第2話 恋と出会いは偶然である。


「今から俺の彼女に会わせてやる。」

「いきなりなにいってんの?」

徹馬の言葉に僕は答える。徹馬はその言葉に心底意外そうな顔をする。

「え!いや、会いたいって言ってたじゃんか。」

「お前、その時嫌がってただろ。」

徹馬が今の彼女と付き合ってすぐ、僕は会わせろと言った。すると、「嫌だ。」と彼は断ったのだ。

「頼むよ。友達を紹介するって言っちまったんだよ。」

それに、と徹馬が続ける。

「あいつも女の子の友達連れてくるって言ってたからさ もしかしたら、出会いがあるかもよ。」

あの日の言葉を見つけれるかも知れねぇーぜ。

僕はその言葉を受け、会うことに決めた。

会う日当日

僕は、待ち合わせの場所に約束の時間10分前に向かった。

「ねぇー彼女!今ひまー?」

「ねぇーねぇー、僕たちと遊ばない?」

待ち合わせ場所ジャストの位置で、一人の女の子が二人の男にナンパされていた。

「あの、私 友達を待っているので。」

「じゃあさ、その友達も一緒にさ どうよ。」

女の子の方は嫌がっているが、男たちは引く気配がない。

周りの人は、関わりたくないのか見てみぬフリをしている。

「あの~。」

僕は、その人たちの所に向かう。

正直言って、迷惑なんだよね。こういうの、普通嫌がっているのに、しつこい必要ある?しなければならないことは、嫌がっていても、やらせるべきだが、これは、やる必要のないことだ。

「あぁん!なんか文句あんのか。」

声をかけられたのが、苛立ったのか または、違う理由からか二人組の片方が威圧的な態度をとる。

「彼女の友達って彼?」

「いえ、違います。」

正直だな。この子は

まぁいいけどね。

「彼女 嫌がってますよね?」

「あぁん!うっせーな、引っ込んでろ。」

あぁーダメだ。こいつら言うこと聞くきないな。

あー、なんかイラついてきた。

僕は、足を振り上げ、そして、男の最も弱いところに足を蹴り上げた。

「!」

男は、蹴り上げられたところを抑える。

「てめぇー 何を。」

「いえ、別にただ女の子を助けるために、いちもつを蹴っただけですよ。」

僕は淡々と答える。

「てめぇー!」

もう一人の男がこちらに殴りかかってきた。

もちろん殴られるのは嫌なので もう一人も同じことをした。

「!」

普通は対処の一つぐらいするだろうに、男はしなかった。

いやぁー、きれいに決まったなぁー。

僕は呑気に考える。

「覚えてろよ。」

男たちは、ゆっくり去っていく。急げないのは、急ぐと痛むからなんだろうな。

「大丈夫?」

僕は一応女の子に聞く。

「あっはい。大丈夫です。」

少し視線を反らされる。

うーん。少しやりすぎたかな。いかんな。苛立つとあぁいうことしてしまう。反省 反省。

「おーい、水雅ぁー!」

タイミングよく、むしろ、見てたんじゃないかってくらいにベストタイミングで徹馬がやってきた。

「お前見てただろ。」

「なんのこと?」

とぼけているかと最初は思ったが そんな感じもなかったため 僕の悪運だとすぐに思い直した。

「美菜 こいつが俺の友達の水雅だよ。」

「初めまして川美水雅です。」

「水雅君ね。私は草千美菜 よろしくね。」

「よろしくお願いします草千さん。」

「美菜でいいって、徹くんのお友達なら私ともお友達だから。」

彼女はどうやら気さくなようだ。

「じ じゃあ美菜。よろしく。」

「そうそう。よろしくね。」

少々ぎこちなかったが握手を交わす。

まぁ、これは徐々になれていくことが出来るだろう。

「あとは、美菜の友達だけだな。」

「それならもうここにいるわ。」

そう言うと美菜はゆっくりと僕の隣の子を指差す。

「ほらほら、挨拶して。」

「は はじめまして わ わたひは あぁぁ舌噛んじゃった。」

なんだ。このおどおどした子は?

「私は み 水瀬 蛍って言います。よ よろしくお願いします。」

「ごめんねぇー。この子人見知りなのよ。」

人見知りか なるほど 確かにおどおどするのもなっとくか。

「あ あの~。」

「うん?」

「さっきは、あ ありがとう ございました。」

「いやいや、いいよ。僕もイラついてたから。」

「は はわわわ。」

しまった。少し怖がらせてしまったか。

「何かあったの?」

「あぁーそのー。」

話していいものだろうか。

僕はそう思い 水瀬さんにアイコンタクトを送る。

「?」

伝わらなかった。もう完全にはてな顔だった。

アニメとかだと周りに?マークが大量についていることだろう。

「あぁー、話していいか?」

「ううん。」

首を横に振られる。恥ずかしいのかな?

