ケンジサイド1
(それにしてもタケシのやつ、ヒーローの話になると止まらないな。こっちまで飲み過ぎてしまった。)
久しぶりに友人であるタケシと飲んだ帰り道、ケンジはバス停でスマホを取り出した。
「すみません、このバスは夕陽三丁目まで行きますか?」
すらりとしたスタイルの若いお姉さんが突然訪ねてきた。
「ええ。ちょうど僕もそこへ行くところです」
「ありがとうございます」
少し期待してしまったが、やりとりはここで終わった。
ケンジとお姉さんと、後から来た年配のサラリーマンがバスを待つ。
ブロロロロロ…プシューーーーーー
バスがやってきて扉が開いた。
ピピッ
ICカードで支払いを済ませると、運転手が声を上げた。
「ん、勝手に鳴ったぞ??故障か?」
(いや、今のは俺がカードかざしてたでしょ。何言ってるんだ)
振り返ると、先程のお姉さんの姿はなく、その後ろにいたサラリーマンが驚いている。
「勝手に鳴りましたね。幽霊とかだったら怖いなあ。あははは」
「失礼な!乗ってますよ!」
そう言いながらも、お姉さんの姿を探そうとした瞬間、サラリーマンが構わずバスへ乗ってきた。
「え?待って、待ってくださいちょっと、、」
全く止まらない。そして、ぶつかりそうになる瞬間、
フッ…
ケンジは目の前が真っ暗になった。
右手に握り締めたスマホは、強く光っていた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます