第14話未定

「さて、なら此処は大物を宛がおう。メーガナーダ。能力は認識権の掌握」

「認識権の掌握、ですか?それだといわゆる只の光学迷彩とかカメレオンとか的な物でも似たのが出来ますが?」

「……もちろんそれだけでは無いが、その程度の能力でインドラに勝利して居る奴だ」

「……詳しく聞きましょうか」

「先ず、魔術による高度な姿隠蔽、次にナーガから造られた道具での相手の拘束。矢の雨を降らせる。……隠蔽を自分以外にもかければ不可視のそれらが散々襲い掛かってくる。それに戦いの前には儀式で自分の力を底上げさえする」

「不可視は要するに空間上の水を常に全部此方が知覚して居ればそれに相手が触れれば解るとして、……自分と攻撃の不可視化と言うアドバンテージと、事前準備としての儀式による力の底上げ、ですか。……とてもシンプルですね」

「儀式については急襲すればやられなくて済むが、……不可視はもう攻略法は挙げられているな。想像力が高くて羨ましくも有る。……自分の想像力を超えた物を創らせるために、自分の想像力を上回る奴を創る奴を創るなんてしたら、寝首を掻かれる可能性が出るからな……っておい……メーガナーダ攻略は後回しにしてくれ。クンバカルナを起こそうとする馬鹿が出たみたいだ」

「クンバカルナ、ですか?」

「そいつ単体だけで食物連鎖が破綻するほどの食欲持ちの巨人……と言ったらやばさは解るか?」

「うわぁ……何でもかんでも喰らいそう過ぎる。ではそちらに行きましょう」

 そして転移で該当の場所に移動する。そこそこなサイズの山らしき物が有る場所で轟音が響き渡って居る。件の奴を起こす為の物なのだろうが……それの対象者らしき物が、山しか無い。……また山レベルのサイズの奴か。まあ、今回はまだ寝ているから周りの奴を処理すれば良いだけなのだが、あまりの轟音に会話をテレパスに切り替え、音をシャットアウトする事にする。そしてある程度の奴を拘束した所でクンバカルナが起きてしまった。辺りには何十もの雷鳴が響き渡る様なレベルの轟音が響き渡る。……おいおい。寝起きの欠伸みたいなレベルの物でそんな轟音を出しているのじゃ無いよ。……その途端、そいつを起こそうとした奴等は転移で即座に撤退した。……奴の食欲に巻き込まれないようにするためだろう。そいつは辺りの木々や岩をおもむろに食べ始めた。……いくら何でも選り好みしなさすぎだろ。そして更に暴風が吹き始めた。只の呼吸でそれかよ?あくまでまだ相手は此方に気付いては居ないが、今回は最低限これをまた眠らせろと言う事なのだろう。

『こんなのをどうにかしろ、と?』

『出来なければ此方がする』

『……解りましたよ。やりますよ、ええ、クソが』

拘束の為に辺りの空間上の水を操り、枷にしようとした所で只の鼻息でそれが蹴散らされ、追加で炎が撒き散らかされる。……山ほどの巨体、暴食、轟音、暴風、火炎吐息……散々此方をメタってらっしゃる。まあ、それは良い。……物質的な攻撃をぶつけても普通に食われそう迄有るが、炎は耐性有るだろうし、雷でもやるか。……まあ、あんまり熟練度は無いのだが贅沢は言ってはいられない。俺は暴風を無理矢理押し切りある程度の水を巨人へと当てた所でその水から大量に放電をする。……まあ、これは只の放電でしか無いけれど。俺にも雷を操る事はやれなくはない。……まあ、相手が大き過ぎるのと能力の仕組み上で単純に火力が足りないのだけど、ある程度の傷は負わせられた。

『そう言えば君はそう言う使い方も出来るのだったね。基本的には使わない様だからか火力が足りない様だが』

 攻撃を続けつつ話す。

『……これは単純に相手がデカすぎるだけですよ』

『水の力だけでは厳しいかね?』

『……水の散弾は暴風で無意味だし、暴風で飛ばされない様にしながら相手に到達させても衝撃は其処に行くまでで大分緩和されているし、到達さえさせれば追加の一撃撃てるこれの出番と言う奴ですよ』

『そうしなくても相手の体内の水を操り体内から水を噴出させれば良いだろう?』

『それはそうですが、それは多分やりたくてもやれないのですよ……』

『まあ、それは相手の制御力を上回るのが前提だからな。とは言え、ある程度の火傷を負わせた程度だが、どうする?』

『それを回数やる迄です』

『……手傷をある程度負わせられるので、後はそれの繰り返し……相手に回復手段が有れば直ぐに破綻するだろ、それは』

『だから、いつも通り水を操った所で、暴風なりなんなりでだいぶ威力が減衰されちゃっているから追加の手札出したのですよ。相手が大きすぎて火力が足りないですけど』

『そうかい』

「……あ、そう言えばこれが出来ましたね」

俺はそれで相手が食べまくる物の中に有った水分を操り体内から攻撃する。体内からの攻撃というのは外皮が固い奴に対する攻撃としての定番の手法の一つ。……なのだが。そもそも何でもかんでもお構いなく食う様なスタイルを簡単にやり続ける様な奴の体内の硬度が低い訳が無かった。だが、まあ体内なら対処方法をされにくくは有るので、内側から放電して焼いた。焼きまくった。食欲を抑えられない限り攻撃は安定してやれるけど、そもそも前提的に食欲を抑えるのが出来るなら、そもそも寝る原因に成った呪いを受けて無いんだよなぁ。…お?ああ、奴が移動していく。そして湖の水を大量に飲んだな。まあ、体内が燃えていて、それを消火しようとしたらそうなるのも分かる、が、逆にそれら全てを放電端末に利用して、クンバカルナの体内の大部分を焼き切り倒した。

「見事だ。水霧浄土」

「……俺の制御力が足りてれば見せなくて良い手札を晒す事に成ったので、これは勝てても反省検案ですけどね」

『技量重視タイプの育成と言うのは例えレベルリセットをされようが戦えると言う意味で悪くないが、ステータスが足りない前提で戦術を立て過ぎでは無いかね?』

『……希望的予測を前提に作戦立てたくないだけですよ。まあレベルが上がると難無く技量獲得的な人には技量も失われるだろう的な意味でレベルリセットは致命的ですけど、システムと元の世界は別物ですし、二つが並列して存在して居ます。もしも仮に俺がシステム的なリセットをされようが自力で得た技量についてはシステム外なので据え置きでしょうし、俺のレベルがかなり下がろうが俺がそれで困るとするならば出力的な事だけでしょう』

『つまり、レベルを大幅に下げられようが出力勝負的な物で勝たないようにして居れば大して問題は無い、と?』

『レベルを得る事で上がる物が俺は基本的には能力の出力だけですので、出力勝負で無いと勝てない展開に成らない様にすれば大抵何とかなります』

『神格の前提の奴は?』

『……基本的に常時此方はそれですし、出力勝負じゃないと勝てないなんてしてないので、神格の有る、無いとかは関係無いと思いますが?……いや、神格持ちじゃ無いとダメージが通らない上で相手の神格を崩して来るのをして来るタイプの奴は別として、ですが』

『フェンリルはそれをして来るが』

『……神格喰らいとかガチでして来るのですか?』

『そもそもオーディンを丸吞みして殺した神話持ちだから、オーディンレプリカでさえ勝てない程度の神格ならまともに喰われたら死ぬぞ』

『……いや、さもそれが出来ないと不味いぞとか言っているように見えますが、北欧神話の主神レベルでも喰われたら死ぬレベルなのですから、フェンリルより小さいサイズの大抵の神はヤバイのでは?そしてその対象の神からしても食われる前提で話を進められても……ですよ』

『最悪の場合のルートを事前に考えて置いて、それに対応出来るようにする。と言う意味では相手の手札は基本的には通る前提で考えるべきだが』

『……真に最悪なパターン考えたら相手の攻撃は全部通り、何らかの理由で此方の全ての攻撃が通じないパターンも考えないと成りませんからアレですが』

『無敵化能力、なんて理屈抜きで思考停止の回答の中では定番の部類だろう?』

『……相手が取り得る最善をされても勝てる道筋を考えるならともかく、それを考えるなら相手に自分の完全メタをされようが何だろうが勝てる道筋を考える方が早いですが』

『……いや、それが完全に考えられるなら苦労し無いだろうが。吸血鬼の弱点を敢えて大量に開示して、致命的でも何でもない弱点を前に押し出して本当に致命的な弱点をそれの中に隠すとかやる奴じゃ無いのだから』

『心臓に銀の釘を突き立てるなんてされたら大抵の生物は死ぬ的な物は確かに有りますからね』

「……って、おいアーバーン。避けろ」

 そしてビィシュヌは何もない場所から何かを掴むと。汚らわしい物を見る目でそれを見る。

「……使用済みの中身入りのコンドーム、か。体を隠蔽して……って、やりたくても出来なそうだから隠蔽した状態で、精液を叩き付けようと……不潔な」

「……前提条件上、それで意味が有ると私が解釈しているはず無いのに」

「……ま、前提条件上そうなるよな」

 水の化身全ての水が体……まあ、例えばそう言う行為の後にシャワー浴びて体を洗うとかをされてもそう言うのをぶつけられる訳だから、今更それに意味を持たせよう物ならそう言う行為をアーバーンがさせられた相手は誇張無しで数十億を超える事に成る。ビッチ系の思考の神でも無いと精神衛生上的にもそんなのに価値なんて認められる訳が無いのだ。


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