第28話未定


 一応昔の話に成るが、召喚された人々を排斥しようと言う流れが有る時が有った。現状召喚された人々の力を借りなければ詰んでいる検案が多く起きて居るため、その運動は大方沈静化した訳だが、その人達の主張の根幹は簡単だ。召喚された人々側だけが持つ特権、つまり、所有能力のせいで起きる弊害全般を無くせ。と、言う物。これは案外広くの人に支持された。何故なら、例えばリスポーン能力持ちに通常の死刑執行をした所で死なない為、刑罰として死刑の意味が無い、とか、特殊な能力が有る事で能力持ちによる特殊犯罪が起きる原因に成ったとか、まあ、色々と、それが支持されるだけの理由も有る訳だが……召喚された人々からしてみれば要は自分の不死性を捨てろとか、自分の能力を捨てろとか言われて居る訳で、その要求を飲む奴が居ない訳では無いが、それを言い換えれば特に見返り無しに自分の既得権益を大幅に廃棄しろと言われるのと同じなのだから、大半はそれに応じ無かった。愛情が有るだとか信頼関係が有るから大丈夫だとか言う奴は全人類が何も問題無く友人に出来るくらいの事くらい出来なければ、そもそも少数ならともかく全体的には反論として成立し無い話だった。……今その運動が沈静化しているのは、単にそれが無ければ困る状況だからに過ぎない。……と、思う。人の善性を信じるが、人の悪性も信じるとか、言って居る神様が居るらしいが、誰の事だっただろうか?ああ、ルドラ様だったかな。まあ、それは別に良いや。

 色々な思想に触れて思うのは、大義名分って大事、と言う事。正義の反対は別の正義とはよく言った物だが、……敵対思想も対して気にせず問題無く受け入れろ。それで気にするようでは膨大な数の世界の管理は任せられない。……。自己都合を自分の創る世界に入れて何が悪いのか?とは思う。だがまあ、自分の都合のみだけで世界を好き放題変える存在は邪神呼ばわりなのも解るからアレなのだが。

 話は変わって、そう言えば風使われたら威力落ちてアレなのだっけ。やる事と言えば要は水の身体を扇子代わりに運用して、手風でそれなりの風速を出せるようにするだけだ。そもそも水を相手に当てられる程度には速くは動かせるのだから風を起こす速度は問題無い。水を扇子状に制御して、それで風を起こす。ついでにそれで水を飛ばす。それで放電を行う、と。水で手風を起こす扇子を創れば良いだけだから、難易度自体は低い。水で巨人を生成して居る時の巨人の身体の硬化を、扇子の硬さを作るのに流用すれば良いだけだしな。風を直接的に制御はしていないが、それで云々言うなら間接的な手法でやる技全般に物言いが付くので言わなくても良いだろう。ついでに消えない炎についても言及しておこう。先ず前提として水がどの様な状態でも操れる。だから、蒸発した水蒸気を水に戻せる。これを前提に考えれば排熱機構が出来る。いや、これは要するに理屈的には汗の蒸発で体温が下がるのと同じな訳だが、その後に水蒸気を水に戻せるので、結果として排熱をループさせて延々と行える訳だ。まあ、消えない炎相手に只々燃やされる展開は無いだろう。まあ、違う理屈をぶつけてきてそれなら通るだろうとか言われそうなので、細かい言及は抑えておきますかね。……いやまあ使い方次第の能力とか、作話的には使い方に言及し無いと簡単に負けた事にされるような力を使って居る自覚は有るからアレだけど。実際の話としては創作では何でもかんでも前提から明らかに逸脱して居る物でも付け足す拡大解釈物だと拡大解釈を抜きにされた解説のみをされたら雑魚扱いも仕方無い作品はそれなりに有る訳だが。……ん?お前もかなり何でも有りだろって?システムの力とかをそのまま運用するとかの一部を除いてならば俺の力は前提の理屈は大抵逸脱して居ないけども。それはまあ、良いか。他人のシステムを良く解らずにそのまま使う。うん。創作ならリスクやデメリット何て全無視で問題無いけど、現実で考えると単にアホかと。他人の都合の良い物が含まれていたらそれもそのまま使ってしまう訳だし、ゲームで言うならデータの横流しとかされているのを考慮せずにガン無視してゲームを遊ぶような物だし。あ、シミュレーターの事を忘れていたな。これはその時に突っ込むべきネタだった。シミュレーターが既に有るのに、わざわざ世界を創る話に成った理由だが、運営側がシミュレーターを運用する際のアレコレで不正に利益が出る様にシステムを前提からして組んでいたから、使用禁止に成ったと言うだけだ。奪われたならその被害者が奪った奴に代わるだけに成る訳だ。……なんか眠気がして来た。寝るとするか。そして今日は休むことにする。



