第262話 アカツキ君、巻き込まれる
俺は仲間と共に北の森、海抜の低い森の奥で魔物討伐をして今日を過ごす事にした
ゼペットと出会った川辺付近、そこはリゲル達が悪魔種ヴィドッグと対峙した場所でもある
今はその姿はなく、俺の目にはグランドパンサーが5頭も牙を剥き出しで威嚇しているんだ
ティアマトとリリディそしてリュウグウは笑みを浮かべながら身構え、飛び込んでくるグランドパンサーを次々と倒していく
俺はティアと辺りを警戒、というわけさ
《今は平和だな》
ティア
『でも奥から1体だけ』
アカツキ
『Cくらいか』
ティア
『だろうね』
グランドパンサーが全滅すると、気づいていた気配が姿を現す
トロールというランクCの魔物である
身長2メートル、筋肉質な肉体に右手には鉄鞭を持つ人型の魔物だ
非常に興奮している様子を見せながらもそれは間髪入れずに走ってくる
ティアマトが不気味な笑みを浮かべ、飛び出すとトロールが振り下ろす鉄鞭に向かって左手に魔力を流しつつ腕を振る
『鬼無双!』
左腕を魔力で纏い、硬質化して鉄鞭を殴るとトロールは弾かれて体が仰け反る
前までは力負けしていたが、今は勝てるようだ
リュウグウ
『もらった!』
トロールがバランスを崩している隙に彼女はティアマトの後ろから飛び出し、槍で胸部、首、頭部と3連続で急所を貫いた
『ゴロ…ロ』
もうトロールは戦える状態じゃない
仰け反った体を戻せずにそのまま倒れていくと、胴体から魔石が顔を出す
光ってはいないが、回収必死だ
俺は魔石を回収すると、また魔物だ
ここは本当に多いな…
『ニー』
『ニー』
パペットナイト2体か、懐かしいな
春から夏にかけて現れるけど今年初だ
玩具みたいな見た目、目はボタンで口は糸で波縫いされている
Cランクのパペット種であり、特徴としてスピードがある
俺達からしてみればもう大したことないが、冒険者ランクD以下ならば厄介な奴だ
剣での攻撃も速いし回避もそこそこやってのける身軽な肉体なんだよ
アカツキ
『リリディ、どうぞ』
リリディ
『ではギルハルドと1体ずつで』
『ハニャー!』
こうして森を出て夕方、俺達はギルドのロビーにある丸テーブル席を囲んで今日の分の報酬を仲間に分けてからのんびりとバナナジュースを飲んで寛ぐ
今日は冒険者も多く、ロビーは満杯だ
《悪魔種もそうだがゾンネは今コスタリカで何か企んでいるだろうな》
ティア
『まぁ全盛期の強さを得てからこっちくるんだろうね。となるときっとまたコスタリカでひと悶着しそうだね』
リリディ
『大変ですね』
『ニャハーン』
ギルハルドはテーブルの上でリリディに撫でられながら喉をゴロゴロと鳴らす
普通に見ていれば可愛い猫だが、どうも頭部に被る黒頭巾が気になる
アカツキ
『今日はエーデルハイドはまだ森かな』
リュウグウ
『だろうな。クリジェスタの2人は学園の剣舞科の授業があるから今はいないわね』
ティアマト
『そういや悪魔種来た時は凄ぇ音が森から聞こえたなぁ』
アカツキ
『リゲルの特殊技らしいが、凄い音だな』
リュウグウ
『伝わりはしないと思うが、あれは私の世界にあった銃兵器の放つ音に似ている、見せてもらったことがあるが凄い技だぞ?ティアのシールドでも耐えれるかどうか』
ティア
『見てみたいなぁ…』
《本当に威力特化だぜ?しかも遠くから撃ち抜く卑怯な称号だ》
アカツキ
『でも…』
俺は昨日の事を思い出した
リゲルがロビー内でソーダというジュースを飲んでいる時だ
