第25話未定

 魔法とは種を明かせば只の手品に成る。何故なら種も仕掛けも有ると解るからだ。魔法としてそれを扱いたいなら種はバラさないようにする方が良い。そんなの概念としての隙間の神じゃ有るまいし、別現象を幽霊として扱うのが魔法で、其処で言う幽霊の前提現象を暴くのが科学だ。……と、勝手に思う。それなら確かに前提現象が明るみに出れば幽霊としては価値を失うだろう。その現象の幽霊としての価値こそが魔法なら、だが、この理屈が正しいとするなら種が明かされると価値が無い物を価値が有る物だと勝手に言う事こそが魔法に成る。なら特殊な認識を何らかの手段で与える事こそが魔法だ。……と成ると幻術こそが真の魔法と言う事に成るのだろうか?俺は別に幻術が真の魔法だとか主張する気は無いが、技術では駄目な理由が価値の根底が只の現象の組み合わせを幽霊として見させる必要が有る事に在るなら、そう言う事に成ってしまう。

「……雑に言えば只の通常現象の組み合わせを幽霊として扱う事こそが魔法、その幽霊の前提現象を暴くのが科学。……それなら根本的な意味では魔術師とは手品師だ。通常現象の組み合わせを幽霊とする事が力の根本なのだから、種が割れれば確かにそれまでだろう」

『……なあ、水霧、確かに裁量を任せるとは言ったが最低限の事はやれと言ったよな』

「主張自体は解らなくも無い物でしたが」

『主張はもし良かったとしても関係無い。スポンサーの意向を無視して契約解除したのが問題な訳なのだし』

「……このシステムは総意に力の行使が左右されますよね?」

『そりゃあ、皆から力を借りる形なのだからな』

「もしその力を受け取る側がそれだけに徹するならば、誰がやるとか関係無しに何らかのシステム創って、それにやらせれば良いだけですよね?」

『つまり何だ?総意と自分の意が違えば総意を棄却出来ても良いはずだとでも言うのか?』

「そうでなければ俺の立場はもう只の奴隷と変わりません。必要な力さえ有れば、後はもうシステムを創って、それに任せておけば済む類の物ですから」

『御託は良い。ただ単に奴はスポンサーの意向を無視して契約を解除した。それは責められるべきだ』

「……契約で得た力を持ち逃げしたならともかくですが、返却して居る様ですけど?彼や俺みたいな立場の奴の意思が考慮されないと言うならば最初から機械的なシステムに全部任せて居れば済んだはずの事ですよね?そしてそれを許容し無いなら、そもそも俺とか彼に力が渡る構図に成る前にヴィシュヌ様が対処すれば良かったのでは?そうすればこの問題は起きませんでしたよね?結局どういう意図ですか?」

『既に言ったはずだ』

「スポンサーの意向を無視して契約を解除したのは責められるべき、ですか?俺や彼は奴隷では有りません。……いや、力の放棄をするのは嫌ですけど、俺は今なら口出しされる筋合い無く契約を止められる立場です。自由にやりたいなら契約を解除し無ければ成らないなら此処で契約を解除したいのですが、宜しいですか?最初の契約の目的はすでに果たしましたので、今の段階なら契約云々で、文句を言われる筋合いは無いはずです」

