再会は短く

砂瑠璃は真っ青な顔だった。そして馬に乗りながら、怪我で同じく青白いハクを見て、そしてそれから部下達が運ぶ担架に横になっているシュウシュウをみとめて、馬から飛び降りシュウシュウに駆け寄った。



ハクは痛みがひどくなったいたのと、砂瑠璃の登場に気分が悪くなった。



「こいつはシュウシュウ様と何かと近しいものがある」とハクは自分では認めたくはないが、頭のどこかでそう思うからだった。




「おい、お前、何をしてる」




ハクは馬上から砂瑠璃に言った。砂瑠璃は死んだように横になるシュウシュウを見て何も言えないでいた。




「砂瑠璃将軍。急いで慈恵安泰婦人を宮中に運びます。怪我をしています」



己龍が足を止めたくなくて慌てて囁く。



「かなり血を流していますので」



砂瑠璃は呆然とした。そしてハクに頭を下げた。「遅くなり、申し訳ありませんでした。怪我は…」



シュウシュウが担架の上で呻いたのでハクと砂瑠璃はばっとシュウシュウを見た。砂瑠璃のシュウシュウを見る目付きが気に入らない。ハクはそう思うと同時に瞬時に刀を抜いた。ただ脅すだけのつもりであったが砂瑠璃はちらと見ただけでシュウシュウを見続けていた。



「シュウシュウ様は絶対に生きる。私が守る」



ハクが痛みを堪えながら言うと、周りの空気はしんとなった。砂瑠璃がやっとハクを見るとシュウシュウの側にいた砂瑠璃に向かって刀をひとふりした。驚いたのは少し離れた場所に控えていたアサツキや砂瑠璃の部下達だった。顔を切られたと周りの者は思った。



砂瑠璃の両目の下。鼻を通って真っ直ぐに赤い線が入った。




「どけ。邪魔だ。邪魔立てする奴は許さない」



ハクは砂瑠璃を見て言った。そして、こいつは今目を瞑らなかったと思った。砂瑠璃はなおもシュウシュウを見ていた。シュウシュウが目を開ける。



「砂瑠璃様」



砂瑠璃が目を大きく見開いた。「シュウシュウ様」



「シュウシュウ様」



馬上のハクがはっとした。己龍はさっと砂瑠璃を押し退けた。「慈恵安泰婦人の為です」その一言に砂瑠璃はすぐさま道をあけた。



「急げ、急げ」



ハクが叫ぶ。己龍達は素早く動いた。







  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る