砂瑠璃の驚き
「カジタ殿。貴方はもう故郷に帰られた方がいい」
「な、なんなんだ。あなたは?一体?シュウ殿、こいつは一体…」
「お一人でお帰りください。シュウ様は…あなたの手の届く方ではない」
砂瑠璃が言った。若いカジタはカッとした。
「こんな美しい人は、私には手の届かない存在かもしれないが…貴方に関係はないはずだ」
カジタが顔に傷のある、腕のない大きな砂瑠璃に怯みながらも懸命に応える。
「お帰りを。旅の疲れは十二分に取ったはずだ」
砂瑠璃が答える。
「貴方はその風情からするの、シュウ殿の護衛だろう。護衛が、客人にそんな口の聞き方をしてもいいのか?」
育ちのいいカジタが言う。砂瑠璃の顔は無表情のままだ。
「貴方が手の届くお方でない」
砂瑠璃が言う。
「それはシュウ殿の決めることだ。シュウ殿。あなたは何を決めるにも自由のはずだ。どうか、応えて欲しい。私のこの気持ちに応えてくださったら一生後悔させません。会った日数は短いが、これから長い余生を二人で暮らしませんか?」
カジタがシュウシュウを見て、まっすぐに言う。
砂瑠璃は目を瞑った。そして、シュウシュウが口を開く前に立ち去ろうとすると、優しく袖を引っ張られるのを感じた。
「カジタ殿。私は…このお方をお慕いしております。ですから、貴方のお気持ちに答えれません」
びっくりしたのはカジタだけでなく、周りにいた屋敷の侍女たちであった。
何より驚いてるのは砂瑠璃であった。
冷静な砂瑠璃の目が驚きに満ちていた。
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