『……創造主としての力を捨てるのか?』

「いずれは捨てないと自分の意思で自由には出来ませんし、切りの良い所で捨てないと面倒なことに成る事は今回の事で良く解りましたので、契約を解除したいですね」

『……此方は水霧を簡単に捻り潰せる訳だが?』

「これは別にヴィシュヌ様と敵対したい訳では有りません。契約の当初の目的は果たしたので契約を解除したいと言うだけです。当初にした契約面では問題無いはずですが?」

『……好きにしろ。契約面では確かに当初の物は達成して居る訳だしな』

「ありがとうございます」

 そして粗方の作業を終わらせ、そして俺は力を返却し、返却した力ではない力を代わりに得るための一計を行った。要は補助無しに補助された様な結果を出せれば良いヘカトンケイルの身体を再現するのを既に出来るのだから、それを補助の代替物として運用する事にした。そして元のスペックからすればエネルギーの消費が激しい事を除けば何とか再現に成功できた。長期戦を避ければ何とか補助を受けている間と似た挙動は出来そうで何よりだ。要は自分が補助有りでなら出来ていた事の補助を自前でやるようにしただけ。だからコストが補助を受けていたよりも掛かる。それだけの話だ。さらに掘り下げると、此処で言う補助とはバフの特盛の事では無く、パワードスーツを着ていた様な物だ。それでそのパワードスーツを自前で再現したのだ。何せそもそも自由に身体を増やせるのだし、完成例は先に見ていたのだから再現する事での不都合は、コストが補助有りより掛かるのと、……要は機構を身体に追加する事で問題を解決しているため、身体が現状では最初より大型化する事。……バトルでの巨大化は負けフラグとか言うが、要は解決方法が機構を大量に身体に付け足す事だからな……。まあ、スペックそのままでの小型化は今後の課題にしよう。……機構を身体に付け足す事での解決だと現状小型化している時に巨大化する間もなく暗殺されたらアレだしな。いや、所持能力上、今の身体を全損しても死なないけども。

『これだけは言って置くが、住み分け目的で多種多様な世界を創り運営するなら、創り主の思想は中立とか傍観者とかの類でなければならない。そうしなければ住み分け自体が成立し無く成る。該当の世界に行く奴は死刑なんてルールの上での住み分けをやるなんて、それで住み分けしたら死刑対象者に自分から名乗り出る事に成るからさ』

「自分で世界を好き勝手に創れて運用出来るのに、住み分けをさせたいなら自分の好き勝手にするのをしてはならない。……そんなの本末転倒だ」

『だが、それをしてはそのお題目は成立なんてしない』

「……「……勝手に振り分けちゃ駄目ですか?」

『仮に思想で住む世界を変えるとしよう。そして振り分けた後に世界を行き来出来ない様にしたら、心変わりした奴の救済は無いし、今の世代だけならともかく、その世界で産まれた子供側の思想でも住み分けをするなら家族の生き別れの強制だが』

「ですが、住み分けをした後にも行き来出来るなら誘拐されたなら大変な事に成ります」

『それは世界を渡るのが基本的に無理な方がそれをやられた際の個人側の対処はし難いが』

「一部の例外の為に防げる事を防が無いのですか?」

『思想で分けると子供はどうするのであろうか?世界を行き来出来ないなら振り分け後に心を入れ替えた奴はどうなる?……それに住み分けたとして犯罪者が犯罪者だけで住んでも純粋なターゲット側は誰も居ない。それで同業者同士で喰らい合うならばそれで良いが、獲物を求めてどうにかして世界を渡ろうとして来るのは目に見えている』

「……いや、それはその時対処すれば良いですし、犯罪者的な思想の奴を隔離出来るならそれで良いのでは?」

『思想での住み分けを出来ないと意味が無い、が、他人に対しての犯罪をしたい奴が犯罪をしたい奴だけの環境への移動を望むか?と言われると……』

「なら自由に犯罪を出来て、誰にも咎められない世界なら良いとか言わないですよね?」

『……いや、犯罪をする事でのスリルを味わいたいタイプや生きるための犯罪をやる奴以外はそれで良くないだろうか?』

「……いや、犯罪者の為に犯罪しても問題無い奴等しか居ない世界を創ると言うのは有りでは?それに従って居れば大抵の欲は際限なく満たされます」

『……要は意志の無いサンドバッグを創ってそれを対象に延々と犯罪を行わせる……か。他人に対する殺意とか、代替物では意味の無い事も有るのだよ。後、それだと犯罪者予備軍達を超好待遇にしないといけない訳だが、本気で言って居るのか?』

「一言で言えば欲望の捌け口を作ろう。です。欲望の捌け口すらないから犯罪は起きるのでしょうし」

『……生きるための物とかも有るだろうし、全部当てはまるとすると色々と語弊が有るが、性犯罪については当てはまるか……いや、だがな、自由に犯罪出来る環境を与える、か、お、それならば、こうしよう。ある程度の制限は創るにしても、犯罪を自由にしても良いエリアを創ろう。……いや、まあ其処に行くのは大半が男性に成るだろうけど。性犯罪もセーフに成るならそうならざるを得ないだろうし』

「つまり、世界内に意図的に無法地帯を創る、と?」

『其処への入場には厳しい条件付きで、だがな。そうしないと脅迫されてから入らされた上で犯罪をされる奴が出るだろうし』

「行くための条件次第では良さそうですね。条件が厳し過ぎて大抵の奴には行けないなら意味は無いですが」

『なら入るように脅迫されたとか催眠術とかの入る事を強制された事実関係が一切無く、自分の意思であると証明出来た奴だけ入れれば良いだけだな』

「まあ、それなら良いと思います。自己責任論が成立する範疇で有るならば、ですが」

『この案はやる事を強制しては成らない。強制すれば要は慰安婦的な奴が出るし』

「自由意思で其処に入ると言う前提を崩さない限りはそれを主張したら只の詭弁ですよ。自分が犯罪をする側のつもりで入ったらそのまま返り討ちに会っただけです。この話の場合は、他人への犯罪を許容する環境に入ると言う事は、他人からすれば自分への犯罪を許容する環境と言う事ですから」

