第266話 4 イーグルアイを鎮静化させよう
2階建ての建物、ここが慈善団体イーグルアイ本部である
直ぐ隣には事務所らしき1階建ての建物が設置されており、本部と連絡通路で繋がっている
ティアマトはウキウキしながら中に入ろうと歩いていくので、俺は溜息を漏らす
普通に入って大丈夫なのだろうか
《変に刺激すると馬鹿にされてると思われる可能性があるからな?》
アカツキ
『わかってる』
中に入るとロビー内には丸テーブルではなく、長テーブルが点々と設置されていた
もちろん慈善団体イーグルアイの冒険者は長テーブルに集まり、椅子に座って仲間と会話をしていたよ
数はグリンピアより少ないが、時間も時間だし今は少ないのかもしれない
総勢24名、皆は入ってきた俺達を見ると首を傾げていたのだ
『なんだ?普通の冒険者だぞ?』
『おい誰か悪さしたか?』
『いやいないだろ。変な事したらお布施の金額が増えるぞ』
なんだかうちの街にいる奴らとは全然違うな、人相が悪いって人はあまりいない
俺は腰を低くしながらティアマトの後を追うが、彼は受付に向かったのだ
何故なのかは聞いても笑みを浮かべるだけ。変な事を企んでいるとすれば怖い
受付嬢
『冒険者ギルドの冒険者…ですよね?』
ティアマト
『俺達は遠征してきただけだ。余所者だから入ってくるだけで失礼だったならば悪いが聞きたいことがある』
受付嬢
『どういたしましたか?』
ティアマト
『ここじゃギルドの冒険者になるためにお布施が必要なのかい?』
受付嬢
『規則では問題なく1年間活動を行った後に2段階目として隣接している事務所に指定した金額を治める必要があるのです。揉め事があればどちらが悪くても関係なしに2段階目の金額が増えますが…どの程度増えるかは私もわかりかねません、調査後に役員が決めるので』
ティアマト
『役員って誰だ?』
受付嬢
『こちらもわからないのです、イーグルアイ責任者であるジョブス・アルト・ラ・タタラ男爵様が非公開にしているので』
《おいおい下につく人間が把握できねぇってちっと面白いぜ?叩けば埃が出そうだ》
叩かなくても既に埃が見えてるよ…これ
ここの本部責任者は受付奥に見える小さな事務所の中でウトウトしながら書類を眺めているメガネをかけた老人
彼に聞いてもわからないだろうと受付嬢が苦笑いを浮かべ、答えた
アカツキ
『では一体誰が…』
受付嬢
『隣の建物の人ならばわかると思いますが、彼らはジョブス様が雇った税理士や職員なのですが話してはくれませんよ?というかあれです』
ティアマト
『?』
アカツキ
『?』
受付嬢
『今見たいな質問を聞こうとすると不味いのでお勧めしません。以前いたここの責任者がイーグルアイのやり方に不満を持って話をしに言ったのですが…、懲戒処分にあって去っていきました』
アカツキ
『マジか』
受付嬢
『しかも隣の建物には貴族騎士がいるので何かあれば剣を抜かれますよ?貴方達だと逆に警戒されるかと』
ティアマト
『行かねぇ方が良いな』
そういう事だな
ここもイーグルアイ冒険者の稼ぎの半分を利益として得ている
それはどこも同じだと思う、と受付嬢は話す
俺達はその場にいても周りの冒険者の迷惑だと感じ、逃げるようにしてその場を出ていった
建物を眺めながら唸り声を上げるティアマト、しかし今何かを考えてもきっと何も閃く事は無い
アカツキ
『稼ぎの半分をイーグルアイギルドの納め、尚且つ…』
ティアマト
『横の事務所様にお布施かい』
入口のドアの前、2人の騎士が見張りをしているが
あれはどう見ても貴族騎士だ
まるで汚いものを見るような目で俺達を見ているが、まだ何もしていない
貴族騎士
『帰れ冒険者』
何故か怒られた
ティアマトは『別にここにいても問題ねぇだろ?』と告げるが、駄目らしい
貴族騎士
『我らのいう事を聞かぬという事はジョブス様に逆らったという事になるがいいのか?』