彼の元のクリスハートさんが近づくと躊躇いもなく隣の椅子に座ったんだ
そこまではまだわかる、仲が良いというか信頼しているからだと理由がつく
問題はそこからだった
リゲルがジュースを飲んでからグラスを置き、テーブルに手を置くとクリスハートは彼の手に自身の手を重ねて幸せそうに会話し始めたんだ
それを見ていた冒険者は驚愕を浮かべた後、憎らしそうに見ていたのがハッキリ覚えている
クワイエットさんに何があったのか聞いても『内緒』としか言わないし
ティア
『そういえば武器のメンテ、帰りに寄ろう』
こうして俺達はティアの親友の親が営む鍛冶屋に足を運んだ
店内には様々な富貴がショーケースに展示されており、防具も豊富だ
勿論カウンターで店番をしているのはオトヒメちゃんだ、可愛い
オトヒメ
『あ、ティアちゃんじゃん』
ティア
『メンテ頼みにきたよ』
ということで俺達は武器と防具をこの日は店に預けていくこととなる
今日中に終わる事はないから明日の昼前に回収しに来なければならないが、今日何かあったらと思うと少し不安だ
でも俺達が動けなくても動ける者は沢山いる
だからそこまで気負いしなくてもいいんだ
他の冒険者と共に店内の武器を見回るが、ミスリル以上の武器は高い
テラルヴァ合金
フラスカシルバー
ドラン鉄
リーフ合金
ミスリル
軽鉄
鉄
武器に使う素材はこんな感じだ
だが今は武器や防具に困っているわけじゃないから今日は見ているだけだ
すると店内に見覚えのある女の子が入ってくる
少し落ち着きがない様子で店内を見て回っているが
あれは確か新人チームのハーピィに最近加入した槍のリリーちゃんだ
何をしているのかと思っていると、リュウグウが彼女に近づいていったんだ
リュウグウ
『どうしたリリー』
リリー
『きゃっ!?リュウグウ様』
様?と俺達は首を傾げて仲間と共に顔を見合わせる
どういえば思い出したけどリュウグウは一部の女性から人気があるんだったよ
冷徹で格好いいとか言われているらしいから、リリーちゃんもリュウグウ好きなのかも
リュウグウ
『武器探しか』
リリー
『今持ってる槍の刃をもう少し削って軽くしてもらおうかと』
リュウグウ
『なるほど、ミスリル槍を買うまでには良いかもしれない』
するとリュウグウはリリーちゃんを連れてカウンターにいたオトヒメちゃんに何かを話し始めた
きっと代わりに要望を伝えているんだろうが、以外にも後輩思いなのかもしれん
ティアマト
『恐ろしい一面だぞ』
リリディ
『それ本人の前で言えます?』
ティアマト
『きっとケツに槍を刺されるぞ』
《だな》
身軽な格好の俺達
だが俺は見逃さない、ティアの服が可愛いし胸の膨らみが目を癒す
だがどうやらバレたようだ
彼女の鋭い視線が俺の胸を差している
アカツキ
『気のせいだよ』
ティア
『ふぅん』
ティアマト
『エロツキ』
リリディ
『良いあだ名ですね』
アカツキ
『良くない』
仲間と共に鍛冶屋を出ると、俺は空を飛んでいる鳥人族のババトさんを見ながら道を歩き、話し始めた
アカツキ
『ゾンネの知りたい情報って妻の名前か』
《表では諸説しかねぇだろ?》
リュウグウ
『ガブリエールという名しか残ってないが本名ではないか』
リリディ
『何故本名が知られてないのでしょうね』
ティア
『でもきっと知っている人はいるよ』
《その通りだ。幻界の森にはゾンネの妻の名が刻まれた文字があるが、お前ら見てなかったようだな》
リリディ
『そんな暇ないですよ』
リュウグウ
『確かに無かったな』