『その場所では法に縛られない代わりに法に守られない。此処で言う無法地帯とはそう言う場所の事を指す』

「……無法地帯とは言え、最低限のルールは必要そうですけどね……」

『まあ、無法なのが即ち最高と言う訳では無いと言うだけだな。それに、万人にとっての天国と、少数の為の天国。個人が得られる利益のみを優先するなら何方が良いかとか考えると、他人が造るなら万人の為の天国の方が良い。少数の為の天国では天国の対象外の可能性が出るからだ。その理屈的に自分が天国を創れるなら少数の為の天国の方が良い。その天国に対して自分専用と言えるほどに自分の理想を入れられるからだ』

「それで自分が得られる利益を基準に考えると身も蓋も有りませんが、万人の意思が世界を創る上で関わるならば、万人の為の天国にせざるを得ないでしょうね。要は自分の利益を重視するか、全体としての利益を重視するか、なのですけど」

『幅広く支持を得られるのは当然万人の為の天国を創る方だ。支持する側もその方が自分にも利益が来やすいからな』

「……そりゃそうでしょう。選挙で当選を目指す人がその権利を私欲のためだけに振るいますなんて言って、幅広く支持が得られるのはその私欲でやる内容の全てが大勢の賛同出来る事をやる事のみで有る時くらいでしょうし、時と場合とやる内容次第では国単位でならそれをやれる場合も有るかもしれません。ですが、他人への取り分も無く私腹を肥やす事のみに全振りの事を大義名分にして幅広い支持を得るのは簡単では無いと思いますし、何らかの形での不正無しでは無理が有りますよ」

『洗脳教育を全国民が受けている、とかのパターンを持ち出せば理論上は不可能でも無い。まあ要するに国民を意図的に馬鹿に成る様に教育して、そもそも反対意見を出させないようにすると言う類の暴論だが』

「……いや、流石にそれは……机上の空論で有ってくれと言いたくなる内容ですね」

『特殊な力無しにやるには世代が入れ替わるレベルの期間の準備が必要だし、超長期独裁政権が成立して居るのが前提だからな。……まあ、何でもかんでも自由に創れる類いの奴なら、自国民を意図的に馬鹿なのが仕様に成る様に造れば良いだけなのだが』

「ははは、本当アレですね、何でもかんでも自由に創れる創造主と言う奴は」

『まあ、仕様として基本的に馬鹿に創るとセットで軍師とか指導者とかの才能有る奴が居ないと幾ら創ろうが烏合の衆に成るし、自国民から有能な軍師や指導者とかの奴が出る事を期待出来なく成る。だからそれを創る側がその才能持ちが居ないと脳筋戦法で勝てない侵略者が来たら容易く制圧されるだろうな』

「……いや、それ、そう出来なくも無いでしょうが、世界として脆弱に成るから、他の世界から侵略者が来る前提で考えたらそれを守りたければ創る側の負担が凄い事に成るじゃ無いですか……」

『意図的に国民を馬鹿に造るのだからそうなるのもしょうがないで有ろう』

「うわぁ……」

 さて、自分はMP不足が根底問題に成る。それはそうだ。数万人のサポートを前提に使える力を機構だけを真似た状態で使う訳だから、根柢のMP量はスペックには不相応な程に、低い。それは事実だ。だけど行動にMPをどれだけ使うかの点はまだ言及はそんなにしていないはず。……と言うより、現状水を操る事は只の自分の体を動かすと言うだけの事でしか無い。だから、通常戦闘で扱う大抵の基本的な行動は自然回復が普通に間に合うレベルの消費量でしかない。……いや、まあ、放電とかの派生技はその限りでも無いけども、基本的には使わないで済まして勝てるようにしては居る。だから、基本の奴だけでは勝てない奴に対する運用がメインの物だ。俺には一応放電以外にもまだ有るよ、出してない手札は。まあ、誰かにそれの事前予想をされても驚かないレベルで色々と既に出しているけど。

