ハクの決意

「今、砂瑠璃様が…」



ごとごと担架で揺すられながら、シュウシュウは自分の頭が痛むが思わず囁いた。自分がどこにいるか、わからなかい。真上に空が見えて男達が自分を運んでいる。



「慈恵安泰婦人、お静かに。貴女は怪我を居っています」



己龍がシュウシュウの側で囁いたかすぐに、シュウシュウは腕を伸ばした。己龍は腕を捕まれ、思わず馬上のハクを見たが、ハクは前を向いていて気づいてなかったのでほっとした。そして慌てて己龍がシュウシュウを見ると、



「怪我をしていました、怪我をしていました。砂瑠璃様のお顔から血が」



シュウシュウが泣きながら言うのであった。


「慈恵安泰婦人! 貴女は頭を打っておられる! 恐れながら貴女様を助けたのはハク隊長で、ハク隊長は怪我をなさってます」



シュウシュウは訳もわからないまま、自分のせいでハクが怪我をしてることを知らされた。痛む頭を動かすと馬上に辛そうなハクが見えるが、ハクはそんなシュウシュウに気づいて優しい眼差しをシュウシュウに送った。シュウシュウはハクの顔色の悪さを見て全てを知った。



「ああ、なんてこと。なんてこと。わたしのせいで、なんてこと」



シュウシュウは泣きながら己龍の腕をまた掴み言った。



「私のせいです、全て私のせい。ですから砂瑠璃様に罰を受けさせないで」



その言葉は側にいた者達にしか聞こえなかった。己龍が答えあぐねいてるとシュウシュウはまた気を失っていた。



己龍はハクの様子、そしてシュウシュウの言動から嫌な予感がしたが、今はシュウシュウが助けられなければ全てが終わると宮中へ急いだ。



そして、宮中へ着くと蜂の巣をつついたような大騒ぎであったが、シュウシュウが回復の見込みがあると大医が答え、ハクの怪我の手当てが終わる頃は皆がほっとし、ハクは王から褒美を受けた。


そしてハクは褒美を冷めた感情で受け取り、自身の新たな道を養父と歩むことを再度誓うのだった。

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