ティアマト
『はいはいわかりやした』
去るしかない
俺達を背を向けてその場を歩き出すと『雑魚が』と貴族騎士に履き捨てられた
ティアマトの額に青筋、我慢しろと小声で言うと彼は『他人の半袖で相撲取りやがって』と苛立ちながら歩く
《他人のふんどしで相撲とる、だ…》
アカツキ
『意味何だっけ?』
《虎の威を借りる狐って言葉に似た感じだな。自分の力じゃなく他人の力を使う野郎の事さ》
アカツキ
『案外テラってあつむが良いよな』
《おつむとか古いぞ兄弟…聡明だとか明晰だとか使えや》
アカツキ
『わからない』
《ティアお嬢ちゃんに聞け》
こうして俺達は貴族騎士達の姿が見えない場所まで行くと、見覚えのある者が俺達の横を通り過ぎた
アレはトリヴン・トロイというトルーパーの兄貴であり、タタラ冒険者ギルドのギルドマスターだ
1度見たことがあるから覚えているけど、機嫌が悪い面持ちをしていた
俺とティアマトは振り向き、彼の背中を眺める
なんだかペチャクチャと独り言を言っていたけど聞こえなかった
ティアマト
『面白そうだな』
こいつは聞こえていたらしいが耳が良いな
アカツキ
『なぁティアマト、何を話していたんだ』
ティアマト
『予定変更だぜ?イーグルアイ本部の張り込みだ』
アカツキ
『は?』
ティアマト
『いいもん見れそうだぜ』
アカツキ
『勝手な事をすれば怒られるぞ?』
ティアマト
『ならばプラスにすりゃいい』
《オイオイ》
ティアマトは俺の首根っこを掴んで持ち上げると、そのまま来た道を戻っちゃったよ
向かう先はイーグルアイ本部、しかも彼の狙いは隣の事務所
嫌な予感しか無いが、俺とテラは止めたぞ?
時刻は24時、物陰に隠れて俺達は張り込みしているが先ほどの貴族騎士2人が睨みを利かせて目だけで辺りを見回している
見た目は強そうだが…強いのかな?いや強いのだろう
腰には立派な剣だが…うーん…
《ありゃリゲルも笑いながらツッコみそうな剣だな、装飾が多くて戦闘用じゃねぇだろ…》
アカツキ
『だよな』
ティアマト
『武力ではなく権力を表に出すため…か。もう一つ剣を腰につけてりゃわかるがな』
アカツキ
『よりによって観賞用みたいな剣とはな』
あれじゃ十分に剣を振る事は出来ないだろう
しかし、もしかしたら剣術が得意というわけじゃないかもしれない
見せているだけ、本当は魔法が大得意とかありそうだ
油断は駄目だからそういう事にしておこう
《1人、出てくるぞ》
テラはこんな時、便利だ
俺達は出来るだけバレないように様子を伺っていると、出てきたのはトリヴン・トロイだったのだ
なんであいつがここにいるのかわけがわからないが、ティアマトは耳を澄ませる
貴族騎士と奴が何か話していたからだ、その会話は数秒で終わったのだが
その場を立ち去る前に貴族騎士2名に懐から金貨2枚を渡している
きな臭いぞ!?どういう意味の金だ?
ティアマト
『面白れぇ事になるぜ』
アカツキ
『へ?』
ティアマト
『次だ』
トロイが歩いていくと、ティアマトはまた俺の首根っこを掴んで連れていく
尾行とか俺達に一番似合わない行為なんだけど、周りから見れば怪しいぞ?
夜の街を歩く者は殆どおらず、いるとすれば警備兵だけだ
トロイ
『お疲れさん』
警備兵
『お疲れ様です』
気さくに声をかけてすれ違うトロイ
しかし俺達は尾行中であり、その姿を見て警備兵が首を傾げる
普通ならばここで止められて職務質問と身分を探られ、何をしていたのかというちょっとした尋問が始まるのだが
ここでも俺の顔は利いている
警備兵A
『グリンピアのゲンコツ長さんの息子さんだよな?』
警備兵B
『あぁ確かに』
アカツキ
『知っていて助かります。怪しくないので…』
警備兵A
『怪しすぎるから飽きたら普通に歩きなさい』
アカツキ
『すいません』
《役に立つんだな…兄弟》
その言い方は酷くない!?
