第26話未定
最近あまり水霧には会って無いけど、正直な話、私が渡した能力を水霧は異常なレベルで能力を使いこなしていると思う。でも、何か特定の事をやるそれだけの為の能力と言う訳では無いのだから、汎用性が出るのは自然では有るわ。……まあ、水の制御だけで説明が付く能力なら全部出来るとかなんて、確実に私は渡した時は想定して無かったわよ。それにそもそも大元の能力としてはショボいのよ。それはもう割と大真面目に。それを生かすための拡大解釈がやばかっただけで。でも、転生者とか二週目とかの事前情報持ちと言う訳でも無い。……そうでも無いと私と同等クラスの別属性の奴を大量に用意して、全属性の最上位の個体を従えると言う事が出来たはずなのに、わざとそれをしていない事に成るもの。これだけ色々と戦う立場で、敢えてそう言う遠慮をしているとは思えないのよね。まあ、仮にしたとしたら全部自分に最高峰の奴の戦力を集中させる事に成るし他人任せが基本的に出来なく成るからアレだけど。
『アーバーン、少し良いか?』
「何でしょうか?ヴィシュヌ様」
『正直な話、全体の利益より自分の利益を優先させるような奴は膨大な数の世界を管理させるには不適格だ。そうでないと自分の都合を運用上に反映させてしまうだろうからな』
「……沢山の世界を治める条件にボランティア精神をお望みなら他を当たってください」
『自分のみの都合で世界を好き勝手に変える奴なんて邪神呼ばわりも仕方無いのだが?』
「……別に私は大勢に無償で奉仕する為に力を得た訳じゃ無いわよ」
『ある程度はそう言う事もやっておかないと只の邪神と変わらなく成ると言う事だが』
「……寄生虫の様な連中を養って満足させる事こそがやるべき事だと言うのかしら?」
『万人の為の天国的な世界を創ると言うならば、嫌な相手も含めた全方位の相手にも施せ。それが出来なければ話にならない。それが出来なければ思想的な例外や除外が有る万人だからな』
「犯罪者にとっての天国なんて要らないでしょう」
『自分の都合が悪い思想の奴が必ずしも犯罪者で有るなんて、犯罪者だけが嫌いとかでも無ければ永続的な断定は基本的には不可能だが』
「公正で、平等で、中立で、傍観者で、自分の利益を優先せず、全方位にひたすら施せ?馬鹿じゃ無いの?それだと他の誰かに何やられようが何が起ころうが何を言われようが本当にどうでも良く、万人にひたすらに尽くす様な奴でも無いと資格なんて無いわよ」
『高貴なる者の勤めとか言う奴だが』
「……そんなの一個人にじゃ無くて何処かのシステムにやらせなさいよ。非戦主義なんて結局唱えていた大元の人は最終的には殺されているじゃない」
『そのシステムを組む側の思想と意図が万人の利益を優先しなければ造っても意味がない。それこそ邪神の所業に成るだろう』
「……自分の利益を得ようとしただけで邪神呼ばわりは酷いわよ」
『それは政治家が権力使って不法に利益を得ました。の、世界規模版だが』
「……頭痛く成って来たわ」
☩
「さて、どちらの選択肢を選ぶべきか」
『俺が介入するのはフェアじゃ無いが……そもそもフェアじゃない選択肢を選ばせられている奴の訂正くらいしてもバチは当たるまい。そもそも創造主クラスに成っているのなら、既存のシステムに頼る前提の未来設計は止めても良いのだぜ?』
「……誰ですか?いきなり」
『ん、んー。皆基本的に神格名を名乗って居るのだから、俺もそれに習いルドラと名乗らせて貰う』
……散々神話再現ネタをやらされたのだ。そりゃあまあ色々と俺だって調べるけど、……ルドラとはヴィシュヌ様と同格のシヴァの前身の神格。何ならシヴァと同一視すらされる神格で、神格統合の仕組みがある以上はルドラと名乗ってはいても実状的にはシヴァな可能性だって有る相手。
「ははは、ルドラ様、ですか……つまり、他の選択肢を自分で創れる立場に俺は居る、と言う事ですか?」
『創造主に成れる資格が有るなら問題無く出来るはずだ。まあ、問題は独自性が高く成り過ぎると他の法則の世界では成立し無く成るのだが』
「……幾ら自分の創った独自の法則の世界で強く成ろうが、前提となる仕組みが他の世界には前提の法則が無いので幾ら強い様にしても無駄、と言う事ですか?」
『そうだ。まあ、そうでないと何処かの子供が考えた様な頭の悪い最強無敵な思考停止的な理屈にも負けるからな』
「……前提と成る理屈の無い世界に独自の世界の最強無敵を持ち込もうが無駄と言う事ですか?」
『それは当然だ。システムの力全依存で強く成って居る奴がシステムの力の補助を受けなくても戦えます?そんな訳無いだろうが』
「要は何処の世界でも有るような普遍的な概念で強く成らないと幅広くは通用しない、と」
