第27話未定
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話を整理しよう。
案一、神格統合を大量に行う為に万人支持を得る必要があり有り、その為に万人の為の天国を創る。
案二、現状の力で妥協し、自分に都合の良い世界を創りそれで満足する。
案三、自分で作った奴と存在融合をして、自分の力を跳ね上げさせ、妥協をせず高みに登る。
案一の問題は万人の為の力の運用を常に求められる事。つまり、力が幾ら強かろうがその力を自由には振るえ無い事が問題。
案二は異世界から外敵が来ない前提で無いと、格上が攻めてくる可能性が有る事が問題。
案三は……いや、前の二つに比べたら問題点は薄い。問題はそれの定義を諦める必要が出るかもしれない事……だけが問題だからだ。能力の関係上普通の性行為に価値を見出せる状況じゃ無いからな……いや、待てよ?ならそうだな。
「なあ、アーバーン。一つ提案が有るのだが、現状出来る事を俺と全部やらないか?初回だけを重視するなら先に全部やってしまおう」
「……それよりも代案を探しましょうよ。初回だけでなく全部が私の物なのだから」
「アーバーン。そうだとは言え代案が無いのも事実だぞ?……それに意味が無いならアレなのは既に解るはずだ」
「……浮気者」
「うぐ……いや、だが、先に進む為には……っていや、まだ検証次第だから」
「でも必要ならやるでしょう?私と存在融合を最初にした時だってそうだったし」
「……それは否定出来ないが……それより今は検証だ。うん。検証しなくてもそれを可能にするには条件が有るのは予想付くけど……そうでないと創造主としての力持ちは皆基本的に過剰な強さのインフレが起きて居る事に成る。……いや、まあ、数万人の力を集めて束ねてやっと創造主としての力を行使出来るとか、要はアレだろ?創造主と名乗れる奴は基本的に其処に行ける奴等ばかりなのだから創造主の力のインフレを可能にする理論が有るのは予定調和と言えば予定調和なのだが」
「水霧、それは何だと思う?」
「多分、自分で作った奴はそのままだと存在融合をしても意味が無いと思う」
「なら何のために実験するの?」
「多分駄目なパターンは、あー、何というかアレだ。俺に存在する前提を依存している状態だと駄目だ。とかか?その状態だと要は自分の中で術式を組んだだけに成りそうだし」
「……いや、まあ、それはそうね。自分の中で術式組んだだけで能力を幾らでも底上げ出来るとかは流石に無いわよね。つまり、水霧に存在する事を依存して居ない奴でなければ存在融合をしても意味が無い、訳ね。……でもそれだと自然と存在融合をするに足る相手はある程度以上の性能の奴が必要で、無尽蔵に創れるとまでは行かないのでは無いかしら?」
「要約すれば、力的な意味で効果の有る存在融合をする相手は生存基盤が俺自身じゃ無ければ良い訳だ。シュライク・バースディって確か大量にゴーレムクリエイト出来たよな?大量に創って貰おうか」
「良い考えね。でも、シュライク・バースディにも何らかの奴を大量に渡すべきだけどね」
「そうだな。あ、そう言えば地面が雷を物ともし無いのは、星が大きいから、大きさ故に雷を中和している為、なんだっけ。それが正しいなら逆に言えば少量の土だけをぶつけて雷を相殺なんて科学的には無理っぽいな。相性ゲーだと地面タイプの奴は雷効かないって言うのも有名ゲームで有るけども、それとは話が異なる様だ」
「ゴーレムの心配はともかく、ゴーレムをシュライク・バースディに大量に用意して貰うとして、私達は何を代わりに渡そうかしら?」
「ゴーレムを貰った事で嵩上げした創造主としての力で適当なのを創れば良いさ」
「解ったわ。そうしましょう」
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「それで俺の所に来た、と。ゴーレムクリエイトをしてゴーレムを融合して、と言うのは別にやりたければやれば良いと思うけど、それでゴーレムが大量に水霧に対して混ざる事でゴーレムに対しての命令権が影響して此方が水霧に対しての命令権持つ……なんて事に成りかねなく無いか?」
「そう言われてみればそうだな。なら自由意思の有る完全自立型のみにしてくれないか?それに此方もシュライク・バースディに色々と融通するからそれで抵抗出来る様にしよう」
「つまり、絶対指令権の無い個体を互に融通する。そして指令に対して指令返し出来る様にする。か、解った……が、前に融合解除の敵が出ただろ?何方かが洗脳された上で意図的にバランス調整されたらもう片方も道ずれで不味いのでは無いか?」
「ならもういっそ指令権を基本的に放棄しておく個体しかやれ無いだろうな」
「……うーん、ならもうエネルギータンクとしての力しか期待出来無い、それ以外の機能を基本的に排除したゴーレムを融合に使おう。大量に融合するとしても集合体としては現状維持のままだが、MP量不足を補うと言う点においてはそれで十分だろう」
「助かる。じゃあ此方も似たような仕様の奴を返そう」
「しかし、MP量不足をMP生成の為だけの個体を自前で創り、自分に取り込む事で解決、か。何でも創れる代わりにそれをやるMP量が足りません。ならMP量を補う奴を大量に造れば良い。……何か問題が発生しそうだから最初は一つとだけやろう」
「解った。じゃあ頼む」
そして件のゴーレムを創って貰い、融合してみると、……ふむ。
「シュライク・バースディ。これはアレだな。融合した奴のエネルギーを俺が運用するのが少しやりにくいと言うだけだ」
「今回のゴーレムはMP生産機能以外の殆どの機能を削って有るのだから、それで致命的な問題でも起きるとか言うならば俺側のミスだし、殆ど問題ないようで良かった」
「集合体の問題点を潰す代わりに集合体としての利点を潰している気もするが、まあ、MP量不足が解決出来るならそれで良いか。此方も似たのを創る事にする」
「解った。じゃあ頼む」
そして大した問題は起きず、互いにある程度の融合を行って様子を見る事に成った。
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今回のMP生産機能のみのゴーレムを大量に取り込む方法は本来なら得られる利益をかなり潰している。……だか、その代わりに、造られた奴らに反乱の余地は無い。そもそも考える頭も無いからな。……いや、此処で考える頭を与えていれば、並列思考を膨大に行えるようになる。だが、その代わりに自我に自分以外の思考が膨大に混線する。この混線こそが性行為の代償行為として成立する理由だ。精神レベルで一つに成って居るから物理ではなく精神や存在的にそう言う行為だと言えると言う訳だ。まあ、意志の無いゴーレムなら混線する思考がそもそも無いので、セーフと言う解釈で行こうと思う。……まあ、創作では自我を持つ機械と言うのはよく使われるネタだろうし、後から混線するレベルに成らないとも限らないし、事前にやる事はやって置いたが。
「水霧さん。そんなに私と存在融合をするのは嫌ですか?」
「……ラシュさん。こればかりはやる意義ももう無いのでしないと言う事で……」
「そこまでしてしなくて済む方法をいきなり捻り出す程にしたくない訳ですね?」
「貴女はもう神格統合側はしているじゃ無い。でも更に望むのかしら?」
「私の何が悪いのですか?」
「……いや、これはそれが良いとか悪いとかの問題では無いので……」
「水霧、そうよね。これでこの話はお終いよ」
「MP量不足問題しか解決出来てないのに、強くなる手段はしないのですか?」
「……うるさいわね」
「……理で説き伏せたいと言うならちゃんと売り込んでください。存在融合をラシュさんと俺がして俺が得られる利益は何ですか?」
「……ラクシュミーとしての力全般でしょうか。……私はヴィシュヌ様に神格統合をするのを止められています。例えば神話上サラスバティとかと神格統合は出来るはずなのにさせて貰えていません。……理由をざっくり言えばサラスバティはブラフマーの嫁なので」
「……ああ、そりゃあヴィシュヌ様も反対するか。ブラフマンを此方に倒させたのならば、ブラフマーとも敵対してそうだし……そりゃあ敵の嫁と神格統合は止めろとか言うよな。……いや、だがしかし、それだとどうなるのか。ただでさえ今はヴィシュヌ様の提案を俺は蹴っている状態に成るのだから、完全敵対と迄は行かずとも面倒な事には成ると思うぞ?」
「それでも構いません」
「いやいや、構うよ。そう成るとラシュさんは展開次第では人質扱いのポジションだし」
「そもそもヴィシュヌ様は知人と似た見た目の別人が倒されようが動きませんよ」
「いや、それは普通に喧嘩売られている形じゃないかな。それでもガン無視姿勢なのか?」
「あくまでも別人です……いや、それで動く精神の神様ならばそもそも神話の存在は天罰をやりたい放題行使して居るはずですよ。ヴィシュヌ様の主張とそれは繋がりませんから」
「……」
……存在融合をヴィシュヌ様と友誼の証扱いにすれば行けるかもしれないが、そう出来たとしても此処で即決出来る話では無い。……沢山の世界の奴と融合をしておけば自分の前提のシステム外の存在基盤を手に入れる的な意味でシステムからの脱却には役立つだろうが……いや、だがなぁ……。
「美貌とか、お金とか幾らでも用意出来ますよ?」
「ラクシュミーとはそう言う事を司る神様なのだから当然なアプローチでは有るのだが、アーバーン。どうする?」
「私は当然嫌よ。性行為の代償行為をわざわざしなくても友誼くらい結べるでしょう?」
「これ以上話しても平行線でグダグダに成るから折衷案を出そう。アーバーン。ある程度の行為までは許してくれないか?要は手の甲にキスする的な奴の意味合いで。このまま何も無しにラシュさんに引き下がらせるのもアレだし」
「……当然私としては嫌だけど、それだとこの話が終わらない物ね……なら、それ以上の事はしないなら、ね」
「内容によりますがそれで良いです」
「よし決まりだ。なら内容を検討するから少し待って、な」
そしてアーバーンと少し話し合い、行為を済まして、その場は解散したのだった。