こうしてトロイは表通りから逸れて裏通りへと向かう
明かりがあまりない道なので俺達の下手くそな尾行でもなんとかバレてないと思うけど…
トロイは突き当りを曲がると何かを話し始めたのだ
俺達は壁から顔を少し出して何をしているか見てみると、なんとそこにはトルーパーがいたのだ
リゲルに顔面を殴られていたから右頬にガーゼをつけているようだな
トルーパー
『くそ!ヤバいぜ兄貴、金は頂くがよ…良い稼ぎが無くなりそうだぜ』
トロイ
『リゲルとクワイエットか…あやつらがジャブス男爵にどうこうできるわけがない』
トルーパー
『だよな、飽くまであいつもギルド職員だし貴族にツンツンできねぇか』
トロイ
『そういう事だ。まだ俺達の事はバレてない…ジョブス男爵が言わない限りな』
トルーパー
『なら俺はいつも通り、定期的に揉め事を起こせばいいんだな?』
トロイ
『頼むぞ?冒険者相手は控えるべきだが仮の冒険者相手にちょっとした揉め事さえすれば奴らの冒険者までの道のりも遠のく、その分お布施の金額も増えてこちらにも金がジョブス殿から頂ける』
そう言いながら彼はトルーパーに金が入っているであろう小さな布袋を渡した
凄い現場を!俺は目撃した!
イーグルアイ冒険者の更生の邪魔をしていたのだ
そうすれば長く機関に居座ることになり、お布施の額も増える
となると貴族も彼らも潤うということか
きっと隣接している事務所の連中もこのことは知っている
だからトロイが中に入れたのだろう
俺達は良い事を聞けたと思いながらもその場を去ろうと下がり始める
これ以上いても危険だからだ
でもその考えは時すでに遅しである
『ブェクショーイ!』
ティアマトよ、なんでクシャミした?
トロイ
『誰だ!?』
トルーパー
『誰だぁ!』
アカツキ
『走れ馬鹿』
ティアマト
『ヘヘッ』
《馬鹿たれ共が…》
足だけは自信がある
俺とティアマトはその場から全力で逃げる
やはり彼らは俺達のスピードについてこれず、どんどん引き離される
だが後ろを振り向くと、トロイは懐から取り出して笛を吹いたのだ
か細い音が聞こえたが。何が起こるのかと逃げ続けていたら貴族騎士が5人も前方から現れたのだ
まさか呼ぶための笛とはなんとも用意周到な奴だ
トロイ
『そいつらを捕まえて監禁しろ』
トルーパー
『あっ!こいつら!?』
バレた
貴族騎士は装飾だらけの剣を抜き、俺達に襲い掛かるが遅い
そんな武器では攻撃できないぞ?
素早く懐に潜り込み、股下スライディングで突破
ティアマトは貴族騎士の攻撃を避け、1人の腕を掴むと振り回して近くの貴族騎士にぶつけてから走りだしたのだ
なんとかなるだろうなとホッとしたいが、そうなりそうもない
前から更に8人だ…多いぞ
《頑張れ兄弟》
アカツキ
『くそ…』
囲まれたな
前後に貴族騎士が10人ずつ、増えたよ
貴族騎士A
『こやつら強いぞ』
貴族騎士B
『ならば全員でかかれ、逃げられたらこちらまでどうなるかわからん』
自分達もグルですと言っているようなセリフだ
言わなきゃいいのにと思いながらもジリジリと距離を詰めてくる貴族騎士達に俺達は焦りを覚えた
捕まったら監禁らしいが、どこに監禁されるのだろうな
それだけは絶対に嫌だ、二度と日の目を見れない気がする
ティアマト
『全員やっちまうか?』
アカツキ
『この数だぞ?挟み撃ちされたこっちの状況わかってるか?』
ティアマト
『人間相手に…は面倒だな』
トロイ
『知ってしまっては残念だな?リゲルという男の知り合いのようだが』
トルーパー
『このガキ覚えてるぞ、グリンピアで俺に恥をかかせやがった野郎だ』
いやそんなことしてないぞ!?