《ゾンネはあそこにゃ行けねぇ。だから王族に再度接触して情報を得るか、知ってそうな貴族を探すかだな》
ティア
『それならフルフレア公爵が危ないよ。あの人はマグナ国ができる前からずっといた一番古い貴族の家系』
アカツキ
『まさかとは思うがフルフレア公爵が知ってたら…』
《いや、あいつは知っていても言わねぇだろうよ》
アカツキ
『何故だ。お前ならわかっているだろテラ』
《…確かにフルフレア公爵はゾンネの妻の名前を知っている。だけども決して言わないのは大昔にとある者と約束をしているからだ》
ティアマト
『フルフレア公爵って長生きしてんのか!?』
リュウグウ
『先祖だ馬鹿!』
まぁフルフレア公爵は人間だしな
誰と約束して言わないように言っていたのか、俺は再びテラに話しかけると奴はとんでもないことを口にした
《生前のゾンネだ》
そこでティアは足を止めると、真剣な顔を浮かべたのだ
何か分かったのだろうさと声をかけようとすると、ティアが先に口を開く
『テラちゃん。なんでテラちゃんの願いを叶えて死んだ三人が魔物化したか知らないんだよね?』
《マジわかんねぇ、同時に3体が甦るなんざ初めてだ》
『テラちゃんって記憶は見れても知識は覗けたりできる?』
《無理》
『テラちゃんがゾンネと出会う前にゾンネは大きな願い事の代償として魔物化するってわかってなきゃフルフレア公爵さんの先祖さんに言うなって言わないと思わない?』
《頭いいな》
アカツキ
『確かにそうだが、どこで奴はその情報を…』
《そういやゾンネは神聖学に詳しい王族だったな。俺と出会いた前に何かを知ったのかも知れねぇ。》
リリディ
『それは謎ですね』
《だな、今は拉致があかねぇ》
答えは出ない
そうこうしていると、ギルド方面から花火が撃ち上がる
確か今日はグリンピアギルドが出来て40周年記念か
そうとなると一度ギルドに戻るか
近くで軽い買い物をしてからギルドに戻ると、酒飲みの冒険者はビールをジョッキで飲みながら宴会騒ぎだ
『ギルドに万歳!』
『はんざーい!』
やかましいが、今日は無礼講で許されるかもな
受け付け奥で寛いでいた職員もロビーの様子を見ながら笑っているから大丈夫
まぁ一番奥の机ではクローディアさんが書類とにらめっこしてるけどな
俺達は麦饅頭を買ってきたので職員に渡してせめてもの祝いにしてほしいと告げると、その場にいた職員のロキさんは微笑みながら受け取ってくれたよ
トンプソン爺さん
『ワシも夜勤の職員におにぎり作ってやったぞい』
珍しく2階のテラスから出てきたトンプソンさん
40周年だからここに来たらしい
彼も職員におにぎりを渡すが、具材はエビマヨとツナマヨそして梅らしいが、無難である
ロキ
『助かりますトンプソンさん』
トンプソン爺さん
『クローディアちゃんは忙しくしてるのぉ。疲れはお肌の敵じゃぞ』
ロキ
『伝えておきます』
するとトンプソンさんは何故か俺達を見て腕を前で組む
半袖が似合う爺さんだが、筋肉すごいな
トンプソン
『強くなったのピヨピヨちゃん』
アカツキ
『まだ足りません。悪魔が攻めて来たときに十分対抗できる力が欲しいので』
トンプソン
『悪魔か…。アカツキ君は悪魔を知っておるかな?』
アカツキ
『人を食糧とする生物だと言うことは…』
トンプソン
『そうか』
少し切なそうな顔をしている
俺は首を傾げると、トンプソン爺さんは笑顔に戻して話し始めたのだ
『そう言えばワシが見た昔の本に虫の悪魔がおったな。不死身の呪いをかけられた罪深き生き物じゃとな』