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さて、MP量不足問題は何とかなりそうだ……が、地力上げ問題を解決しなければ、だ。MPが増えたのだから、地力を上げる側を何とかしないと。水を操り身体を模し、それを操る。なら自分の身体の範疇を広げるのが結果的に強化に成る。此処で言うなら大量な腕や巨人を出すのをもっとスムーズにやれる様に成ろう。得ているヘカトンケイルの神格的には水で腕を百は出しても並列して操れる素養が有るはずだ。只の生身のそれとは違い、水で模して居るだけだから、水が有れば何処からでも出せるのだし、処理する頭が追い付きさえすれば何とか成る。それを可能とする素養は俺には有るはずだ。……此処で言う問題は例えるならモンスターマシーンとか、暴れ馬とか、オーバースペックの物を乗りこなす技量を得なければ成らない。それくらいは自力で行こう。……いや、と言うか、そうでないとヘカトンケイルの神格の恩恵が無さ過ぎるので……。現状の力でも三、四十くらいは操れるし。規模も問題無い。……いや、海の海水を前提に据えて居るとは言え、大規模津波の連打くらいは既に俺は出来て居る訳だからな。……まあ、只の大規模津波をやるだけなら要は一気に一方向に水を動かすだけでしか無いし、それを出来る出力さえあれば繊細な制御は其処迄要らないけど。こう言える理屈を細かく説明するのも悪くは無いけれど、伏せている意味が無く成るし、それは脇に置いて置こう。最近はひたすら話すかレベリングかだ。何か別の事がしたい所だが、……いや、レベリングと言うか、戦闘中の機動力向上に関わるか。出せる腕の量の増加は。そもそも今の身体を起点にしないでも良い以上、以上単独での挟撃なんて容易い物だ。当たらなければどうと言う事も無い、とか言われても、回避の為に使える特殊軌道な能力を使用するならまだしも、只の動く事での回避相手になら挟撃も面攻撃も手数ゴリ押しも、後理屈上は包囲も単独で出来ている訳だしな。……いや、待て、待て、これを考え始めるとまた鍛錬開始だ。それではマンネリ過ぎる。……よし、個人での世界創造のテスト運用をしてみるか。これなら現状把握に適当だろう。……いや、とは言え何を創るかね。今は個人で世界創造の力を限定的に行使出来るのだから個人の為に使えるはずだ。……なら我欲の為に使う?……それも魅力的では有るけど、ルドラ様の言って居た、意訳で言えば、自分の世界では誰でも簡単に最強に成れる。何故なら、そうなる様に世界を創るだけでそれが達成出来るからだ。……これを検証してみよう。自分に都合の良い世界。其処に居られるだけで自分が最強に成れる世界……。ゲームで言うなら他人のスペック評価基準の入力と出力の拒否で自分だけ世界へのスペック出力と入力の許可の世界、とか?自分以外の奴のスペックがそもそも自分の世界では無価値と出来る世界。此処で創る世界の認定の力を超えられない限り、一律で有象無象の雑魚認定の世界。……いや、例えば世界を簡単に壊せる奴には意味無いよな。……完成しても用途は雑魚狩り専用じゃ無いか。……うーん、世界を壊す。今の俺は世界に世界を混ぜて別物にする。故に世界の原型が破壊される。と言う形での世界の破壊は出来る。つまり、要は調合とかで別物を創るとか、香辛料大量投入で元の味を失わせるとか。つまり、壊すと言うより創る事の結果が破壊に成っているだけ。……いや、香辛料の大量投入は料理への冒涜だ?そもそも壊す前提でやる事なのだし、別に無差別にやる訳じゃ無いし。そもそも世界を壊すってどうやるのか?要は場所としての世界とは大抵の通常の現象では壊れない容器の様な物な訳で。それを壊せる力が有れば良い?エネルギー其の物がその効果を持ち得るなら、そいつはエネルギーを保持したまま世界に居るだけで規模はともかくとして世界を壊すだろ。そうでないと言うならばエネルギーをそう言う効果の物にする術式が有るのか?それとも保有者が基本的には完全な密封容器に成って居るのか?密封容器側ならそいつが外敵だとして、もし何かの間違いで普通に殺せたとしても制御を離れた保有エネルギーが世界を壊す。……そいつの世界に攻め込んでそいつを倒せたならまだしも、攻め込まれた際にそうなるのはアレだな。攻め込んだ際にそれなら要は規模を考えなければ敵が死ぬ間際に居る建物を壊すのと同じに成るから良いのだけども。……生きるか死ぬかの検案の際に自分の世界には居られなさそうなパターンだな。世界を壊す様に術式でして居るならもしエネルギー量で負けていようとも、その術式側さえ壊してしまえば良い。此方なら実力で負けていようともまだどうにかなりそう。火力勝負で全部消し去らなくても、それが世界を壊すに足る物にしている根柢の一部分だけ壊せれば良いのだし。……いや、話が逸れて居るな。物理的に世界を壊す方法って何だ?という話。大抵の通常現象では壊れて居ないから、今も世界は現存して居る。……いや、世界誕生五分前説的に世界の奴が世界創造を把握出来ずに居て、世界は壊れては世界が造られ……を、高速で繰り返して居る。……とかでも無ければ世界に現存する大抵の現象では世界は壊れない。それは間違い無い。
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