記憶が混濁していると思うけども濡れ衣過ぎるだろ!
切羽詰まる状況、しかし助け舟が来てくれたのだ
聖騎士A
『何をしている?』
貴族騎士
『!?』
全員の動きが止まった
それもその筈、聖騎士だからである
俺達と会話したあの2人が俺達を囲む貴族騎士の背後から声をかけたのだ
これにはトロイやトルーパーも苦虫を噛み潰したような顔を浮かべ、舌打ちをする
貴族騎士A
『何故貴様らがここに…』
貴族騎士B
『こやつらは無礼を働いた、よってこちらで対応をする』
聖騎士
『そんな法はない。貴族の目の前で軽率な言葉を言ったならば別だが…どうだ?』
貴族A
『ぬ…』
ティアマト
『俺達は偶然こいつらが話し込んでいるところを通りかかっただけだぜ聖騎士さんよ』
旗色が悪いのはどっちだろう
俺にはわからないが聖騎士が真剣な面持ちから変わらないのを見ていると、どうやら聖騎士になんらかの分がありそうだ
貴族騎士A
『お引き取り願えませんかね?』
聖騎士B
『大事な話を偶然通りがかって聞いてしまった。そうなら偶然な不幸だ。悪意が無いなら貴族の権力など意味はない。ましてや使いの騎士程度に権力はないぞ?』
貴族騎士A
『ジョブス男爵の騎士と知っての言葉であるか?』
聖騎士A
『こちらはフルフレア公爵様によって作られた協会、貴様らが後ろ盾を口にするならばこちらとて使うが…分が悪いとわからぬか?』
聖騎士と貴族騎士の他人のふんどしでのしばき合いが始まる
馬鹿な俺でもわかるけど、男爵と侯爵じゃ赤子と鬼くらい差があるのだ
だから貴族騎士は舌打ちをし、苛立ちを顔に浮かべた
トロイ
『ちょ…』
貴族騎士
『…退くぞ』
トロイ
『おい待て!あいつら逃がすと不味いぞ!?』
貴族騎士
『…』
凄い俺達を睨みながら去っていく貴族騎士、そしてそれを追いかけるトロイとトルーパー
どうやら助かったようだ…いっきに疲れたよ
聖騎士A
『大丈夫ですか』
アカツキ
『すいません。』
聖騎士A
『何が起きたか、正直に話していただけるとこちらも助かりますが?』
正直に話したよ
聖騎士2人は非常に驚いた顔を浮かべるが、直ぐに真剣な顔つきに戻る
頬杖をつき、何かを考えているようだが
ティアマト
『あのやりかたはどうなんだ?わざと揉め事を起こしてんだぜ?』
聖騎士B
『本当だとしてもジョブス男爵はきっと蜥蜴の尻尾を斬るようにしてトロイとトルーパーを見放すやり方で逃げるだろう。悪いが貴族はそういう逃げ方は上手い』
アカツキ
『頑張ったとしてもトロイとトルーパーだけか』
聖騎士A
『しかもこれは面倒でですね…』
ティアマト
『何がだ?』
聖騎士A
『各協会のように国家公認じゃない理由はこういう悪だくみをするためでしょう。男爵貴族でも国家認定の協会を作ることは可能ですが規約が邪魔であえて非公認の慈善団体イーグルアイとして設立してるのだと思います』
アカツキ
『馬鹿ですいません。言葉を砕いてもらえれば…』
聖騎士B
『非公認ならば国家公認された独立機関にくだす協会法は適用されないから自由に運営することができるんです。なので業務妨害となっても非公認であれば適用されることは難しい…。裁量は設立した貴族が持っているので罪も軽いんですよ』
国家認定された協会にはある程度国から規則が付け加えられる
その内容は俺達は知らないけど、非公認のままだとボランティア機関としてみなされている為に法として動くのは業務妨害のみだと聖騎士は言ったのだ
協会法が適用されていれば、機関として悪質な行為として色々な法律が動くので貴族も逃げれない状況に陥るらしいが、それは無理なのだ
聖騎士A
『だから非公認のままだったか…金は肥やしている筈なのにどうして作った機関に投資しないのかと疑っていたが、なるほど』
