床の上

「ただ、私はシュウシュウ様を守れなかった事に恥じているだけです」



砂瑠璃が話し始めると、シュウシュウは涙を流しながら静かに囁いた。「私は誰にも助けてほしいと思っておりません。私はあの時、あのまま、落ちたかったのです。それだけなのに」



砂瑠璃が顔を上げた。


「シュウシュウ様。一体何をお考えになってるのです。いけません、そんな事を考えるだなんて、口にしてもなりません」



砂瑠璃は熱心に言った。何がいけないのとシュウシュウは思った。そして砂瑠璃を見た。砂瑠璃は必死に自分を見つめている。



シュウシュウはそっと椅子から降りると滑るように膝をつき、しゃがんでいる砂瑠璃に近づき口づけをした。



砂瑠璃が驚き、僅かばかりに唇が開いた。



シュウシュウはすぐさま砂瑠璃から離れようとしたが、驚いた砂瑠璃であったが、直ぐ様しっかりとシュウシュウの肩を掴み、砂瑠璃から口づけを強く返していた。



それはシュウシュウは思ってもいなかった事で、今度はシュウシュウが目を丸くして、そしてそのまま目をとじる。いつの間にか口づけは深いものとなり、二人はあっという間に冷たい床の上に横になった。


息をすることも出来ずに、懸命に口づけを返すシュウシュウをすっと砂瑠璃が離れて眺める。シュウシュウは何と言っていいか分からず、自分を見つめる砂瑠璃を眺める。


「背中が冷たくありませんか? シュウシュウ様」


砂瑠璃が聞く。聞かれるまで自分が床の上に横になってることさえ気がつかないでいた。


「いいえ、いいえ」



シュウシュウが囁くと同時にまた強く唇が塞がれた。シュウシュウは砂瑠璃の首にしがみつく。砂瑠璃の手がシュウシュウの体を触る。


誰にも触れられることのない場所を触られ、シュウシュウが息を切らしながら目を開けると自分を見つめる砂瑠璃の眼差しとぶつかり、耐えきれなくなり目を閉じる。


シュウシュウ様、目を開けて下さい。シュウシュウ様と耳元で囁く低い砂瑠璃の声と押し寄せる快感にシュウシュウの甘い声が漏れる。


シュウシュウは自分が甘い声をあげている事にも気がつかないでいた。喘ぎながら砂瑠璃を抱き締め、砂瑠璃の手つきに体をよじる。



砂瑠璃が自分の唇でシュウシュウの声を防ぐ。そして、すぐに高まり、耐えきれなくなった砂瑠璃は自分自身を、シュウシュウの体の抵抗にあいながらも、押し入れる。


シュウシュウは始めは快感に酔っていたが、痛みに目を見開いた。


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