でもまあ、水を操るなら、水で無くしてしまえば良いと思うのはまあ、良くあるだろうけど、蒸発しても水蒸気に成っても制御は出来るし、何なら水を構成する物なら全て操れる。いや、そうでないなら水を操る上で水の部品は操れない大味な制御しか出来ない事に成るし、更に言えば何かを此方の水に混ぜるだけで此方の水の制御力が無く成る。仮にもし真水のみが制御範囲なら例えば敵に出血を伴う結果に成る攻撃をするだけでアウトだろうし。岩とかの物を水の制御で受け流すとかやって居るし、それでアウトならそれもそもそも成立し無いだろう。とまあ振り返りはともかく、一言で言えば水がどの様な状態で有ろうとも問題無く操れると言う事が解れば良い。……いや、まあ、原理的に消えない炎とかじゃ無いなら、蒸発した水蒸気を(水の部品を組み上げる制御をする事で)水に戻すとかやれるからそれを繰り返せば高速消火とかもやれると言えばやれる……だがそれでドヤ顔しようにも、既にウェスタさんに消えない炎が存在するって出されているからな……。まあ、基本的な原理上は、俺は体術をして居るだけだから多くを求めすぎてもアレなのだが、原理を問わない消えない炎攻略も考えて置かないとか。水中でも消えない炎と言う奴は能力無しでも存在するが、それは置いておいて、先ず、エネルギーか何かを元として燃える様な現象を起こして、原料を常時追加するから消えない炎。これは水を掛ける事では消せない物が有る。いや、正確には通常の燃える原理とは違う燃え方のパターンなので、根本的にその炎自体は水を掛ける事が消し方では無いだけなのだが、そう言うパターンの多くはその炎の前提のエネルギーをどうにかすれば消える場合が多い。何故なら専用の別法則を用意してぶつけてきて居る訳なので、それを成立させるための物が有るはずであり、それを如何にかしてしまえば良いだけの話だ。一言で言えば対処としては消えない炎を成立させる為の理屈を崩せ、と言う、わざわざこんな事考える必要有ったか?レベルにシンプルな理屈に成る訳だが。それはまあ良いや。それはともかく、神格統合による補助をパワードスーツ扱いして、身体の機構に自前で真似て組み込んだ。……いや、よく考えたらこれが有りなら俺へのバフ特盛の状態を自前で真似ればバフ無しでバフ特盛状態に成れる。かもしれない……有効そうだが……いや、止めて置こう。MP量ブースト関連効果以外の奴は現状のMP量不足問題が悪化するだけだろうし、MP量問題が解決しない限りは上手くそれが出来ても超短期決戦型運用にしか成らないだろう。MP量不足の要因を更に増やす訳だから常時運用するにはアレだけども、其処迄ステータスブーストし無いと勝てない奴が居るなら習得だけはして置くか。どうせメタ視点的にはただ強いからとか特にまともな理屈無しにそれにも普通に対処出来るし。とかされるのは手に取る様に見えるが無いよりはマシだろう。数万人の補助を受けて創造主と名乗れる力の機構を再現して居るだけ、つまり、一人の力でしかないから勝てるだろうとかなんとか。MP量不足以外の物は大抵再現する事を出来ている訳だから、幾ら俺ツエー的な主張をされようが創造主クラスの奴未満の奴に対して全力運用時に負けるつもりは無いが。……とか言うと対抗出来る奴の数の暴力でMP量切れまで何とかするとか来るのだろうな。厳正な基準が無いなら幾らでも不正し放題で勝たせたい側が勝ちで問題無いし。まあ、アレだ。創造主クラスを敵に回して特定世界独自のシステムが敵対するそいつの世界でも通用すると思うな。とは言って置こう。原理的に無意味に出来る様に構成出来る奴が創造主クラスと言う奴だから、何なら似た真似が出来ない奴は無価値に成る様に再構築されて終わるだけだろう。まあ、メタ創作的にはそれをどうにか出来る力は有るがどうせないとして扱われて勝ったと言う事にされるだろうね。又は自分には創造主クラス以上の力が有りますとか盛って来るかな?理屈無しのそれをやるともし見た目が似ていても最早別人だから、殺せたことにしたいだけの形に成ると思うし、何ならどんな設定を出そうが原理的にそれ以上が存在しえない奴でも無いと俺の方が上の奴だしとか言われそう。原理上格上が存在出来ない奴を出してもそんなの関係無いしとか、それでも此方が強いしとか言いだすと最早アレな訳だが。

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