アカツキ
『罪深き?』
『死ぬために生きるのが生物、その流れから逃げた悪魔は闇の中を永遠と過ごす事となったんじゃって』
リリディ
『その本に倒す方法は書いてましたか?』
『昔に読んだ本だからうろ覚えでの、確か無理じゃった気が…それよりもピヨピヨちゃんに問題じゃ』
突然、何を言いだすかと思えばトンプソン爺さんは笑顔で言い放った
民を取り戻すために戦う王と愛する者に会うために戦う王、どちらが正当かな?と
答えを求めているわけじゃない事は確かだった
トンプソン爺さんは直ぐに背を向け、2階のテラスに戻っていったのだ
リュウグウ
『どう言う意味だ』
ティア
『…』
アカツキ
『ティア?』
ティア
『え?ううん、何でもない』
俺はおにぎりを買って帰ろうかと2階のテラスに足を運んだが
その時にはトンプソン爺さんは既にいなかった
こうして仲間と共にギルドを出ると俺達はそれぞれの家に帰った
そして俺は自分の家のリビングでこの場に似合わない客が来ていた事に体が固まってしまう
奴は父さんとテーブルで今流行っているバナナジュースのはいったグラスを片手に俺の母さんが作ったであろうジャガイモの醤油煮を食べていたのだ
何故お前の隣にシャルロットが座っている、気に入られている?
リゲル
『お?帰ったか』
《にっしっし!面白い組み合わせだな》
アカツキ
『なんでっ!?』
リゲル
『ちょいと色々あってな、まぁ座れや』
アカツキ
『お前が言うな…』
ゲイル
『かっはっはっは!』
父さんはビールか
仕方ない…座るか
母さんは奥で何かを作っているが、良い匂いだな
肉を焼いているとわかるが、どうやらリゲルも食べて帰るらしい
何故だ!?
シャルロット
『リゲルさん…』
まて妹よ
何故そんなに目を輝かせている
こいつはグリンピアで一番のツンツン大将だぞ?お前に不釣り合いだ!
娘はやらん的な思想が俺の頭を支配していると、リゲルはバナナジュースを飲んでから一息つく
リゲル
『今日はゲイルさんに色々聞きに来たんだ。俺ら住民票とか移し方わかんねぇしまだコスタリカ登録だ。役場でここを現住所に一先ずはするってこと』
アカツキ
『まだだったんだ』
リゲル
『まぁな。俺とか聖騎士でそんな生活感あるの一切知らねぇからよ』
すると母さんが奥から俺の分のバナナジュースを持ってきてくれる
良く冷えたジュースで美味しい、俺も飲んでから一息ついたんだ
リゲルは『流行りだからと飲んでみたが、確かに美味い』と言いながら別の話に切り替えた
俺の父さんには他に聞いていた事、それは家を建てる時はどこがいいか的な詳しい話をしていたというのだから驚きだ
シャルロット
『私、住む』
リゲル
『残念だが駄目だなぁシャルロットちゃん』
シャルロット
『ぶー!』
リゲル
『勘弁してくれよ…』
ゲイル
『まぁ君なら家を持つための資金に問題はないだろう。知り合いに良い場所を聞いておくからどんな家がいいか考えといてくれ』
リゲル
『頼んます』
すると彼は懐から銀貨3枚をテーブルの上に置いた
仲介料とでもいいたのだろうが、父さんは『ビール代にさせてもらうよ』と微笑みながらそのお金を頂いた
リゲル
『悪魔は4体倒したんだよな』
アカツキ
『だがジャバウォックは微妙だ、多分また蘇る』
・・・・・・・
悪食の椅子
等活席 オイハギ 死亡
黒縄席 メデューラ 死亡
衆合席 ヴィドッグ 死亡
叫喚席 ???
大叫喚席 ???
焦熱席 ジャバウォック ?
