第29話未定
「お二方。先ず前提として傀儡奴隷的な待遇を要求するならこの話は其処で終わりだ。と言う事は先に述べておく」
「なら此方も述べておく。分け隔てなく万人の為の天国を創る思想持ちは少ない。だからこの話は受けて欲しい」
「……だからとそれで得られる人望の為に傀儡奴隷に成れとか言われても断るが」
「最大多数の最大幸福を目指す事はいけない事であろうか?」
「……それ自体は否定しない。だが、これはゲームじゃない。その為に俺に人柱に成れと言われて簡単に頷ける程の関係なんて互いの間には無い」
「昔のゲームで良く有る類の問いであることは確かだ。だが、これは何もそれを引き受ける事で死ねと言う意味の話ではない」
「貴方方が提示するそれで貴方方が満足出来るならそれを貴方方がやれば良い」
「……譲歩はしよう」
「しないつもりだったのかよ?ならもうこの話は終わりで良いか?自分なら飲めない類の要求するつもりだったって事だからな」
「必要なのは解るだろう?」
「じゃあ脅迫された訳でも無いのに必要だから見返りは特に無くても奴隷に成れとか言われて頷けるかよ?それとこれとは話が別だ」
「……我達の力はその立場に似合わない。何せ非生物に夢を見させる力故」
「……つまり、先の奴は世界に夢を見させている結果、と言う事か?いや、正確には世界に夢遊病を与えて居る結果の現象と言う解釈で良いか?」
「ああ、そうだ。世界に夢を見させて、その夢の結果を見て居る奴以外に与えている。故にこれらは世界を創る力ではなく、世界に我の任意の夢を見させる事である程度世界を操る力でしかない。世界を創る力とはまた違う」
「……それは此方からすれば此処で契約を締結してもその世界を乗っ取られる気しかしないのだが」
「最初からやるつもりならばそもそもこの説明自体をしない。此処で説明せず後から露呈して、無駄に疑われてもアレだろう。むしろその状況の方が今説明する事で起きる状況より不味いはずだ」
「……どうせ遠からず疑われるのならば、現状は必要ない余計な要素が付け足される前に自分から開示しておく、か……一度他の奴と話し合いさせろ」
「解った。明日また来る」
「それではまた」
そして話し合いをする事にする。ケールハイトとか辺りには最低限話を通さなければ成らないが。ケールハイトには顔合わせにくいな。俺が延命した事の理屈が予想通りならアレな状態なのだし。……だが、それで関係を変えるのも違うか……行こう。
「アーバーン。一先ずケールハイトの所に行こう」
「……解ったわ。そうしましょう」
そしてケールハイトの場所に移動し状況を話す事にする。
「……以上が現状だが、その、アレだ、ケールハイトの呼び方は変えた方が良いか?」
「別にそう言う関係に成りたくてやった訳じゃ無いから、そうしなくて良いです。もしそれをやるなら自分の意思でして欲しいから。現状無理矢理そうしたに過ぎないし。レイプでもやってしまえば和姦です……なんて言いたくは無いし」
「……理屈がどうあれ、これは蘇生よ。私はそう扱うわ」
「公側にはそう扱うべきだろうさ。そもそも全部死んだ訳でも無かった上に、やっている事も原理的には全然違う訳だが、説明のためにケールハイトの能力を公表したくは無いし。さて、話を戻そう。現状この世界の先の俺の立場の奴は必要だ。……だが、それを出来る奴は話の前提条件上、その立場をやれる奴でもその責任を放棄する奴側の方が多い。でもこの世界としては誰かはやって居る必要が有る。そうでないと何時そうなるかはともかくとして、ブラフマン的な悪役が来てもそれに対する抑止力が無い。それを見逃すのを正義と呼びたくは無いが、それを見逃さないと言う事は傀儡奴隷に成るような物だ。此処で問題なのはメリットとデメリットの釣り合いが取れて無い事と、程度が不明なリスクを負うのに低いリターン。こんなのなんかのメリットを求めても文句言われる筋合いは無いレベルだと正直思う。けど、私欲の為に貰った力を大量に使えば邪神呼ばわりも仕方無く成る。必要で有る事は分かるが……素直に引き受けられるかと言われると……」
「国民の平和を守れると言う事はヒーローとしては良い報酬だとは思います、ですが、ボランティア活動をやりたくてそれをやる訳じゃ無い以上、それをする上での明確な利益が欲しい、訳ですね」
「……正直さ、俺は自由に何でもかんでも創れる力とかを手に入れたら我欲の為に一切合切使わないとかやれる気がしない」
「今はそう使ってないじゃないですか」
「……それは現状やる必要が有る事が多すぎて我欲に全振り出来る状態じゃ無いだけだ」
「そう。まあ、それはそうよね」
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