「もう、なんなの なんなの なんなのよさ。」

機嫌を悪くしたか。参ったなぁー。

「まぁまぁ、話したくないことなら、いいんじゃねぇの?二人がわかってたらさ。」

徹馬がフォローに入る。

感謝するぜ徹馬!

僕は、小さくグットサインを出そうと・・・。

「まぁあ あれはないとは思うがな。」

徹馬は見えないように、蹴りのサインをする。

僕は出そうとしたグットサインを留めた。

くそっ!みてやがったのか。悪運だ!何て思ってたのに、いや こっちのほうが悪運に近いか。

「まぁ そうね。もうこのはなしはおしまい。さて集まったけど、どこにいく?」

ぐぅーー

「先に、飯にしない?」

徹馬のお腹にみんなが賛成してまず、僕たちはファミレスによった。

「みんなぁー、決まったー?注文とるよー。」

美菜が率先して、色々と注文してくれた。

意外にも姉御肌なのかもしれないな。

昼食を食べお腹もいっぱいになったところで、どこにいくか決めることにした。色んな案が出た結果 R◯und1にいくことに決まった。

「じゃあ 勝負しましょう。」

美菜が言い出した。

勝負内容は、スコアが高いほうの勝ちで最下位の人は全員にジュースを奢るというものだった。

「ていやぁー!」

「ほい!」

「えぇい!」

「おりゃ。」

僕たちは、白熱したバトルを繰り広げた。

結果としては、一位 草千美菜 二位 藤原徹馬

三位 水瀬蛍 川見水雅 となった。

「最下位の二人は、ジュース奢り、ゴチになりまーす。私は、カフェラテ。」

「俺はケーラで。」

二人の注文を聞き、僕たちは買いにいく。

「あ あの。」

自販機について、二人の飲み物を買い自分のぶんを選んでいると声をかけられる。

「どうした?」

「か かわみさんは な なにを飲みますか?」

「うーんそうだなぁー、じゃあ カルプスにするよ。」

僕が答えると 水瀬さんはお金をいれて、カルプスのボタンを押す。

「あ あの~水瀬さん?」

「お お礼です。助けて頂いたので。」

少し恥ずかしそうだった。

「いやいや お礼なんていいのに。」

「そ そうですか。」

とてもしょんぼりしてしまった。

「ま まぁでも、どうしてもお礼がしたいなら、ありがたくもらうよ。ありがとう。水瀬さん。」

あの顔 ずるすぎる。可愛すぎるよ。

「おーい、遅いぞ!」

「わるいわるい。」

僕たちは、ティータイム?の間に次は、ゲームセンターに行くことになった。

「ねぇ ゲームセンターの景品ってとれるの?」

美菜が聞いてくる。

「意外にとれるよ。」

僕は、軽々とぬいぐるみをとる。

「すっごーい。」

美菜は目をキラキラさせていた。

「川美はそう言うことに関しては得意よな。女の子を喜ばせるというかなんというか。」

「失礼な!」

そんな女たらしみたいなことをよりにもよって徹馬に言われるとは。

「それよりも、これどうするか。」

「妹に上げれば?」

あいつ喜ぶかぁー?

