第254話 イディオット、学生と森へ行く
E コロール、エアウルフ、ハイゴブリン、エレメンタル各種
パペットナイト。ボロゴーレム、棘蜂、グール、グリーンマンティス
ゲコ(ヤモリ)、闇蠍、格闘猿(エド国)
F ゴブリン、ディノスライム、格闘猿、ゾンビナイト、風鳥
ゴースト、ウッドマン、ビリビリフラワー、眠花蜘蛛
角鼠、カナブーン ゾンビナイト、赤猪、棘鴉、オオダンゴ
アイスライム
登場キャラ
学生見習いチーム(冒険者未登録)
カイル
ランダー
ミミリー
・・・・・
何故か俺達は学生と森に来ている
休暇を終えて冒険者活動を開始した俺達は朝の冒険者依頼ラッシュを遠巻きに見ていたら学生がギルドに静かに入って来て俺達に話しかけてきたんだ
リリディと彼らは仲が良い、俺達は最近リゲルがやっている学地下訓練場での学生を集めてのちょっとした稽古で知り合っているから初対面ではない
どうやら冒険者になりたくて声をかけたらしい
学生だと冒険者登録は出来ないが、冒険者チームB以上の者が同伴する場合は許可される
一応は今日の予定としてだと緩く動く予定だったし、3人という見やすい数だったので低ランクばかりいる南の森ならばと彼らと共に来たのだ
学生なのにカイルは軽めで振りやすい片手剣を持ってるし
ランダーは以前は武器が無いと嘆いていたのに、何故か細長い鉄鞭を持ってる
ミミリーなんて腰に投げる用のナイフを2本装着し、右手にはサクスという短い剣だ
サクスとは全長40cmほどの短刀で、扱いやすさから昔は別の国では武器としてだけではなく、道具として日常的にも使用されていた代物だ
筋肉がついていない女性でも十分使える武器にもなるんだけど…
俺は学生3人と南の森を歩きながら、質問してみたんだ
アカツキ
『君らリゲルの息かかってるんだな』
カイル
『イディオットについていけばいいって言われて…』
ティアマト
『ケッ、あいつらがなぁ』
リュウグウ
『ランダーの鉄鞭はどこから出てきたんだ…』
ランダー
『クワイエットさんが使わないから上げるって…』
リュウグウ
『…それでだ、ミミリーのサクスは?』
ミミリー
『お姉ちゃんのお古です』
リリディ
『お姉さんいるんですね』
ミミリー
『多分知ってると思いますが、夢旅団のフルデって名前です』
マジか!?
仲間もこれは驚くしかない
妹がいたとは知らなかったですよフルデさん
ミミリー
『お姉ちゃんがみんなによろしくって言ってました』
ティアマト
『今日はフルデさん見なかったな』
ミミリー
『友達の結婚式があるのでチーム総出で休みになったとか言ってました』
ティア
『なるほどねぇ!』
《若いなぁ学生っつぅ生き物は》
彼らにはテラの声は聞こえていない
俺は近くで足を止め、3人に周りを観察させ始める
色々と教えないとリゲルにも何か言われそうだし、まぁ言われそうだから教えるってわけでもない
可愛い後輩になれれば良いと思うんだけど、なんだかあの2人に取られそうな気がする
アカツキ
『土がある地面が見えるだろ?なんの足跡かわかるか?』
カイル
『ゴブリンですが…大きめの足跡もあるのでハイゴブリンもいますね』
アカツキ
『流石だ。慣れないうちは魔物の数を把握できるチャンスがあれば探るべきだ。さて…何体いるかわかるか』
カイル
『予想ですが。足跡は多いけど同じ個体が足踏みしているだけな気がします…ゴブリン3体にハイゴブリンが1体ですかね』
意外と賢い
俺も同じ答えだけども、数は予想だから正解かはこの時点ではわからない
しかしこれは本当に大事な事である
近い数を予測できれば自分たちがどう行動するかも決まるからだ
ティア
『3体と1体、君たちならどうする?』
ミミリー
『避けますっ!』
ティア
『偉い!』
リュウグウ
『まぁ別の徒党が来たようだぞ?』
こういう時はよくある
だが今回は運が良いらしく、ゴブリンが2体だ
ギャギャという声が茂みの向こうから聞こえてくるが
まだこちらに気づいていないらしい
リリディ
『ギルハルド』
『ニャハ』
呼ばれたギルハルドはリリディに飛び込んで抱えられる
俺達は茂みに隠れると学生らも近くの茂みに隠れたのだ
ティアが『数を把握してどう動くかリゲルさんに教わってるならできるよね?』と彼らを戦地に突きだす言葉を口にする