大焦熱席 ゾディアック
阿鼻地獄席 イグニス
・・・・・・
ゲイル
『悪魔が現れるとはな』
リゲル
『実質じゃ動ける野郎は残り4体、2体が謎だ』
《長生きし過ぎて思い出せねぇ、》
リゲル
『本当に神かよ』
シャルロット
『独り言?』
ゲイル
『シャルロットは母さんの手伝いしなさい』
妹が母さんのもとに行くと、俺は腕を組んでリゲルの話を聞いたんだ
悪魔は最果ての地にいる軍団がテラの仕業によって封印されているため、解放したくてしょうがない
だからイグニスは悪魔の王として俺達を狙っているのだ
軍団を解放するために王に狙われ、人間界最強の王に狙われと世界で一番ついてないな俺も
教の夜食は肉野菜炒め、コンソメスープだ
タマゴサラダもある
リゲルもいるとは本当に変わった食卓だ
母さんは何やら彼と楽しそうに話をしているが、普通にしれてばリゲルも問題ない高学歴マンだ
なにやら母さんが『1人だけが住むわけじゃないから少し大きく作るのよ?子供部屋に夫婦で寝る部屋とか』となんだか笑いながら真剣な話をする
そこで俺はとんでもない事をリゲルの口から聞いたのだ
リゲル
『ルシエラが住むから大きく作りたいな』
アカツキ
『ふぁ!?』
リゲル
『んだ?どうした』
アカツキ
『なんで!?クリスハートさんが!?』
リゲル
『お前、クワイエットから聞いてないのか?』
アカツキ
『内緒って言われたぞ』
リゲル
『プロポーズした』
《おい負けたぞ兄弟》
なんて速さだ!付き合うどうこうないのかよ!?
父さんも母さんのビックリしているが、知らなかったらしい
シャルロットはスープを飲みながら不貞腐れた顔をしているけど無視だ
アカツキ
『それ、マジ?』
リゲル
『まぁリクゼンのおっさんが良しと言えだだがよ』
アカツキ
『いやいやそれよりもクリスハートさんが了承したのか?』
リゲル
『したぞ?』
アカツキ
『…どこまでしたんだ?』
母さん、咳払い
リゲルは『ほらみろ』的な目で俺を見ている
まぁ場違いな内容だったな
ゲイル
『リゲル君は家を作るという事はこの街に正式に住むという感じか』
リゲル
『そうっすね。クワイエットは家を建てようか迷ってたけど、結果的に居候にそのうちなりますね』
キサラ
『あら、シエラちゃんとこね?ミリアさん足弱いからクワイエット君がいれば安心ね』
アカツキ
『リゲルもクワイエットさんも展開が早くないか?』
ゲイル
『お前がチキンなんだ』
《そうだそうだ!》
くそ!だが俺はまだ19になったばかりだ!遅くはない速い方だぞ!