 ……寝たはずなのに、何か非現実な場所に居る事に気付く。夢の世界と言う奴か?それにしても奇天烈な物が沢山ある場所だな。

「水霧浄土、汝に問おう。何故契約を解除した?」

「……契約をあれ以上続けていたら只の奴隷なので」

「だとしても対価を汝は受け取って、使っておるのは変わらない」

「……それは返しましたよ」

「変わらず力を行使しておいて何を言う?」

「……自前ですってば」

「似た力を使って置いてか?」

「参考にはしましたが、間違いなく自前ですよ」

「……契約を締結し直せ。さもなければ、死ね」

「……またまた御冗談を」

「出でよ、モロス。死の定義を定めたまえ」

「御意」

「……モロス?いやいやいやおいおいおいそれは不味いって」

「吾輩は汝を簡単に殺せる。いや、吾輩は汝がこうすれば死ぬと言う事を決められる」

「……そんな無茶苦茶な」

「当然制限は有る。だからこそ、我、つまり、パンタソスが補助をして居る」

「……契約を再締結しろ。さもなければ、死ね?そんな無茶な要求が通るとでも?」

「良かろう。ならば死ね」

「は?」

 そして俺は死んだ。……と思えば別所で意識を取り戻した。

「何だったのか、アレは」

「……水霧、貴方殺されていたのよ」

「ははは、アーバーンまたそんな御冗談を言わなくて良いのだが?」

「いや、マジでよ」

「……何でさ?」

「先ずモロスは死の定業を決められる。だから、貴方がどんな理屈を成立させてようが殺せた。でもモロスの力量なりなんなりの他の要素で普通には無理だった。だから、パンタソスの夢の中でやる事で、非現実的な事を無理矢理夢として成立させ、殺そうとした。此処からは相手側の誤算なのだけど、要するに水霧は私と存在融合をしていた事で私側にある程度の存在が残ったとか、色々な理由でそれを元にケールハイトに蘇生させて貰ったのよ」

「……いや、それは多分蘇生じゃ無くて……いや、なんか……すまん」

「……こうなっては仕方無いもの」

「ははは……何時もなら多分交渉何てせずに殺すのだろうな、アレは」

「そんなことより、パンタソスと、モロスと話し合わないと駄目よ」

「……そうだな。条件付きとは言え、此方を即殺出来る相手と話し合うとかアレだが、生存出来たのは多分即殺の前提を夢空間に入る事で無理矢理成立させている関係上、寝てない部分がその中に含まれなかったのだろう。多分アーバーンと融合している部分が起きている判定だったのかもしれん」

 それにアルゴスの神格獲得の為に一部起きて居たし。

「俺がてめえはこうすれば死ぬとすればてめえはそれで死ぬ。理論的などうこうとか関係無しに……と言う能力なんて有りながらブラフマンを倒さなかったのは完全に相性ゲーと言う事かしらね。殺すだけなら世界も壊しちゃうからアレだし」