俺は内心では心配だったが彼らはあの2人から教わっている
だから彼らはゴブリン2体が茂みの前を通った瞬間、飛び出す事が出来た
相手が弱いとしても絶対的な有利から始める事は大事な、卑怯じゃない
自分が戦いやすくすることは危険な賭けをしなくていいからだ
『ギャ!?』
カイル
『でやぁ!』
カイルは驚くゴブリン1体に飛び掛かり、剣を胸部に突き刺して一緒に転倒する
残るゴブリンが余所見をしている隙にランダーは鉄鞭を振ってゴブリンの顔面を叩く
顔を両手で抑えて倒れるゴブリン、ランダーはそのままトドメを言わんばかりに鉄鞭を振り落として倒しきった
理想的な勝ち方だ
それがいつもできればいいが、森はそこまで俺達に都合よく味方しない
カイル
『よし…』
ミミリー
『言われた通り胸部にさせたねカイル』
ランダー
『2体倒せた…6体目』
ティアマト
『今まで倒した数覚えてんのかよ』
ランダー
『何かの基準になるかなぁって』
こうしてティアマトがランダーに体術を教えながら森を共に歩く
どうやら殴り方を教えているけども、ランダーも好奇心旺盛なのかかなりのめり込んでいる
その間、俺達と歩くカイルは辺りを見回して異常なほどに警戒してるけど…
リリディ
『気を張り過ぎですカイル君』
カイル
『ですよね』
リリディ
『気張ると逆効果なのでリラックスしましょう。まぁそれは慣れないと無理でしょうがね』
リュウグウ
『最初から肩の力を抜いて森を歩ける奴なんていないわ。経験積んでいけば無駄に力を入れる事も解消できよう』
ティア
『手は抜かず力を抜く、だよ』
ミミリー
『はい』
俺達は魔物の気配を感じてもあえて言わない
それは彼らの為でもある
リゲルとクワイエットが定期的にしているギルド地下訓練場での講習会、普通の冒険者の前に学生達に1時間ほど教えているのだが、毎週確実に来るのがこの3人だ
あいつの教えも本物だ
だからそれなりに魔物が近くにいると気配感知レベル1の範囲内でもなんとなく何がいるかわかるようだ
カイル
『1体…ゴブリンは徒党と組むから南の森となると格闘猿かな』
《おー優秀だな》
ティアマト
『格闘猿に関してどんくらい勉強した?』
ランダー
『普段は木の上、縄張りである1つの木の近くを通ると降りてきて殴られる』
ティアマト
『…まぁ正解だが、殴られるって…』
リリディ
『確かに正解ですが答え方にユーモア爆発させなくていいですよランダー君』
ランダー
『あはは…攻撃は殴りかかりと技スキルの鬼無双、たまに引っ掻いてくる傾向ありというのも覚えてます』
ティア
『知識は生きるために重要だよ、十分勉強してるね』
ランダー
『ありがとうございます』
ティアに褒められると彼は嬉しそうだ
途端に木の上がガサガサと五月蠅くなる
もうそれだけで予想は的中したと思っても良いな
ウキャキャって鳴き声も聞こえてくるしなぁ
落ちてきたのはランクFの格闘猿
茶色い毛並みが綺麗だが尻は真っ赤だ
猿の癖にファイティングポーズとって華麗なステップを踏むとは猿に見えんぞ
こいつは縄張りに入った敵は数が多くてもなりふり構わず降りてきて襲う
人間の場合だ、である
ティアマト
『ランダー、お前やれ』
ランダー
『俺ですか!?』
ティアマト
『最初は顔の前を腕で固めてガードしつつも回避に専念して動きを観察しろ。目は閉じるな?ちゃんと相手の攻撃は目で見ねぇと勉強も糞も回避もねぇ。殴られても痛ぇだけだ』
アカツキ
『その痛い、のが問題だが』
リュウグウ
『痛いから問題だろうが…』
ミミリーは顔を逸らし、笑っているのを悟られまいと振る舞う
『ウキャキャ!』
ランダー
『む…』
彼は真剣な顔を浮かべ、腕を上げて顔の前を固めて格闘猿に近づく
途端に格闘猿は飛び込みながらの右ストレートだがランダーは驚きはしたものの、顔を腕で固めているから僅かにふらつく程度だ
ティアマト
『利き腕がある。次も右来たら右利き…格闘猿は利き腕でしか攻撃しねぇからある程度理解すればいつ殴ってくるかわかる』
これにはランダーも格闘猿の腕を直視し始める
まぁこの状況からだと当然くるのは右だ
格闘猿の脚に力みが入ると、右腕が彼に伸びてくる
ランダー
『くっ!』
今度はガードしながらの状態を引いて回避だ
当たっていない、上出来過ぎないか?
