ジア様を守れ
「襲われている人をほおって置くのですか?助けなければかわいそうだわ」
シュウシュウが言う。多英は低い声で静かに続ける。
「
「家に泥棒が入ってきて鉢合わせしたら?出入り口もふさがっていたら?」
「窓や、板をつきやぶるのです。多少の怪我は致し方ありません。そして、叫ぶのです」
「もし、家の中で私がすみっこでまるまっていたとして、物盗りが私に気づいてなかったら?」
「…相手がこちらに気づいてければ、息を潜めて、隙をみて逃げるのです。逃げる場所は遠くです。それが無理なら、音がでる場所へとまずは身を隠すのです。音が、シュウ様の音を隠します」
「音がでる場所…って、どんな?」
「川や滝は水音がします。後は動物の小屋でもいい。鶏や牛は始終動きますからね」
ジアは、果たして、そこにいた。ジアはたまたま庭に出ており、見知らぬ男がいきなり下働きの男を切って、屋敷の中に運ぶのを見て慌てて馬小屋に身を潜めたのだった。
ジアの家にいる馬はガンムが乗っていった。残り2頭。そして勝手に住みついた野良猫が子猫を生んでいたのだ。ジアはそれを見に来ていたのだ。
馬小屋の間から外の様子がみえる。何人かは外で見張っている。藁を必死に集めたが足もとを少し隠すばかりだった。ジアは丸見えだった。ここへ人が来るのも時間の問題だ、ああ、ガンム。ガンムは私が殺されたら、あの人は苦しむ!そして、人の心を失ってしまう、ガンム。ガンム、ガンム。
どれくらい経ったのか。ジアは板の隙間から外をまた見ると、何と、赤い衣が見えた。子どもだ。見慣れたその子供は縁の下から這い出たきた。
シュウシュウ!
ジアの心臓は止まりそうになった!そして、なんと、シュウシュウは門の見張りにも見つからず走った。
あの子、ここにいたのね?いつから?ああ、うまく抜け出して助けを呼びに行ってくれるかもしれない。
ジアは汗と、そして涙でぐちゃぐちゃだったが顔に手をあてた。神様。あの子と私をお守りください。
しばらくすると物音がした。ジアは石像のように動かなくなり大きい目をますます大きくして青白い顔のまま、馬小屋の中から木の閂の方を見た。
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