「うわぁ……がまあ、通常は無理だからパンタソスに補助をして貰っていた訳だろうし」

「とは言え、殺せるのは確かよ」

「言い換えれば相手の世界の中では相手が自由に色々と決められると言うだけなのだろうけどな。夢の世界を今回の事をやるためのツールとして使って居ただけでしかないだろ」

「いや、その理屈だと名乗って居るだけでは無い創造主は基本装備としてそれが出来る事に成るわよ?」

「結果的には相手の世界に入っている部分だけにしか意味が無かったが、相手の世界ではそれで殺せると言う事なのだろう。そう言う理屈の世界なのだからさ。まあ、他の世界ではそうでは無いから其処で殺されていても結果的には俺は生きているが」

「それは蘇生したからだけど、まあ、幾ら殺されようが殺された事にされようが別の理に生きているのだから関係無いし、問題無い。……とか言うとアレよね」

「そもそも本来と違う別の法則を押し付ける能力相手への回答としてはそれで十分だろう……ようこそ。お二方」

「……結局生きて居ったか」

「……するのがアレな事をする事に成りましたがね」

「それは言わなくても良い。別の殺し方を試すとしよう」

「……いや、勘弁してくださいよ。此方はちゃんと契約内容は守って辞めたのですけど」

「……いや、お主が契約で得られる立場の奴は皆の為に居るべき者で、簡単に止めてもらっては困る」

「他にも辞めた奴は居たでしょうが、俺だけに拘らないでくださいよ」

「造物主の事か?アレは思想が悪い。その立場にさせても我々には何も恩恵が無い」

「そりゃああの人は少数の利益重視思想で、それから貴方方は外れるのかもしれないですけど、俺だって万人の為の奴隷に成る立場はお断りですよ」

「では死ね」

「いや、待て、待て、待て、せめて待遇改善を、だな」

「出でよ、万能神」

「……あれ?まだ俺は生きているな」

「……ち、流石に不完全か」

其処には操り人形が顕れていた。……いや、思っていたのと違うのだが。

「まあ、良い。万能神よ、奴を殺せ」

「流石にふざけ過ぎだが、先の例が有るし、まともに受ける気は無いが……いや、なんだ、それ、アレか?何でもかんでも才能が有り過ぎて、色々な要素が混ざり過ぎて完全に飽和現象が起きてやがる」

 要するに全ての能力が全て同じレベルで混ざり過ぎて互いが互いを打ち消し合って居る。その結果として全ての能力が碌に機能していない。只残るのは能力への圧倒的な耐性のみ。触れられたらその打ち消しに巻き込まれるだろうからヤバいが、能力補正が碌に機能して居ないので身体能力は只の常人だ。……いや、別にだからと能力を使い倒せる気はしないが、だからと倒される気も別にしなかった。……何かに特化し無いと能力は只の枷に成り果てるのか……。これは酷いな。一先ず回避を続けながら交渉を続ける。

「該当の立場の奴が必要なのは解る。けど、強制してやらせて造物主と俺が同じ理屈を行使しない理由は何だ‼」

「造物主と違い、今の汝なら殺せる」

「つまり、結局は傀儡が欲しいだけかよ。ふざけんな!」

 ……いや、待てよ?何故今出されたこれらで造物主は死なない?つまり、これには対抗策が有る?なら何を造ればこの状況を打破出来る?

「汝が力を得られる契約を締結せよ」

「……だが断る。同時に奴隷傀儡化もするのだからな」

「……万人の為の世界を創ろうとする奴は貴重なのでな、こちらとしても簡単に諦められる話ではない」

「……いや、その割に簡単に殺して来たけどな」

「殺し切るつもりは無かった。と言うか汝はその程度で死ぬはずは無かった。と言うべきか」

「俺は創造主としての力に関しては力を得ただけのド素人だよ、クソが」

創造主としての力を使えばあの力を跳ね除けられる?なら、こうだ。俺は小型世界を全身に纏い、他の世界の概念を受ける際にそれを自分の世界に混ぜる材料扱いして、力をそれに注ぎ込むことで無理矢理潰す。

「ほう?ド素人と言うのが嘘に見えるな、それをやれるのは。これ以上はやっても仕方無い様だ。話し合いを始めよう」

「……そうしますか」

 なんか微妙な気分だな。




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