アカツキ
『学習するのが早いな…』
カイル
『後ろから1体…』
ティア
『ミミリーちゃんと身構えて待機していればいいよ。多分虫だからアイスショット使ってもいいよ』
現れたのはFランクのオオダンゴ
全長30センチしかないゴロゴロ転がって体当たりしてくる虫種だ
頑丈な魔物じゃないから体当たりしてきたタイミングで刺すだけでいい
カイルもそれは十分に理解しているようだったので心配はいらないようだな
俺はランダーに視線を向けると、彼は大袈裟に飛び退いたんだ
しかしそれは大正解、格闘猿の右腕に魔力が込められ、次の瞬間には腕に纏う魔力が硬質化するとそのまま右ストレートさ
鬼無双という技がこれだ
拳に纏う魔力を固め、一撃をお見舞いする技である
この技の後は格闘猿がヘタる特徴があるが、ランダーはそれも知っていた
ランダー
『ふんっ!』
彼は飛び込みながら疲れを見せた格闘猿の顔面をストレートパンチを一撃お見舞いし、転倒させる
そこで魔物は怒ったのか、ウキャウキャと五月蠅く鳴くと直ぐに立ち上がってランダーを殴ろうと何度も腕を振る
だがここで敵に慣れてきたランダーはガードしたり避けたりと冷静さを俺達に見せてくれた
格闘猿が2回目の鬼無双を繰り出し、ランダーが奴の攻撃を避けて横に移動して瞬間、ティアマトが『アッパーカット!』と叫んだ
地面を力強く踏みしめ、右拳を強く握るランダーは格闘猿の顎を横からアッパーカットして吹き飛ばした
大きめの個体だったけども、本当はもう少し小さい
2発の顔をクリーンヒットしているから格闘猿は地面に落下すると立ち上がろうとし、力尽きた
ティアマト
『やるじゃん』
『ニャハッハー』
ランダー
『魔物に関する立ち回り講習受けておいて良かった』
リリディ
『後ろも終わりましたが…』
ここで面白い事が起きる
格闘猿から顔を出す魔石、そして後方でミミリーがアイスショットで撃ち抜いて倒したオオダンゴの魔石
双方が発光しているのだ
リュウグウとティアの運スキルの賜物と言わざるを得ない
カイル
『光ってる!』
ミミリー
『光ってる!』
ランダー
『スキルだ…』
ティア
『私とリュウグウちゃんは運スキル高いからねぇ、倒した人の魔石だから好きに決めたらいいと思うよ』
アカツキ
『俺も賛成だ』
リュウグウ
『格闘猿は鬼無双。オオダンゴは気配感知だな』
早速3人は急いで誰が吸収するかを考えると、ランダーが鬼無双でミミリーが気配感知に決まる
その後はゴブリン2体と戦い、オオダンゴ1体を倒した後にランクEであるボロゴーレムが俺達の前に立ちはだかる
物理があまり効かない魔物、魔法が弱点だ
名前の通りボロボロな感じのゴーレムだけど、新米でこいつの相手は辛い
だからこそ彼らは即断した
逃げる、と
ボロゴーレムは走れない、歩くことしか出来ないからこそ学生の足でも十分に逃げ切ることが出来る
無理な時は背を向けて逃げるという判断も出来ているとなると、今は心配する点はないようだ
夕方までまだ時間はあるが、学生の体力の事を考えると街に戻るべきだと思って俺は帰る事を提案する
学生もそれには賛同してくれたので俺達は彼らと共に森を歩き、街を目指す
カイル
『俺とミミリーが気配感知レべ1、ランダーが鬼無双か』
ミミリー
『技や魔法スキルが魅力的だけど。当分は我慢だね』
アカツキ
『剣士は夜に現れるゾンビナイト相手に連続斬りが手っ取り早いだろうな』
ティア
『魔法もアンデットから会得するってのに最近変わったね』
リリディ
『ゾンビマジックですね。100回目のモーションでなんの魔法を繰り出すか不明なのでそこは最大限の注意を払うべきです』
ランダー
『わかりました。いつか行ってみたいですね』
カイル
『そうだなぁ…でもリゲルさんが言ってたように3人だと辛いから1人増やせって言われてるし』
ミミリー
『1人増えたら夜の森に連れてってくれるって言われると焦っちゃうよね。でもちゃんと探さないと・・・』
ティア
『焦ったら駄目だよ。今年の魔法科と剣舞科での授業でゆっくり探した方がいいと思う』
ミミリー
『リゲルさんやクワイエットさんも焦ったらその分、死神が近づくぞって脅してきたし』
凄い脅し方だが、ごもっともだな
ランダー
『てか貴族相手にも怯まないの凄いよなぁリゲルさん』
カイル
『ミラゲもいつも連れてきてない貴族騎士10人連れてきてたけど、流石にビビッてたな』
ミミリー
『良い人なんだけど我儘なんだよねぇあの人。てか貴族騎士があの2人に少し顔強張らせていたし聖騎士時代でも相当有名なんだね。1人知り合いみたいな人いたらしいしさ』
カイル
『マグナ国で2人組でAに到達したのは国が始まって以来らしいよ、凄い人に決まってる』
相当好かれているか、羨ましいな
俺もなんだか目指したいけども、俺は俺のことで今は精一杯だ
色々考えて敵を倒す為に強くならないとな
こうして南の森から街に戻り
ギルドの近くまで来るとかなりの人だかりができていたのだ
グリンピア冒険者ギルドの前で何か起きているらしい
だが争いじゃないと直ぐにわかる
警備兵が俺達の後ろから走ってくると、『どっちが勝った!?』と声を出している
正当な決闘か?と思って仲間と共に野次馬の中を進んでいくと、驚くべき光景がそこにはあった
リゲルが首を回しながら目の前で倒れている男を見下ろしていたのだ
だが彼も無傷じゃない、右手首を痛めたのか、ブンブン振っている
倒れている男の近くに仲間らしき者が近づくが…なぜあんたらがここにいる?
コスタリカにいる冒険者ランクAのチーム『ベヒーモス』
ティアマトよりも僅かに大きな巨躯の男、リーダーであるモンストが顔を歪ませてリゲルを見下ろしているのだ
まさか…
リゲル
『不器用な腕力だな。掴みたいって意思が行動に駄々洩れだ…人間相手ならと思ったならばお門違いだぜモンスト』
モンスト
『くっ…リゲル…』
リゲル
『こっちは対人戦じゃお前らよりも並外れて能力値高ぇんだぜ?去年も言ったがそのデカい図体もっと活かせや。人間相手に避けるとは人間凶器モンストの名が廃れらぁ』
ラミ
『モンスト大丈夫!?』
エリーゼ
『モンちゃん。10戦10敗…』
モンスト
『くそ…』
クワイエット
『君らもコスタリカでAに慣れたのは凄いね!でもだからといって僕らに勝ちたいなら何かを差し出す覚悟で挑まないと次も同じだよ』
モンストは仲間に起こされたが、それでも体が痛いのか前屈みだ
いつの間にか横にいたクワイエットさん、さっき話をしていたのにいつの間に円の中心からここに来たんだ…
クワイエット
『昔からリゲルと僕が馬鹿にしながら決闘してる仲間さ。彼らもAランクになったんだけど。その成果を感じる為にわざわざ遠征してもあでも来たんだとさ』
アカツキ
『凄い執念ですね』
クワイエット
『良い因縁の仲みたいな感じかな。だから彼らも強くなったのかもね』
リゲル
『忠告はしたぞ?何も変わんねぇでまた来やがったら好きな女の前で今以上にボコすぞ?』
モンスト
『つ…次は必ず勝つ!覚えてろよっ!』
彼ら強いって凄い有名なんですけど?
どうやって勝ったのか…意味が分からない
グリンピアの人々はリゲルが勝ったことに湧き上がる
モンストは仲間に過剰に慰められながらもその場を後にするが、コスタリカでも上位に位置するチームだぞあれ
マジで勝ったのかよ
『リゲルが勝ったぞ!』
警備兵
『凄いなぁ!今回は見なかったことにしよう』
『すげぇ。グリンピアの冒険者がコスタリカのベヒーモスに勝つなんて…』
リゲル
『ったく…一撃喰らったがヤバかったな』
どうやら模擬戦をしていたらしい
最初はベヒーモスの剣士ハルトとクワイエットさんの戦いはクワイエットさんが一瞬で倒す
その後にモンストとリゲルが戦ったのだ
モンストは鉄鞭使いだが、リゲルが剣でガードしたときに吹き飛ばされたとか
それを戦う前から見ている者が教えてくれたが、そこで俺は予想外な光景を更に見てしまう
クリスハート
『大丈夫ですか…』
リゲル
『大丈夫に決まってるだろ。強ぇだろ』
クリスハート
『そんなこと言ってないで、ほら…顔汚れてますよ』
少し呆れた顔でクリスハートさんが懐から取り出したハンカチで彼の顔を拭いている
なんて羨ましいんだ!これには野次馬と化していた冒険者達の額に青筋が浮かぶ
心の声が聞こえてくる気がする
何故お前がクリスハートちゃんと…
なんでお前はそこまで仲が良いんだ…
近すぎだ、離れろ…
そんな声が勝手に聞こえてきそうだ
彼女は人気あるからなぁ
カイル
『凄い…あのベヒーモスのモンストさんを』
ミミリー
『やっぱりマグナ国でも随一だね』
学生たちが憧れるのも無理はない
彼らだけじゃない、グリンピアの人も同じ目で見ているから俺でもわかる
『クワイエットがハルトを一瞬で負かすってものヤバかったな。一撃で剣吹き飛ばしたぞ』
『マジで何も見えなかった…流石元聖騎士の1番隊上位陣』
『恰好いいわぁ。あんなに動けるのね冒険者って』
純粋に羨ましいな
《兄弟は変に目指さないほうが良い、自然体でいれば人は評価してくれるさ》
アカツキ
『まぁ俺は万人に認めてもらいたいってよりも仲間と楽しく過ごしたいってのが強いかな、確かに羨ましいけどな』
《男は羨む存在になるたいって衝動は仕方ねぇさ。さぁギルド行くぞ》
ギルド内はスカスカだ、だって殆ど外にいるもん
受付に向かうと受付嬢アンナさんが『見たかった』と拗ねてる
可愛い
リリディ
『今日も綺麗ですよアンナさん』
アンナ
『魔石の換金ですね!査定しますので出してください』
《この女、できるな》
リリディはリュウグウに首根っこを捕まれて下がる
今日は銀貨8枚だが、これは学生が稼いだ金
だから俺は仲間と相談し、全部渡したんだ
スキルも金も手に入ってニコニコしてるのが見てて楽しい
カイル
『今日はありがとうございました』
ミミリー
『助かりました!』
ランダー
『お邪魔してすいません、仲間集め頑張ります』
リリディ
『授業がんばですよ』
ティアマト
『がんばんな』
彼らは満足して帰ると、リリディはリュウグウを連れて帰った
どうしたのかティアに聞くと『マグロの一本釣りを教えてもらうため』らしい
あれか!
俺は早めに解散し、ティアを送ると家に戻って仮眠だ
夜食までまだ時間あるからだ
気付けば横でシャルロットが寝ているが無視だ
『ティアさんの匂いがするベッド、アカ兄ぃえっち』
『やめろ…』
妹を部屋に戻して寝直す
テラも仮眠だとかいって反応しなくなると、俺は窓を眺めた。
薄暗くなっていく空が僅かに赤い
夜までもう少しだな
ここからでも飯の匂いはする
今日はカレーだと直ぐにわかるぞ
《飯の時は鼻が利くんだな》
『まぁな、そういえば明日はウェイザーだな』
ティアの用事に付き合うのだ
勿論みんなでだが3日間の滞在を予定しており、ちょっとした遠征という考えている
回復魔法師会のウェイザー支部がそこにはあり、アンジェラさん1人が建物の一室を借りて街全体を担当している
貴族など回復依頼があると彼女は向かい、そして魔法での治療だ
普通の一般市民相手にも施す事もあるらしいが、一般人からすると高い
当たり前だが回復魔法とは大変貴重なスキルであり、連発なんで出来ないからだ
『そういや黒鳥クロウラウズさんがいるな』
《挨拶にいきゃいいさ、仲良くしといて損はねぇ》
ウェイザー冒険者のトップだ
ランクはソロでBという強さを誇る鳥人族のカラス種
前回は共闘したこともあったが、殲滅力が凄かったな
『アカツキ、ご飯だぞ』
父さんがノック無しで部屋に顔を出す
ティアがいる時は空気読むのに、俺だけだとこんな感じだ
下に降りるとやはりカレー
俺は存分に腹いっぱい食べてから明日の為に沢山寝る事にしたよ
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