし、ずる賢いわけではなく、家族の弱点をしっているだけなのである。
「ただいまー。」
「おかえりーにぃやん。」
家に帰ると、妹の小春がリビングでくつろいでいた。
「おい、 。」
「なに?」
呼び方が気に入らないのか、少し不機嫌な声をする。
「お前、灰島ってしってるか。」
って友達なんだから知ってるか。
「蒼依ちゃんのこと?」
そうか美菜の妹は蒼依と言うのか。
「いや そっちじゃなくて姉の方。」
「あぁー、美菜ちゃん先輩。」
なんか変な呼び方をするな。この妹は。
「そうそう。」
「なに?にぃやん、美菜ちゃん先輩 狙ってるの?」
「ちげぇーよ。」
僕は、今日の出来事を話した。
「ふんふん、そんなことがあったのか。にしても、世間は狭いね。」
「そ そうだね。」
普通に考えたら、同じ高校なら、可能性があるよね 普通。
「にしても、やるなぁーにぃやん。」
「なにが?」
「なにがって、にぃやん。にぃやんはアホなのかい。」
妹はやれやれとしたポーズをとる。
「グリコの刑に処されたくなかったらその感じを今すぐにやめろ。」
「はい!やめます。やめます。ほら、やめました。だから、グリコの刑とかの脅しはやめてぇー。」
どうやら妹が言うには、やるなぁーの部分は、ナンパの件らしい。
「人を助ける時のにぃやんはカッコいいからね。いやこれマジで 私がにぃやんの妹じゃなかったら惚れてるね。」
こいつの口から褒め言葉が出るのは、珍しい。
我が妹、川美 はその容姿と、末っ子という環境の中で、かなりわがままに育った感じがある。それでも、わがまま過ぎないのは姉の力が大きい。
「に にぃやん。あの~黙ってもらっちゃうとなんか本気で言ったっぽくなっちゃって困るんですけど。」
まぁ、だろうな。普通に気持ち悪い。
「・・・。」
「あのーにぃやん。もしかして、怒ってる。」
「・・・。」
普通に考え事で黙っていたのを、どうやら怒ってると思っているらしい。
別に、怒ってないが黙ったままだとどうなるのか気になるな。
「ごめん、ごめんってにぃやん。悪気があった訳じゃなないの実際 カッコいいよにぃやんは男気あるよ。」
どうやら、僕をよいしょする作戦に切り替えたらしい。
「・・・。」
「・・・。」
うん 黙ったぞ?
「にぃやん。」
あれ もしかして。
「にぃやーん ごめんなさーい。」
鳴き始めてしまった。
「別に怒ってないよ。」
「ほんと?」
そこから、泣き宥めるのに、かなりの時間を使ってしまった。
「あのさぁー、僕が黙ったくらいで、ガチ泣きしてんじゃなぇーよ。」
「だって、にぃやん怒ると、ものすごく怖いんだよ。」
そうなのか?
「まぁ、なんだ悪かった。」
しかし、ここまで目を腫らされるとこっちも困るんだが。
「じゃあにぃやん。」
「うん?」
「お願いがあるんだけど。」
なんか厄介そうだな。しかし、しょうもないことでガチ泣きさせてしまったのは、こちらの責任だ。
たまには、兄っぽいことをするか。
「なんだ?」
「そのにぃやんが助けたっていう子に会わせてよ。」
依頼として、すごくめんどい。
「多分、またどこかで会うんじゃないのか?」
「だめ?」
「まぁ、いいよ。但しあいつがいいっていったらな。」
「うん。」
まぁ、これくらいならなにも問題はないな・・・。
「あっ。」
「うん どうしたのにぃやん?」
「お前は恋ってなんだと思う?」
「えっ、なにいってんの?」
まぁ、妹相手になにを聞いているんだって、僕でも思うよ。本当に。
「いいから、答えてみそ。」
「うーん、そうだな。」
なんだかんだ、真剣に考えてくれるのか。
「私にとって恋ってねめんどくさいかな。」
「めんどくさい?」
意外な答えに僕は聞き返した。
「だってさ、相手の立場とか気持ちとか、そういうのも考えるし、自分の気持ちも考えるじゃん。それにさ、きっと恋は好きだぁーだけじゃどうにもならないんだよね。いつも不安とか信頼で揺れ動いてさ、私よく友達の愚痴聞いてあげてたから、色々不安に思っていることがあるんだよね。だからめんどくさそうだなぁーって。」
「なるほどな。」
こいつなり、しっかりとした考えを持っていることを知れて良かった。
「でもさ、」
妹は続ける。
「そのめんどくささも恋ってことなんですよ。その不安とか信頼を乗り越えていくことを楽しんだものこそが、幸せになれるのです。」
なんか カッコいいと思ってしまった。
「ちょっにぃやん。なんか言ってよ。」
「なんだろう。すごいな お前。」
僕は頭を撫でる。
「そりゃにぃやんの妹ですから。」
恥ずかしそうにはにかむ。
今日 知らない女の子を助けてたら友達が増えて妹と仲良くなりました。
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