『そう言う点では君は期待出来るからね。自分の世界でなら最強無敵、なんて事は、創造主クラス以上の奴なら誰でも簡単に出来る。そう成る風に自分の世界を調整して創るだけで良いのだから、最悪どんなに弱くても創造主と名乗れるレベルなら世界における最強無敵を名乗れるさ。でもそれだけじゃあ相手の世界では通用しない。国際ルールよりもマイナールール優先なんて事はされないからね……黙って聞いてないでツッコミしたらどうだ?ツッコミポイントが有る内容だからな、これは』
「……そしたらどうやって創造主同士の戦いは行われるのですか?互に自陣では最強無敵なのでしょう?ならそれこそ自陣から出たら負けでは?なのに、侵略者という概念が残る理由は何ですか?そもそも侵略者をやる奴は創造主レベル以上の力を持つ奴は居ないのですか?その理屈だと創造主が侵略者をやるなんて自分の負ける余地を増やしに行くような物ですよね?……いや、前提の話を解決する方法は何ですか?」
『……それはともかく、そっちに食いついたか。俺としては、選択肢は他にも有るって事が解れば良かったのだけど』
「……選択肢は他にも有る、ですか?」
『君の話で言えば万人にとっての天国と言う大義が無ければ、主義主張を問わずの大勢の賛同は得られず、故に神格統合をこれ以上大勢とは出来ず、結果としてこれ以上の大きな力を持てず、創造主としての更なる高みには行けず。だから、選択肢としては万人の為の天国を創り万人の支持を得て神格統合を更に増やす。か、これ以上の神格統合を諦めて現状の力で世界を創り、其処で妥協するか、だろう?まだ選択肢は他にも有る。間違えるのじゃ無い』
「……つまり、妥協しなくても高みには行けるのですか?」
『ああ、その方法論の回答を君は既に持って居る』
「……それは出来ません。具体的な内容は解りませんが、何を使うかは解りました。ですが、それはしたくはありません」
『やる気はないと言うなら方法論は教えないが、良いのか?』
「やるかやらないかは別として、方法論だけは教えていただければ……」
『なら説明するが……』
そして少しだけ説明を受けた。理屈としてはシンプル過ぎるので、乾いた笑いが出るが、何方にせよそれについては色々と話し合わなければならないか……。いや、勿体ぶる必要は無いな……ネタとしてシンプル過ぎて隠す意味合いが薄いのが正しいが、要は創造主としての力で自分に協力的な奴を膨大に創り、それと存在融合をすれば良い。それだけの話である。
「水霧さん。何を迷って居るのですか?」
「……ラシュさん、か。いや、先に進む手段は有っても、それをするのは関係性的に不味い物でして」
……存在融合を性行為の代替物扱いして居るのを止めないと成らなくなるし。
「神格統合を使うのは駄目なのですか?」
「……いや、駄目じゃ無いのでしょうが……何か色々と問題有りそうで……」
「水霧さん。確かに神格統合を無制限に伸ばすには大義としては万人の為の行為のみを求められますが、別に無制限な方から神格統合をして貰おうとして貰わなくても、ある程度上には行けますよ?」
「……それはそうですが代替案らしきものも出来なくは無くて、ですね」
「それを私に聞かせてください」
「解りました」
そして説明する。
「つまり、融合する数を確保したいけど、自分から生物として離れすぎた奴と融合するとそれに思考が引っ張られそうで、嫌だ、と。なら私はどうですか?アプラサスならそう言う点はクリア出来るはずですよ?」
「……説明を聞いていましたか?俺とアーバーンはそれに性行為の代償行為としての意義を持たせている訳ですが」
「それで私は構いませんよ?そもそもの話として、アーバーンさんは前提設定的に沢山の存在と既に存在融合をして居るはずですし、今更それで咎めるなら、その定義でそれを主張するのもどうかと思いますよ。で、どうしますか?私と存在融合をやりませんか?」
「……」
其処にアーバーンが来る。
「何を割り入ろうとしているのよ、貴女は」
「アーバーンさん。存在融合に価値を見出すなら貴女の力の基盤を見直して貰えばありがたいですね」
「それは結局の話として私だから良いのよ」
「ならされる方がアーバーンさんだったら良いのですか?ならアーバーンさん。貴女と私で存在融合しませんか?行為自体の主体を貴女がやれば文句は無いのでしょう?」
「……」
「強く成れる検案を蹴っても良いのですか?」
「……だからって、嫌な物は嫌、よ」
「そしたら先に進めませんよ?」
「……代案を見つければ良いのでしょう?」
「アーバーンさん。神格統合を蹴って、存在融合も蹴って、一つあれば十分な類の物を更に別に用意する気ですか?それが直ぐに出来ると思いますか?」
「それでも、嫌なのよ」
「これは既に代案ですよ?」
「……」
……助け舟を出さないと、だな。
「……なら、そうだな。存在融合を何かで実験してみよう。話はそれからだ」
「……貴方がそう言うならそれをしてからに持ち越しますけど、私は貴方と存在融合がしたいのですよ?それは解ってください」
「……」
そして実験をする事に成った。
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