リゲル
『アカツキ、お前はもっと針仕込みしねぇと刀が泣くぞ?自分で気づいてないかもしれねぇが斬り上げが予想より早い』
アカツキ
『斬り上げ?』
アカツキ
『脱力から振れと教えたけど、お前は斬り上げる動作の時はちゃんとなってる。下半身の瞬発的な力も上手く刀の伝わってるんだろうが無意識か?』
アカツキ
『いや、ある程度意識はしてるよ』
リゲル
『肉うんめぇ!』
アカツキ
『おい』
リゲル
『悪ぃ悪ぃ、振り出しも速いから今度から敵が隙を見せたら斬り上げしてみな。お前は振り下ろしの時に大きく腕を掲げ過ぎて避けやすいんだよ…確かに以前より振り下ろすのは速いのは認める。ちゃんと言われた事をしているのはわかるがな』
ちょっと真剣な顔を浮かべて話す彼はそのまま視線を俺に向けたままご飯を口にかき込んだ
確かに斬り上げだと直ぐに動けるし…仲間と森に行った際は色々試してみるか
シャルロット
『アカ兄、私は今日からリゲル君のお嫁さん』
リゲル
『駄目だぞ』
ゲイル
『駄目』
キサラ
『駄目でしょ』
アカツキ
『駄目』
そんな時、父さんが警備兵詰所から持ってきていた連絡魔石から僅かな発光が現れ、声が聞こえてくる
『ゲンコツ長に連絡!タタラから逃げてきた空き巣が現場に居合わせた警備兵2名を大きなナイフで斬りかかったのちに逃走との事!怪我人は警備兵の2名!厳重警戒の為に出動お願いします!』
父さんは溜息を漏らすと、母さんの肩を軽く叩いてから静かに立ち上がる
警備兵の仕事だが、休みであっても緊急連絡が入れば動かざるを得ない
連絡魔石を手に取った父さんは『今は逃走者が興奮状態で人を殺しかねん。全員出動させて各ブロックに配置せよ』と指示を出す
ゲイル
『お前は家を守れアカツキ』
アカツキ
『そうだね』
リゲル
『てかよ、どこか教えてくれりゃ楽だな』
誰に言っているのか予想はつく
この事態、テラは意地悪はしなかった
《走り疲れて住宅街の呻き声とかあった橋の下を流れる水路にいる、穴の中でゼェハァいってる30代の野郎》
ゲイル
『連絡、住宅街で以前オバ様たちが話のネタにしていた呻き声橋の下、水路が流れる穴の奥にいるから物音を立てずに包囲せよ。近くに配置されている警備兵は直ちにその場を走って1分以内に行け。私は家から向かうから3分でつく』
シャルロット
『なんでわかるのお父さん?』
ゲイル
『なんだか神様の声が聞こえた気がしてな』
シャルロットも母さんも首を傾げている
父さんはその恰好のまま家から飛び出す
俺はリゲルに視線を向けるが、呑気に飯を食べているぞ
しかも誰よりも早く完食してしまったようだ
リゲル
『マジ美味いぜ。』
アカツキ
『お前は平和だな』
リゲル
『時間は大切にするべきだぜ?いつくるかわからん化け物が来たら死ぬ気で挑むためにな』
んで彼はご馳走様でしたと言うと銀貨を1枚置いて廊下に歩いていったんだ
俺は一応彼を見送る為に玄関まで行くと、リゲルはニヤニヤしながら振り返る
何やら企んでいるようでもあるが…
リゲル
『明後日はちっと付き合え、イーグルアイにかちこみだ』
なんで俺が誘われるのか意味が分からない
支援を行う国家非公認機関イーグル
それは訳ありで冒険者登録が出来ない者たちが仮で冒険者活動をすることが出来る独立機関だ
先ほどもいったが国は非公認のため、税金で組織が養われることはない
とある貴族が設立した組織だけど名目は支援団体と抜かして実際は稼いだ分を懐に納めるためって聞いたことがある
ウェイザーやタタラにもあるのはわかるが、他の街にもあるらしいぞ
アカツキ
『何をしに?』
リゲル
『最近問題起こし過ぎてな、クローディアさん公認でお灸を添えてからの脅しだ…だからティアもいてくれりゃ非常に貴族のかちこみも楽になる』
アカツキ
『てか貴族はどこに住んでるんだ?』
リゲル
『タタラだ。ジョブス・アルト・ラ・タタラ男爵。報酬は俺が出すから3日後も頼むわ』
アカツキ
『一応聞くけどどんな内容』
リゲル
『先ずは明後日はイーグルアイギルドに入って全員ボコ、それから次の日にタタラに向かって貴族を脅す』
アカツキ
『貴族相手だとやばくないか?』
リゲル
『だからティアだ、10回分の杏仁豆腐をギルドで食わせてやるって言っといてくれや、頼むよ』
俺の肩をポンポンと叩き、両手をつけてお願いのポーズ
こういう仕草もするんだなと心の中で驚くと、俺は『ティアを説得してみるよ』と言ってしまった
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