聖騎士B
『裏で工作して稼いでいたとはな…一応は警備兵には連絡はしておきますが、貴方達はどうします?多分警備兵が動いてもトロイとトルーパーしか処罰できないでしょう。ジョブス男爵は知らないと貫けばいいだけですから』
アカツキ
『…そうか』
聖騎士A
『貴族を法で捕まえるのは難しいんです。特に悪だくみしている貴族はちゃんと逃げ道を作ってから悪さをしますから。残念ですが今回は泣くしかないです』
泣く、は諦めろという意味だろうな
本当に悔しいが、それは飽くまで俺達がそう思っているだけ
リゲルとクワイエットならば何か案があるだろうかと信じながら俺達は聖騎士に挨拶をして宿に戻ることにしたのだ
聖騎士は俺達が去る間際、『ジョブス男爵は絶対に今回の件は揉み消す筈です、そうじゃないと彼は没落してしまいますから』と言っていた
何故そうなるのかはその時にはわからなかった
宿に戻るが、ここは夜勤の作業員がいるから正面玄関はこの季節は開放している
風が入って涼しいからだが、夏になると虫が入るので閉まる
1階の休憩所の椅子にはクワイエットさんが座って本を読んでおり、俺達が来ると手招く
自然と椅子に座ると、俺はティアマトと同時にため息を漏らす
クワイエット
『お疲れ様、テラから色々聞いたよ?』
ティアマト
『え?』
《お前らが聞いた情報は連絡しといたのさ、俺って有能》
クワイエット
『まぁ色々省くけどさ、確かにジョブズ男爵ならあの二人を切り離して安置に居座るだろうね』
アカツキ
『ただ恨まれて終わりなのか』
クワイエット
『まぁある意味誘い出せるかもね、人を呪あば穴二つ…さ』
ティアマト
『なんすかそれ』
クワイエット
『まぁ憎くて反撃すれば自分も危険になるよって意味。今日は眠れないね』
そう言ってから俺達は2階の部屋に戻る
暗いベットの上で横になるが、凄い静かだ
不思議と眠くない、俺は眠くなるまで暇潰ししようと思い、窓から外を眺める
ここまで夜も深まると警備兵の巡回も少ない
無意識にただ通りを眺め、通りすぎる警備兵を見ていると近くの建物と建物の間から何かが光った
通りに設置されている照明魔石が反射したのだろうが
《わかるな?》
『マジで言ってるの?』
《貴族騎士さんが証拠を消そうとお前らを殺したがってるぜ?さぁて誰の指示なんだか…茶色いローブに着替えてきたのは良いが》
トロイか、ジョブズ男爵かわからない
だが夜襲に来たことだけは確かだ
俺の部屋はくらいからわからないだろうが、もう宿までわかったとは驚きである
『さて…何故殺そうとするのか』
《殺そうとするなら誰が指示したかわかるだろ?指示というか煽ったと言うべきか》
『男爵か?』
《頼むぜ兄弟?男爵は知らないを貫けばいいだけ。ここまでしないと自身の身分が危うい奴はいるだろ》
トロイだな
貴族騎士をどうたぶらかしたかはわからないが、本当にギルマスなのかよ
するとそこへ予想外な男が姿を現した
なんとリゲルが通りを歩いてきたのだ
お前どこにいってた?と言いたくなるがまぁいい
彼は欠伸をしながら宿の中に入っていく
そのまま部屋に戻るのだろうが、彼の姿が消えたと同時に貴族騎士は通りに姿を現した
全員が茶色いローブ、まるで追剥みたいな格好だ
数は5人、そのうちの2人は事務所の見張りの奴等だと僅かに隠れた顔が見えたのでわかったよ
堂々と宿に歩く姿に俺は焦りを顔に浮かべると、ドアに近づいた
俺どうなるのかな
《まぁティアマトの馬鹿みたいな行動から導き出された答えが不幸中の幸いになるって感じか》
『どどどどういう事…』
《まぁリラックスしとけや兄弟、今回の役目は終わりさ》
終わり?
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