第2話未定

 私はケールハイト・スプリングス。水霧が別枠のシステム所持者、ね。正直な話、驚く話でも無いのよね。エウミア連合国が前身の小団体の時に会った際に、システムをある程度調べたと言って居たもの。システムを調べました。でも何も出来ませんでした。……と言う事でも無ければ、そりゃあ具体的な内容はともかくとして、何かを隠していたのは妥当としか言えない所なのよね。でも此処はどう動くべき所かしら?自称上位存在が望む展開が前提に先ず有って、それを大幅に外れる事をしでかしたから、秘匿情報の強制開示をした。意外なのは物理的な排除手段を選ばなかった事。自称とは言え上位存在と名乗るならそれくらい出来るはず。……いや、と言うより、既に一度そう言う事をやって居るのを見た事が有る。前回はやれて今回はやらない理由?能力に回数制限が有る?いやいや、アレは要するに世界と言うシステムを根本から弄っただけ。ゲームで例えるならアレは只のバランス調整をゲームの開発者が行っただけ。自称上位存在が物理的な排除を行わない=自称上位存在がやりたいシナリオから外れるのを嫌う=自称上位存在がシナリオ上水霧浄土を殺すと達成出来ない何かが有る?=水霧浄土に自称上位存在は何かやらせたい事が有る?……有り得そうで頭痛いわね。自称上位存在を言いくるめたと言うより、まだ自称上位存在の掌の上のままと言う事なのかもしれないのだし。でも別枠のシステム、か。システムの仕様外の仕様を持ち込めると言う意味でゲームの作成者側からすれば、要はチートツールシステムな訳だけど、それが有るとだけ言及するだけして、剝奪しない……いや、これはあくまで多分と言う前置きを置いた上でだけど、やらせたい事って思いっきりそれ関連じゃ無い。別枠のシステムと言う物が必要に成る展開に自称上位存在がいずれしようとしているなら今回の事は説明が付くわね。別枠のシステムと言う奴がどの様な内容の物かにも依るけど。……さて、事情を把握していた人達はともかく、今回の事の外様の人達はどう思うかしら?水霧浄土を排斥すべし。と成るかしら?まあ、様子見をする限り、前提条件上の自称上位存在の思惑通りの行動を取りたく無い的な意味での様子見の奴が多い様ね。まあ、今回の事だけを取り上げても暴虐の限りと尽くした奴を簡単に下した訳だし。いや、事実としてならそれは只のシステム干渉で、システムを弄りそう出来る様に仕向けただけとは言え、それを知らない奴からすれば、まあ無計画で戦って良い相手では無いでしょう。それに敵の告発をそのまま受け取る奴が大勢多数なんて状況に成るほど馬鹿しか居ない訳じゃ無いのよ。それは要するに何か事情を持つと言うだけの味方より悪意を持つ敵を信じる事なのだから。それについでに言えば、水霧がそのシステムを使って悪さしているならそれに自称上位存在が言及し無い訳も無いのだし。持つだけで何も碌にやってないと言う奴でしょうね。それは逆に言えば、能力を悪用して色々とやって居れば、今回の事で自称上位存在に盛大にそれらをバラされていたと言う事でも有るわ。彼方も引き上げた様だし、詳しくは後で聞くとして、まあ今は潰れたイベントの後始末をしましょうか。ゲームのテキストを書き換えれば全て元通りとは行かないけれど、元の状態に戻すために必要な能力なら有るのだから。



 元の状態に戻すために必要な人材を現地に転移や転送の能力で向かわせる。……いや、本当なら水霧とかシュライク・バースディでも対処出来るけど、今、彼らは対処をするべきでは無いわよね。無駄な疑惑を増やしてもアレだし。そして二人共が此方に連絡を取って来て、此方に転移して来た。

「じゃあ説明して貰おうか?水霧浄土」

「……テレパスでな。『さて、前提から話すと、エウミア連合国が出来るより更に前に俺は元居た国の軍にスカウトされて、軍としてある事件の対処に当たって居た。そしてその事件のボスの居る所に攻め込もうとした所で、其処に居合わせた奴らと共に別空間に跳ばされた。そしたら其処に居たのは自称システム作成者、名をロプトと名乗り、今から攻め込む予定だった相手の能力のネタバレをかまされて、それが真偽判定能力的に不味い事に成る様に調整された内容だった」』

『つまり、これから戦う相手の能力のネタバレを受けただけと言う事?それのどこが悪いのかしら?』

『……いや、それは十分に不味い事だった。いわゆる情報提供者として、情報提供をロプトから受けてしまった事に成る。しかも倒そうとして居る敵のボスのネタバレって言う、戦うつもりだったそいつと戦わない様にしない限り役立つ類の情報を押し付けられた。だが、それで開示された能力が初見殺しのクソゲーの類の能力だった為、その情報を知らずに戦うと、多分初見殺しにやられるのは目に見えていた。だから俺とアーバーンだけがそいつの場所に行きそいつの首を刎ねた。その際にロプトに抗議したら報酬として渡されたのが今回の奴が言った問題の貰った奴だ。まあそれでゴリ押し勝利する上で他は居ない方が良かったのも有るが』

『何故貰おうと思った?それは断ることは出来ただろ?』

『別枠のシステムを創るに足る前提に成り得る重要部品、なんてロプトがシステムを好き勝手弄り始めるとかの他人の都合に左右されずにシステムの恩恵を受けられる前提の物に成ると思ったからだ。それの価値は測り知れないレベルで重要だと思ったからだ』

『水霧。多分それを使う機会は大して遠くない未来にやって来るわ。だってそれがそう言うレベルの物に既に成って居るなら私ならそれを没収するもの。そうしないと自分が世界で好き勝手出来ないし。それくらい自称上位存在も解って居るはず』

『自称上位存在と自称システム作成者が同一人物なら、そうだな。別人の場合、その片方がもう片方に喧嘩を売る形に成るから出来なかったパターンも有り得るが』

『……何方のパターンでも、それで此方にやらせたい事が有るのは変わり無さそうだな』

『しかし捏造をぶつけて来ないのは悪意としては足りない気もするが』

『要はAと言う事をBと言う事情でやりました。を、Aの部分だけ提示して他にCと言う理由でそれをやったのでは無いか?と思わせる手法だよ。アレは情報を意図的に全部開示し無い事で、本来とは違う方向に相手の解釈を誘導して居る。しかも提示されて居る事自体は事実だからその内容自体は嘘だと言う事もアレだからな。ただし今回の場合、相手と事前に繋がって居たと言う疑惑を与えたいのに、それがスパイ的な物だとしたら、相手側がそれを自分から開示するのは本当にてめえのスパイ疑惑が正しいなら相手側にはデメリットの方が大きい形に成る。つまり、逆にてめえのスパイ容疑は外れる訳だ』

『……意図的な認識のミスリードを狙うための情報開示と言う事ね……』

『情報の足し算による捏造では無く、情報の引き算による解釈上の捏造……か。事情をちゃんと把握してないと意味が分からん行動の類のにしか使え無さそうでは有るが』

『まあそれは良い。ロプトに会ったのは水霧とアーバーンだけでは無いよな?そいつらは誰だ?そちらからも話を聞きたいからな』

『まあそれは確かに。ならそいつらに会いに俺の昔所属していた軍にでも行こう』

『解った。なら行くとしようか』

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