「まぁいいか。そうするわ。」

「ねぇ 水雅君 妹がいるの?」

「えぇ、一応。」

僕は、長男で、双子の妹がいる。

「写真あるの?」

「ありませんよ。今時 妹の写真があるほうが変でしょ。」

「あら、私は持ってるわよ。」

そう言うと美菜は自分のスマホから一枚の写真を取り出す。

「これ私の妹。」

美菜さんの妹は美菜さんに良く似ていた。

「あの~隣にいるのは?」

美菜さんの隣にもう一人女の子がいた。

「あぁーこの子は妹の友達だよ。そういえば、この子も川美だったような。」

写真に写ってた女の子はよく知っている人物だった。

「あれ?この子小春ちゃんじゃん。」

「なに?徹くん知ってるの?」

「うん。だってこの子水雅の妹だもん。」

そう 写真に写っていたのは、僕の妹の川美小春だった。

「あら、そうなの。」

「そうですね。妹がお世話になっております。」

「いえいえ、こちらこそ妹がお世話になっております。」

ここからは、妹トークになるかと思った。

「ねぇー そのはなし絶対に長くなるから、またにしよ ね そうしよう。」

しかし、徹馬が止めに入った。

「えぇー、別にいいじゃない。」

美菜さんとしては、話したいようだった。

僕は、さっきの仕返しをすることにした。

「美菜さん 徹馬はきっと嫉妬しているんですよ。」

徹馬は驚いた目をしてる。

「そうなの?」

「えぇー、そうですよ。自分の大切で大好きな彼女が他の男の子と楽しく話をしているんです。きっと心のなかでは「僕の彼女だぞ!」と憤慨しているはずです。」

「ちょっ水雅!」

さすがに徹馬も訂正しようとする。

しかし、うまい返しが思い付かないのか言葉が出てこないようだ。

「ほら 図星だから言葉が出てきてないんですよ。」

僕はここぞとばかりに、仕返しをした。

あの時、みていたのが悪いのだ。

「徹くん 大丈夫だよぉー、私はぁー徹くんが一番好きだから。」

美菜が徹馬にバグをする。

僕はもう満足したのと、あまり友達のハグシーンをみるのは、体に悪くなるので、周りをみることにした。

すると、水瀬さんがある一つの機体に夢中になっていた。

「なにみてるの?」

「あ あの えぇーと。」

その機体は、猫のぬいぐるみがあった。

「欲しいの?」

「い いえ そういうわけでは。」

そう口では言いながらも、目は完全にその猫に向けられていた。

なに、この可愛い生物は!

「よし、みていて。」

僕は一回ではないけれど、数回でぬいぐるみをとる。

「これあげる。」

そしてそれを水瀬さんに渡す。

「い いえ け 結構です。こ これは私がとったわけではない から。」

「受け取って欲しいなぁー、受け取って欲しいなぁー。」

「あ あの~。」

あの目をみると、あげたくて仕方なくなった。

しかし、これは孫におもちゃを与えるおじいちゃんとかの心境だな。たぶん。

「受け取ってください。」

「い いえ、ですから。」

「水瀬さんのためにとったから。だから、受け取って。」

僕は断る水瀬さんに少し強引に渡そうとする。

「お願い。」

「ま まぁ。そこまで お おっしゃるなら。」

「本当!」

無事、ぬいぐるみは受け取ってもらえた。

「むぎゅーー。」

水瀬さんもとても幸せそうだった。

「なっ。あいつはああいうところがあるんだよ。」

「これは、すごいわね。蛍が人からの貰い物を受け取るのはじめてみた。」

二人がなにか言っている?

「なにか言った?」

「「いえ、何にもいっておりません。」」

声がシンクロしてた。そのせいで余計に気になった。

「あ あの。」

「うん どうしたの?」

水瀬さんに声をかけられる。

「あの、私だけ水瀬さんはその あれだから、蛍でいい。」

確かにと思った。美菜や徹馬と呼んでいるのに、水瀬さんはさん付け これはやってしまった。

「じゃあ、よろしくね。蛍。」

「はい よろしくお願いします。」

そのときの笑顔はとても可愛かった。

「これ、どうする?」

「困ったわね。蛍があぁもぐいぐい行くキャラだとは。絶対になにかあった。」

後ろの声が聞こえる。内容はわからないが、たぶん気分の良くない話だ。

「なんか言った?」

「「だからなにも言ってません!!」」

またハモった。

僕はジト目で彼らをみる。

「さ さぁ、つぎに行きましょう。」

「そそそうだな。次だ次々。」

とてつもなく怪しいがとりあえず、害はないのでほっとくか。

次の所と彼らは行ったが、時間的にもう帰る時間になっていた。

「今日は楽しかったぁー、じゃあ、水雅君 蛍 またねぇー。」

「水雅 また明日な。 水瀬さん それじゃあまた遊ぼうね。」

徹馬は美菜を送っていくようだ。

「じゃあ、近くまで送るよ。」

「え でも。」

蛍は驚いた顔をする。

「女の子が一人で帰るのは危ないかなって、あったときみたいなことが起こらないとも限らないし。」

「じ じゃあ、お願いします。」

やっぱり人見知りな所は直らないか。

帰り道、僕は色々と聞いてとりあえず、僕に対する人見知りを直す努力をした。

そのおかげかおどおどした感じがなくなり、普通に話をすることが出来るようになった。

「今日はありがとう。」

「僕も楽しかったよ。」

蛍の家は僕の家の近くだそうだ。

「ここなんです。」

「あれ、ここ僕の住んでるマンションだ。」

「そうなんですか!」

僕も蛍も驚く。

同じマンションなら会っていてもおかしくないのだが。

「私5階なんです。」

「僕は4階だ。」

つまりは、一階違いだった。まぁ、さすがに同じ階層なら絶対に会ったことがあるか。

4階についた。

「今日はありがとう、また。」

「はい。」

こうして、エレベーターのドアがしまる。

にしても、意外だったなこんな偶然があるとは。

そんなことを思いながら、僕は家の扉を開けた。

































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